朝の目覚めは幼馴染みと共に
久しぶりなので感覚は掴めませんが、見守ってください。
春のうららかな日差しが鳥の鳴き声と共にカーテンの隙間から部屋に漏れる。心地よい朝だ...
「おーい!ハルちゃ〜ん、起っきろ〜!は〜やくしないと遅れるよ〜‼︎」
威勢のいい声が部屋に響く。前言撤回。心地よい朝じゃなかったようだ。
「ふぁーあ...ったく、朝っぱらから騒々しいな!お前は...せっかくの心地いい目覚めを...!?」
朝一番から人の部屋でうるさいこいつに不平を...と起き上がりながら振り向くと、何故か涙目+上目遣いという世の男子にとって必殺とも言えるコンボで俺の方を見つめていた。少しキュンとし...ゴホッゴホ。
というか今の流れでお前が泣くとこあったのか!?
「うぅー、ご、ごめんね、ハルちゃん。私に起こしてもらうの嫌だったよね...心地よい目覚め、邪魔しちゃったもんね...」
はぁー、全く。こいつは昔から変な所で涙もろいっつーか...
「そんなことねーよ、華菜。いつも起こしてもらってありがとうな。」
そう言って俺は華菜を引き寄せて抱きしめる。
これは、あれだ。そう、こうでもしないと泣き止まないんだ、この華菜ってやつは。仕方なくだぞ、仕方なく。
今ものすごく羨ましいと思った奴、退場な。
まぁ、半分は恥ずかしがる華菜を見たいってのもあるけどな。
「ふぇっ⁉︎い、いや、あ、あの、ど、どういたしまして」
おーおー、烈火のごとくに顔赤くしちゃって。
「ふぅ、落ち着いたか?華菜。全く、何故俺が華菜に起こしてもらうのを嫌がるんだ?」
「えっ、そ、それは...」
「それに、嫌いだったら部屋に入れるわけないだろ。
こんな、容姿端麗、成績優秀、おまけにスポーツ万能、性格最高の幼馴染みを誰が嫌うと言うんだ。というか嫌いになるやつがいたら見てみたい。そしてそいつをグーで100発殴ってやる。」
正直言って、自分でも恥ずかしい。いくら気心知れた幼馴染みであってもこれは...というかよくこんな台詞をスラスラ言えたな、俺。
今までの人生でトップレベルの恥ずかしい台詞だぞ、これ。
それに、華菜のやつ照れまくってやがるな。
なんだろこの優越感は。
「へっ、やっ、またそういうこと...あうぅ、わ、私、あ、朝ご飯のよ、用意し、してくるにぇ!あっ!してくるね!」
そう言って部屋を飛び出す華菜。
噛みまくってたぞ、最後。「してくるにぇ!」って、
やばい。面と向かっては言えないが可愛すぎるだろ。
俺を胸焼けか、キュン死させる気か!
はっ!あいつのオーラにやられてしまってた!早く俺も着替えて下降りるか。
あっ、そういや自己紹介忘れてたな。すまん。
俺は萩原春夜。16歳の高1だ。
ステータスで言えば
・容姿・・・中の上ぐらい。(バレンタインとかよくもらうから決して下ではないと思う。)
・成績・・・上の下ぐらい。(トップとは言わないけど、テストで20位以下になったことはない)
・スポーツ・・・一応得意かな?(スポーツテストはいつもAだったけど...)
うん、まぁ、普通だな。平凡だと思う。平凡だと思うよ。俺は。
で、さっき飛び出してった華菜の事な。
こいつは桜屋華菜。俺と同い年の幼馴染みだ。こいつとは幼い時から家が隣で、何かと一緒に行動する。
さっきも言ったがこいつは
容姿端麗でそこらのアイドルより全然綺麗な顔していて、スタイル抜群、いつもテストじゃあ学年1位、おまけにスポーツさせりゃ何でもインターハイレベル、
さらに性格も温厚で優しい、そりゃもう例えるなら女神様のようなやつだ。まぁ、恥ずかしがり屋でちょっとドジっ子で、ちょっと天然という所もあるが、それがまた男子に大ウケで...要するにモテモテなんだが、告白されても毎回断っているらしい。何でも好きな人がいるとか。そいつ、結構羨ましいな。
まぁ、自己紹介はこれくらいにして...
「華菜ー、飯出来てるか〜」
席につきながら親父くさく聞いてみると、
「あっ、うん、出来てるよ〜!」
まだ恥ずかしさが抜けていないのか若干顔の赤い華菜が2人分の朝食を持って来た。
メニューは、ごはんに、豆腐となめこの味噌汁。塩焼きにした紅鮭と大根おろし、白だしの効いた卵焼きに味のり。うん、よくできたうまそうな日本の朝食だ。
「今日は和食にしてみたんだ。ハルちゃん和食好きだしさ。」
「あぁ、いつもありがとうな、華菜。美味しく食べさせていただきます」
「ふふっ、どういたしまして。さ、じゃあ、いただきますしようか」
「あっ、その前に、おはよう。華菜。さっきは言えなかったから」
「そうだね。おはよう、ハルちゃん。じゃ、いただきます」
「いただきます」
そうして朝の時間は過ぎていった。
最初から甘々です。いやーいいね、幼馴染み。
俺もあんな幼馴染み欲しいなぁ。