Act5:《初代救世主》と既視感
※明華side※
目を開くとそこは
まるで、江戸時代のような風景。
「ここ、どこ?」
『ここは、《初代・救世主》のいた時代。
江戸時代の後期辺りだ。』
「《初代救世主》?」
『そうだ。その名の通り、一番最初の救世主。
《表の世界》と《裏の世界》の均衡を保つ為に選ばれた者のことだ。』
「私達で、何代目なんですか?」
『お前達は《3代目救世主》だ。』
「アタシ達で、まだ3代目!?」
そんな!
江戸時代後期って言うと、軽く100年位前・・・
なのに、なのに、なのにまだ3人目!?
有り得ないよ・・・
『《裏の世界》へ、《表の世界》の人間が行くと、体の成長が止まる。つまり、年を取らないんだ。』
「新事実・・・!」
『言ってなかったか?』
「初耳ですよ、アタシ。」
『私が、言いそびれたのです。天驟雨様を責めるのは御止め下さい。』
「分かってるって!ウチ達がそんな責めてるように見えるか?」
『はい。』
「即答かい!!」
夕真は、需慧楼に突っ込んだ。
昼愛じゃなくて、夕真ね?
そこんとこ、間違えないよーに!!
『!お前ら、静かに。《初代救世主》が来たぞ。』
アタシ達は、天驟雨の指差した方向を見た。
するとそこに居たのは、3人の少女。
綺麗な黄金色の髪をした、二つ結びをした少女と
鮮やかな紅色の髪をした、ショートヘアの少女と
雪の様な白色の髪をした、お団子ヘアの少女。
その髪の色は、《3代目救世主》のアタシ達の髪色を彷彿とさせる。
そしてアタシは、その顔に既視感を覚えたんだ。
「・・・誰だっけ?」
そう、思い出せない。
ずっと、ずっと見てきた筈なのに、思い出せない。
誰だっけ・・・?
「ウチ、あの人、見たこと、あるかもしれな、い・・・」
「わ、わ私もだよ・・・?」
「あんな珍しい髪、ウチ達以外、見たことないよ?」
そう、あんな髪色、アタシ達の血縁者でない限り・・・
「あああぁぁ!!」
「明華!どうした!?」
そうだ、そうだ、
見覚えがある筈なんだ。
だってあの人たちは
アタシ達の
お祖母ちゃんなんだから・・・
『お前達の祖母さんは、《初代救世主》だ。』
あぁ、やっぱり。
アタシは嫌な予感がしてたのかも知れない。
こうなること、分かってたのかも知れない。
神様の意地悪
所詮、この世界に優しい神様なんて居ない。
居るのは、人の意見無視してて拒否権なんて物をくれなくて、
凄い綺麗な天女を仕えさせてる
若い姿の、意地の悪い
神様だけ
既視感・・・確かに見覚えがあるが、いつ、どこで
見たのか思い出せないこと。デジャヴ。