ショートショート・犬の持ち込めるATMコーナー
掲載日:2026/10/24
秋月美香は社会人になって2年目のOLである。
彼女が貰う給料は銀行振込になっており、それは会社が指定している銀行の支店だけなので、手数料なしで下ろすには平日にそこに行くしかない。
彼女はATMコーナーに行くたびに犬を連れた中高年者が多いので苛立っていた。
ある時、彼女は子犬を紐で繋いで順番待ちしている50代の女性に注意した。
「犬を外に出したらどうですか」
言われた女性は「ふん」といい、目をそらした。
犬がオシッコして床が汚れた。
男性銀行員が飛び出してきた。
彼は床を丁寧に雑巾で拭いた。
美香はなぜ銀行員が床拭きするのか不思議に思った。
美香は銀行員に聞いてみた。
「なぜここには犬が多いんですか?」
「当行では訓練をパスした犬の持ち込みを許可しておりまして」
「は?」
美香はATMの方を見た。
お札が出る蓋が開くと、客が抱えていた犬が「ワン」と吠えた。
お客は札を取り出して帰っていく。
別に不思議はないようだがと美香は思った。
ある老人がお金を取るのを忘れた。
犬が「ワンワン」と吠えたので、老人はATMに戻った。
銀行員はこう言った。
「たまに取るのを忘れる方がいますので、蓋が開くと『ワン』と吠える犬の持ち込みは許可しております」
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