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王子は獣の夢をみる  作者: 紺青
第4章 オディアスの翼
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第23話 さがせ!

 オルフから告げられた呪いを解くために必要なものの一つであるオディアスの翼。それはローレアにかつて生息していた絶滅した鳥の翼を指すと思っていたが、ローレア王ルイスによりその思案は否定された。そして新たな可能性が示された。

 彼が他に見つけたオディアスの翼と異名を持つものを、3日で探さねばならない。


「本によると、オディアスの翼はとても強靭で鋭いとかかれています。ということは、何か硬い物なのではないかと」


 ディアンのその言葉により、サラたち4人は何か硬いものを探しに出かけた。手分けした方が早いということで、サラはシーザ族がいるという山、リュオンは国門付近。ディアンは中心街。ローザは城下を散策をすることになった。


 そうして1日目の夕刻、ローレア王、ルイスの前には4つの“何か硬い物”が並べられている。ルイスはにこやかに微笑む。


「……何かなこれは」

「はい、皆でそれらしき物を持ち寄りました」

「へぇ……」

  何やら王の反応がよろしくないが、とりあえず紹介してみる。


「えーと、ではまず私がとってきた物から……」

 そうしてサラは、自分の隣においた岩を差し出した。

「シーザ族の方に何か硬い物はないかと聞くと、岩を教えてくれました。この岩は夜になると青く光る、とても不思議な岩だそうで、魔法の力になるかもしれないとお言葉を頂きました」

「シーザ族は歓迎してくれた?」

 ルイスの問いに、サラは嬉しそうに答える。

「はい!最初は退治されそうになりましたが、闘い分かち合ったあとは何でも質問に答えてくれました!」

 シーザ族は知らぬ者が来た場合不法侵入者として捕えようとするからなぁ、しかし絶対分かち合ったというよりこの娘に負けたのだろう。

「では、次は私が」

 リュオンはそう言い、あでやかな布を差し出した。

「門番に聞いたところ、現在ローレア国ではオディアスの親戚の鳥であるセディアスの羽でつくられた布が流行っているということで、入手致しました。とても頑丈で、色あせることもあまりないそうです」

 リュオンはそう言い、艶やかに山吹色に染め上げられた布を広げた。

「何よりサラに似合うと思って。どうかな、サラ」

「あついかな」

「え!そんなすぐに拒否!?」

 主がショックを受けているのを流しながら、ディアンが己の持っている槍を差し出す。

「私は槍です。ローレアの兵士が持っている槍はとても頑丈そうで先も尖っていたので、拝借致しました」

 どうりで扉の遠くから恨めしそうに震えながら見ている者がいる訳だ。一体どういう拝借をしたのだ。

「私は、これですわ」

 最後にローザはそう言って、宝石を差し出した。

「城下にいた人々に聞いたところ、ローレアでとれる青い岩石が原料となり、宝石が作られるそうです。この宝石はとても固く、異性から贈られればその二人の愛は永遠だとか」

 それを聞いてひらめいたサラが嬉しそうに語りかける。

「わぁローザ様!ひょっとしてそれ、これじゃないですか!?」

 サラはそう言って己の隣にある岩を指示した。ローザもそれを聞き愕然とする。

「え!?嘘でしょ、これ高かったのよ!」

「何でそんな高いもの買ったんですか」

 4人はまだああだこうだと言いあっているが、ルイスは薄く微笑みを保ちながら彼らに告げる。

「結論から言うと、全部違うな」


 その言葉を聞き、4人はしゅんとする。まさかそれ、自信があったのかと突っ込もうとしたが。


「もっとも暗いのはろうそく台の下である」


 ルイスと4人は声がした方を見る。言葉を発した赤毛の従者は、にこやかに微笑んだ。


「案外、身近にあるかもしれませんよ?」

「身近……」

 4人はそう言い思案する。最初に口を開いたのは、ディアンだ。


「……まさか城の中ですか?」


 ディアンの言葉に、ルイスがばれたかと言いたいような、つまらなそうな顔をする。

「えええええええ!」

 ディアン以外の3人は驚き、一歩後ずさる。


「ひ、ひどい。国中どこでも通れるようにするとか言ってたからてっきり……」

「城も通れるようにしたはずだ」

 ルイスは悪気なく笑顔でそう言い放つ。こ、こわいこの人。


「まぁ今日はもう遅い。食事を用意してやるから、今日はもう休め」

 まだ4人は何か言いたそうだったが、ルイスに礼を言うと部屋から出て行く。その姿を見つめながら、ルイスは隣の従者に小声で告げる。


「ドリー、いらない事を言うな」

「すみません、何かこういうのヒント与えたくなっちゃいます。ルイス様とも小さい頃、互いに物隠しして遊びましたよね」

「ああ、そういえばしたな」


 あの者たちは皆純粋だ。ジェラルド様の文面にも、お手柔らかにとかかれていた。だが、ただ渡すのは嫌だった。


「……私は、性格が悪いな」

「大丈夫ですよ?私ほどではないです」

 この従者のフォローはどこかいつも微妙におかしい。

「……そうだな。背がお前より低かった俺が届かないような高い所に物隠されたし」

「あ、覚えてました?」

 ルイスはその言葉に小さく笑う。


 彼らもきっと、私の小さなイタズラなどに屈せず、手にするだろう。

 己に必要なものと、望む未来を。


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