2
白い世界になにも無い空間。
その中にぽつんと立っている自分。
「どこだろここ?」
自分がなぜこんな所にいるのか分からない。しばらく、何もない空間を当てもなく歩いてみた。
・・・・・・・。
歩いても歩いても真っ白。
「おーーーーい。誰かいないのーーーーーぉ」
・・・・・・・。
自分の声以外何も聞こえない。どのくらいたったのか時間の感覚も分からなくなってきた。
ふと、記憶がよみがえる。
自分に向かってくる車と光の洪水と衝撃。
その瞬間、体から血の気が引く。
「もしかして、死んじゃったの?」
フラッシュバックの様に事後にあった事を思い出す。車にぶつかった衝撃と大量の血。
体が震え涙がこぼれ頬を濡らす。
泣いても状況が変わるわけではない。
「うしっ。」
落ち込んでもしょうがない!気合を入れ頬を叩く。
パン!
さて、先ずはこの白い世界から出ないと。誰かいないのかなぁ?どうすれば天国に行けるのかなぁ。」
『天国にいきたいの~?』
いきなり後ろから声が聞こえてきた。
ガバッと後ろを振り返るとプカプカと空中に浮かぶ白い髪の少年。
「誰!!!」
『誰って、神様だよ。』
「神様!?」
『何驚いているのかな~真崎茜さん。せっかく誰かいないのかって言ってたから出てきたのにぃ~。』
軽い、軽すぎる。神とか言ったらもうちょっと神々しい感じとかあるんじゃないのか?
『あ---。軽いとか傷づいちゃうな~地獄に落としちゃうよ~』
!!声に出していないのに考えている事が相手に伝わっている。
『神様だからね~。』
一言でかたづけやがりましたよ。
『そうそう、実は余り時間が無いんだよね~。この空間に留まりすぎると死んじゃうからね~。』
死んじゃう?えっ?もう死んでるんじゃないの?、もしかして生き返る事が出来るの?
疑問が沢山出てくる。しかし途中から現実離れした出来事に、ただ夢を見ているだけなんじゃ・・・と思ってくる。
『夢じゃないよ~。時間が無いから簡単に説明しちゃうけど、真崎茜さんあなたは死にました。』
やっぱり死んだんかいorz
『し~か~も~手違いで。(笑)』
(笑)じゃない~~~!
『実はね。僕のペットが地球って星に逃げちゃって、君が引かれた車の前に飛び出ちゃったの。それに驚いた運転手が避けようとして君にドオォォォォォンって感じ。』
・・・・・・・(涙)
『さすがに僕も不味いかなーって思ったんだよね。だから死んだ事はしょうがないとして僕自ら君を転生させてあげようと思ったんだよ。しかも特典付きでね。』
しょうがなくないだろう・・・。特典付きって・・・。
『フフフフフッ。君、ファンタジーが好きなんだってね。』
な、なぜ知っている。いけなり私の無類のファンタジー好きを言い当てた。
魔法とか騎士とか異世界トリップとか、、、もう、大好物ですよ!
『そう、その異世界トリップで人生楽しんじゃえ~~~。』
「えっ?きゃーーーっ。」
言葉が終わると同時に目も開けられないほどの赤い光が私を包む。眩しーーーっ。
『じゃぁね~。』
パァン。と赤い光が弾け、白い空間にはニコニコ悪巧みした神が佇んでいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
真崎 茜 16歳、地球の日本にて交通事故により死亡。
神により説明もなく、ヴァジュール国近郊の森の中に転移。
呼んでいただきありがとうございます。