Act7:混沌の場そして《裏の世界》
※No side※
戻ってきた。
あの場所に。
あの、全てが始まった場所に―・・・
「ここは、混沌の場?」
夕真が呟く。
すると、それが合図だったかの様にして
天驟雨が声を張り出した。
『さぁ!お前達は《3代目救世主》だ!今から“力”を授ける!』
「力?」
明華が聞く。至極、不思議そうに。
『そうだ。お前達は、平凡な奴らだ。それじゃ、《裏の世界》を救えない。』
「た、確かにそうですね……」
天驟雨の言葉に、昼愛が肯定する。
それに続き、夕真も明華も頷く。
『目を瞑れ。体中の力を抜け。』
凛と、今までに聞いたことの無い口調で需慧楼は言った。
三人は、少し間誤付きながらもその指示に従った。
『需慧楼。始めろ。』
『はい。』
需慧楼は、天驟雨の言葉に頷くと、呪文のような物を唱え始めた。
『God, help these three girls.
God to three girls of these protection.
To three girls power.
Three girls save the world.』
すると、三人の体が光りだす。
天驟雨はポツリと、しかしハッキリと声を出す。
『花金夕真。
お前には、“人格”を授ける。
美銅昼愛。
お前には、“浄眼”を授ける。
紗銀明華。
お前には、“仮面”を授ける。』
「人格?」
「浄眼?」
「仮面?」
三人は声を揃えて聞く。
一体、自分達が授かった力は何なのか――そう、思っていたからである。
『夕真。人格とは、そのままの意味だ。
お前は、多重人格となる。
昼愛。浄眼とは、妖・霊が見える眼の事だ。
お前は霊能力者となる。
明華。仮面とは、演技という意味だ。
お前は、何十種類という人物を演じ分ける事が出来る。
まぁ、そんなところだな。』
天驟雨は、一人ひとりに説明をした。――とても詳しく
しかし、そこに疑問を持つ人物がいた。
「アタシ達に、無料で授けてくれるの?
それとも、何か対価がいるの?」
それが明華。
その質問に、天驟雨が答える。
『無論、対価は払ってもらう。』
「そう、か……」
明華のその言葉には、絶望が含まれていた。
その明華の絶望を隠すように、夕真が続いた。
「た、対価って、何を払えばいいの?」
『対価は、もう既に決めてある。
夕真。お前からは“恋心”を。
昼愛。お前からは“自由”を。
そして明華。お前からは“色彩”を対価として貰う。』
「そんなもの、どうやって払えばいいんですか……」
少し、呆れた意味合いを込めて昼愛が言う。
そんな昼愛に、需慧楼は答えた。
『何も今すぐ、という訳ではありません。』
その言葉を、天驟雨は続ける。
『お前達が《裏の世界》と《表の世界》の均衡を保てば保つほど
対価は軽くなる。ただし保てなければ、だんだんその対価は重くなるぞ。』
三人は納得した。
そして、天驟雨は三人が納得したのを見ると、また喋りだした。
『さぁ!そろそろ《裏の世界》に行こうか?』
天驟雨が怪しい笑みを浮かべる。
その笑みに三人は身震いする。
「あの〜……どうやって《裏の世界》に行くんだ?」
夕真が聞く。――しかしその声は震えていた――
『あぁ。と〜〜〜〜っても簡単だ。』
そう言いながら、またもや怪しい笑みを浮かべる。
「(なぁ、ウチめっちゃ怖いんだけど……。)」
「(頑張れ夕真!アタシもめっちゃ怖いんだぁぁぁあぁ!)」
「(二人とも!特に明華!煩いよ!私も怖いんだから!)」
(注 三人は心の声で話しています。)
『お前ら!後ろを向け。』
三人は、素早く指示に従う。
何が起こるのかは、まだ三人は分からない。
『………お前らぁ、歯ぁ、食い縛れぇぇええぇぇっ!!!!』
「えぇぇぇええぇぇえ!!??」
三人は絶叫する。しかし、絶叫しながらも歯を食い縛る。
『お前らぁぁぁああぁ!救済法は、向こうで見つけろ!!達者でなぁ!』
そう言い、天驟雨は三人の背中を
蹴り飛ばした。
『お前ら、生きて帰って来いよ………』
天驟雨の呟きは誰にも聞かれること無く、風に消えた。
◆
「いいぃぃぃぃいいぃやぁぁぁあぁあぁ!!!」
「おぉおおぉ落ちてるぅうぅうぅ!!」
「きゃあぁあぁぁぁああぁ!!!」
三人は、空を落ちていた。
「天驟雨ぅぅうぅううぅ!!恨んでやるぅうぅうぅぅ!!」
「道連れにぃいいぃいぃしてやるぅぅぅうぅぅう!」
「きゃあぁぁぁぁあぁ!こ、殺すぅぅう殺してやるうぅぅぅぅううぅ!」
呪いの言葉と共に。
英文は、頑張って作りましたが
間違いがあるかと思います。
もし、見つけてくださった場合
ご報告下さると嬉しいです。