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一週間

作者: mikan.dayo
掲載日:2026/04/28

ワタシの一週間はゴミ出しからはじまる

月曜日。

早朝、マンションのエレベーター前、

隣人とすれ違った。


「おはようございます」

小声で声をかけたけど、返事はなかった。

聞こえなかったのか、

聞こえないふりをされたのかは、分からない。





火曜日。

大学には、もうほとんど行っていない。

夜のバイトで生活している。


昼すぎ、インターホンが鳴った。

大きな段ボールが届く。


「重いね、これ」

そう言って笑いながら、A君が部屋まで運んでくれた。

同郷の人で、ここでは数少ない話し相手。


帰り際、彼は空いた段ボールを軽く持ち上げて言った。


「これ、持っていくよ。特別だよ」

その言い方が、少しだけ気になった。


夜、パパから電話が来た。

「カニ送るから、冷凍庫、空けとけ」


一人暮らしなのに、うちには冷蔵庫が二つある。





水曜日。

最悪だ。


去年のゼミで一緒だったB君に、部屋を知られた。

同じ店で働いているC娘から聞いたらしい。





木曜日。

カニが届いた。

今日もやけに大きい段ボール。

重くて運べないから、いつものようにA君に頼んだ。


「ほんと助かる」

そう言うと、A君は笑って

「いいよ、特別だよ」

とだけ言った。





金曜日。

夜、ゴミ捨てに出たところを、B君に見つかった。


−−ゴミ出しはやっぱり朝がいい。

今さら遅いけど。


そのまま部屋に上がり込まれる。

酒を持ち込み、勝手に開けて、

私のビールまで飲み干していく。


「いい酒だから酔い回るだろ」

うるさい。


抱きつかれて、振り払って、逃げて——

トイレに閉じこもったところで、意識が落ちた。





土曜日。

昼過ぎ、目を覚ますと、トイレの床に倒れていた。

頭が割れそうに痛い。


B君の姿はない。


帰ったのかと思ったけど、玄関にサンダルが残っていた。


そのまま、夜のバイトに出た。


帰ってきた部屋は、妙に静かだった。

誰もいないはずなのに、落ち着かない。


まだ、サンダルは玄関だ。

ベランダに動かした。





日曜日。

悪い夢を見た。


押さえつけられて、

身体をなで回すその手を、振りほどいて

―――

B君が動かなくなる夢。


目が覚めても、胸のざわつきは消えなかった。


昼過ぎ、宅配が来た。

知らない配達員だった。


重い段ボールを部屋に置いてもらいながら、ぼんやり思う。


−−今日は、段ボール出せないな。














――――――――――――――――――――――――





月曜日。


『あの部屋の子、捕まったらしいわよ』


隣人の声が、廊下に響く。


『挨拶しても、いつも小声でね。

ちょっと気味悪かったのよ。

派手な友だちも出入りしてたし、この前なんて

夜中うるさくて』


『理由?知らないわよ。

でもね、段ボールがどうとか、警察が言ってたみたい』






何をしたのか、よく分からない。


B君は——

生きているらしい。

それだけは、よかった。


じゃあ私は?


冷蔵庫のことも、段ボールのことも、

うまく思い出せない。


パパは、いろんなものを送ってくれた。

食べ物も。

果物も。


C娘にも、よく分けてあげていた。


それの、何が悪いの?


箱の中に入っていた、白いクッション材。

あれが何なのかも、知らない。


知らなかっただけなのに。


国には、もう帰れないの?


パパは——来ない。

だって、本当の親じゃないから。







静かな部屋の中で、

ようやく、ひとつだけ分かった。


A君が、日曜日に来なかった理由。


取調室で、向かいに座った警察官が言う。


「宅配のA君、同郷なんだってね」


私は、何も答えられなかった。

初投稿です。

夢で見たストーリーをまとめてみた。

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