表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/35

18.箱探し

 ピンポン ピンポン


 インターフォンの音で朝起きる。

 マンションの玄関のカメラには誰もいない。玄関へ行って覗き穴を見ると榊が立っている。早い。っていうか時間聞いてない。なにこれ嫌がらせ?


 ドンドン


「アリス! 起きろ!」


 こら玄関で人の名前出して叫ぶな。


「起きてる。用意するから待ってて」

「嫌だ! 入れろ!」


 は? 寝起きだし、今から着替えるんだけど。家に入れる意味がわからない。隣の自分の家で待てばいいじゃない。


「ちょっと、自分の家で待っててよ」

「嫌だ。開けろ!」


 横暴だ。横暴過ぎるよ。

 仕方ない、玄関のドア越しにこれ以上会話は出来ない。

 ドアを開けて説得しようとした。が、失敗。あっという間に榊に部屋に入られた。押し売りよりもすごいね。




 部屋に入ってドアを閉めて着替えて用意する。なんで自分の家でこそこそ動き回る必要があるの? 榊! キョロキョロしない!


「もう、見過ぎ!」

「アリスも俺の家を見てるじゃないか」


 いやいや、入れたんでしょ榊が私を自分の家に。


「用意できたから行くよ」


 私の部屋も見ようとしてたから慌てて榊の腕をとって玄関へ連れて行く。


「朝飯食べよう」

「え?」


 榊はカバンからパンを出す。もう、なんなんだよ。

 テーブルで朝食をとる私達。これで毎食を共にすることになるんだけど……。



 これ……生徒会長になる人が毎年立候補しないのがわかる。なんだろう。先生でもないのに……小学生でもないのに。嫌だ。榊が私を引き入れた訳がわかる。辛い、これ一人だと。いや、二人でも辛いけど。前を通過する生徒達を前にどんな顔していいかわからない。

 榊はこれにはじめの頃黄色い声で女子に囲まれてたんだよね。そりゃあ、回避するね。……回避か。



「あれ、鏡野! おはよう。副会長もこれする事になったの?」


 柏木君がイマイチこの場所に馴染めない私に声をかけてきた。橘君と登校している。もう陸上部の試合も終わり他の部も試合ないのか橘君は普通に登校しているんだね。

 榊が無理やりだよ。と言いたいけど横に先生が居るんで言えない。チラッと私が先生を見ると柏木君も橘君も理解したようだ。


「またお昼な!」


 って、去って行った。





 お昼の生徒会室。

 いつもの雑談。主に体育祭のコスプレ障害物競走で盛り上がってる。


 何度か来る生徒会に入りたいと言う女子達。そうあれ程私が望んだ女子! 榊はバッサリ断る。橘君か榊か柏木君目当てなんだろうな。今さらに来るんだから。榊目当てっているのかな。私はどう見えてるんだろう。……榊は私をどう思ってるんだろう。彼女のフリをしている存在なんだろうか。ただの暇つぶしなんだろうか。


「……ス!アリス!」

「え?」

「また、聞いてない」


 だって、コスプレ障害物競走の話を聞くと自分の姿を思い出すんだもん。


「なに?」


 怖い。今度はなんだろう? 榊の提案で良かった事がない。


「それが、これから夏休みまで何にもイベントがないんだ!」


 そうだろうね。そんなイベント沢山な学校はないだろう。


「で?」

「アンケートをとろうと思ってるんだ」

「アンケート」


 榊にしてはまともなのか? アンケートってなに?


「そう。生徒から希望を聞こうって事だ」


 ようするにネタがないんだね。


「箱と用紙を設置してみようって」


 柏木君相変わらず可愛い。一番の策士には見えないよ。


「先生に聞いたら、以前生徒会が使ってた箱が何個かあるみたいなんだ」


 もう聞いてるって、また榊のできレースじゃないか! それとも朝のあの時に聞いてたのか? 先生と話できるじゃないか!

 

「で、今からみんなで探すんだ! 鏡野も頑張れよ!」


 橘君もうすっかり榊色になってるよ。

 という訳で、箱探し競争がはじまる、お昼の生徒会室。なんなんだ。みんなイキイキしてる。

 生徒会室、意外にも物が多い。ダンボールが多いから探すの大変なんだけど。引越しの時の事を思い出すよ。中身を書いて置いてよ! 前の生徒会!


「あった!」


 柏木君が見つけた。はあー、終わった。っていう私の希望は


「よし! 次!」


 っていう、張り切ってる榊の声に破られた。フリだ! 探してるフリをしよう。小さいし非力な私には不利なんだから。しかもどう考えても運動能力に優れた男三人相手に。もう! 下の方だけ見よう。疲れた。


「あ、あった!」


 偶然下に置いてあったダンボールの中から出てきた。

 私の見つけた箱もテーブルの上に置いてあった柏木君が見つけた箱の横に並べる。よし! 私は仕事したぞ! 偶然だけど。


「あといくつあるかな?」


 橘君、意地になってる? っていうか、柏木君も榊もまだ探してる。二つじゃ足りないの? それとも探すことに夢中なだけ?

 もう、私はギブアップだよ。でも、探すフリで乗り切ろう。三人は張り切ってる。


「みーつけた!」


 さすがにそこは榊しか手が出ないな。ということで諦めて橘君! 棚じゃない、天井に面した壁のくぼみのとこになぜか置いてあったんだし。背が高い榊じゃないと無理だって。

 というか生徒会室に置いてあるこの箱は何に使ったんだろう。なぜ別々の場所にあったかは作りや大きさが違っているから、別々の年の生徒会が作ったんだろうけど。何に必要?

 悔しそうな橘君だったが、時間切れとなった。お昼がもうすぐ終わる。


「まあ、三つでいいか。放課後はこの箱に装飾するのと、アンケート用紙を作ろう」


 装飾ねえ。確かに大きさとか統一されてないからわかりにくいけど。三つでいいか、って榊、何個探すつもりだったんだ。

 名残惜しそうに生徒会室後にする橘君。競争じゃないってば。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ