Act3:混沌の場
※昼愛side
後ろから、凛とした少年の声がした。
その凛とした声には、少々幼いながらも絶対的な意味が込められていた。
“振り向け”
そう命じているかのように。
「だれぇ・・・?」
「だれだよ・・・?」
「どなた・・・?」
その声に気圧され
私達3人は振り向いた。
そこに立っていたのは、需慧楼と同じように
長く煌びやかな白銀の布を身に纏った、少年。
その立ち姿から、身に纏っているオーラから
需慧楼の言っていた“天驟雨様”だと分かった。
『お前ら、俺に何か質問はあるか?』
「はいっ!!」
明華がビシッ、と効果音が付きそうなくらいの勢いで
思いっきり手を挙げた。
『何だ?』
「何で、アタシ達は、こんな “暗い” 場所にいるんですか?てか、ここ何処ですか!?」
『ここは、お前らの住んでいる《表の世界》と、お前らが御伽の国と呼んでいる
《裏の世界》との狭間。混沌の場だ。』
「《裏の世界》??」
『そうだ。お前達、《表の世界》の住人が、有り得ない、と感じているモノがある世界。
魔法・妖怪・ドラゴン、etc.だな』
「そんな事って、アリぃ?」
『今、実際合ってるだろ。』
「いや、天驟雨さん・・・これはきっと夢なんです!ドリームなんです!」
「明華!何でわざわざ、Englishに!?」
「お〜っと!夕真もだゼ☆」
バシンッ
私は2人を叩いた。
だって煩いんだもん。
「2人とも、ウ・ザ・イ★」
「「は〜い・・・・」」
『おい・・・話を戻すぞ・・・』
「そうですね。全く、2人が迷惑をかけました。」
『躾は、ちゃんとしとけ』
「「アタシ達は、ペットか!!」」
「ところで、何で私達はここに?」
私は、2人のツッコミを無視した。
2人はいじけてるけど、気にしない★
『《裏の世界》を、救ってもらう為だ。』
「え・・・・?」
「《裏の世界》を救う・・・?」
「何でだよ!?」
『お前達《表の世界》が豊かになる分、《裏の世界》は貧しくなる。
逆に、《裏の世界》に平和が訪れれば《表の世界》で戦争が起こる。』
「だから、2つの世界の調和を保つ為、アタシ達が救うと?」
『そうだ。』
「なんでウチ達なんだよ!?」
「そうです。私達じゃなくても良かったんじゃ?」
『お前達じゃなきゃいけないんだ。』
「なんで!?」
夕真が、そう叫んだ。
辺りを、静寂が包む。
天驟雨が口を開いた。
『お前達に、聞く勇気はあるのか?』
私は、グッと言葉を押し込んだ。
誰か、勇気のある人よ
私の代わりに理由を聞いて・・・