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高校生活は魔法の世界で  作者: 月上 弦矢
第一章 現実世界
2/6

<1> 高校生活、始まる。



ーー春。



日の光が柔らかく降り注ぎ、暖かな陽気に桜の花が咲きほこるーー



……というのが春だと俺は思うのだが、肌を撫でる四月の風は冷たく、やはり理想は理想なのだと感じさせる。


俺は月波妖希。今日から晴れて高校生となる。今は入学式のために学校へ向かっている途中だ。



今年は何故か、異様に寒い。

すでに四月のはずなのに、未だ半袖になることができない(制服は半袖ではない、というのもある)。



しかしそれは、どうやら俺だけのようだ…。「今日は寒い」と話せば「そうでもない」「熱でもあるのか?」と言われる。気温が下がった、というよりは体感温度が下がったといった方がいいのだろう。



そのような事と、これから始まる高校生活に胸を膨らませながら歩いていると、


「おーい、妖希ー!」


後ろから名前を呼ばれた。振り向いた先には自分と同じ制服を来た男子がこちらへ走ってくる。


「置いてくなんて、薄情な奴だな?」

「寝坊する奴が悪いんだろ……。」


こいつは日向怪也。俺の家のお隣さんで幼馴染。世間一般じゃ俺たちみたいなのを腐れ縁って言うのだろう。


「しっかしお前、ブレザー着るとホント女……ウグッ!」


こいつは中学でバスケ部に入っていた。そのためだろう、憎らしいが俺より身長が高い。…しかしバスケ部って本当に身長高くなるんだな。まぁおかげで鳩尾を殴りやすくて助かってるんだが。空手をやっていてよかったとこいつを殴る度に思う。



どうやら俺は女顔らしい。いや、自分でもわかっている。むしろ顔だけではなく身体つきも男らしくはない。…認めたくはないんだけどな。

中学の頃はよくバカにされた。女子に無理やりセーラー服を着せられた事もあった。が、もう慣れたもんだ。怪也に言われると何故か腹がたつんだが。

高校でもそう言われる事は覚悟している。ふん、勝手に言ってろ。


「そんな所でうずくまってると通行の邪魔だ。それに入学式の時間に間に合わないぞ?」


先程まで見上げていた怪也の姿を見下ろしつつ、俺は再び学校へ向かう足を動かし始めた。



さぁ、高校生活の始まりだ。

と、呟きながら。



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