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風属性の最高火力  作者: 白河 夜
第三章 ウラノス魔法学院編 覇王祭
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028 シドとサリーの冒険者登録‐⑤

秘石の(ミステル・)煌杖(レイディアント)・形態変化・七式炸壊光線砲(シエテ・ルーインレイ)


現代兵器、いや、未来兵器が猛威を振るう。杖のパーツが一度ばらけて浮かび上がり、秘石を中心に(コア)がくみ上げられる。そして空気中の分子が合成されたのか、(コア)を中心に砲門が出来上がり、中から極太のレーザーを撃ち出した。レーザーは不規則に揺らぎを見せている。恐らく、この砲門は光の粒としての性質と波としての性質を併せ持っていて、それにより相手を壊しながらもレーザーとしての威力を発揮しているのだろう。


グギャアアアアア


直撃したレーザーが大地竜(グランドドラゴン)が苦悶の声をあげた。だが…


レーザー攻撃が終わるとそこには鱗を焼かれながらもダメージは中まで通さず、その鱗も再生させつつある大地竜(グランドドラゴン)がいた。


「誠くん!」

「わかってる。」


大地竜(グランドドラゴン)に反撃のすきを与えないために駆け出し、先ほど描いた魔法陣を発動する。


「振閃音典・刺壊音響(ノイズステイブ)。まだまだ、振閃音典・浸透音撃(ぺネトルノイズ)


即席の魔法陣だが、かなり形になっているようだ。特定の周波数の音を不規則にならし、相手も耳に鋭い音を突き刺すと同時に催眠状態に陥れ、混乱させる。もともとドラゴンは五感が非常に鋭い。そのため、この魔法によるダメージはかなりの物だろう。そして、二回目にはなったのは振動を体の奥底まで使える魔法。音の本質である振動を最大限生かした形だ。


「ナイスだ、テト。」


ドラゴンが硬直したのを見て後ろでレオが叫ぶ。


烈火滅焔砲(インシネレイト・カノン)


かなりの威力の魔法が放たれ、大地竜(グランドドラゴン)を襲う。超新星焔光砲(グリットノヴァ・パースィストリア)を使わないあたり、レオはやっぱりわかってるね。それをやったら跡形も残らないからな。


固有記録(パーソナルレコード)・第三章 一節派生。《万黒槍》・128」


大量の黒い槍が浮かび上がり、大地竜(グランドドラゴン)を貫く。致命傷には至らないもののかなりの傷を加えている。


「大槌術・覇打剛撃」


サリーさんの槌が激突し、大地竜(グランドドラゴン)が凹む。


「光装展開・攻撃魔法・聖晄煉閃(セント・ルクスシャフト)


ダメ押しのようにアイリスから魔法が飛ぶ。


だが、それでも殺し切れていない。


「誠くん、いけます?」

「ああ、いける。振閃音典・複合攻撃術式・浸壊刺殺音響(パーミエート・ステイブノイズ)


大地竜(グランドドラゴン)の頭に向かっていった不可視の攻撃が、大地竜(グランドドラゴン)の脳を内側から破壊しつくす。


大地竜(グランドドラゴン)は声をあげることさえできずに死に絶えた。


「うっし。」

「ナイス、テト。」

「おつかれさまです、テトくん。」


大地竜(グランドドラゴン)が死んだのを確認し、皆が集まってくる。


「結構強かったね。」

「ああ、そうでな。中途半端に再生するせいで消し飛ばしたくなる。」

「ちょ、レオ、依頼なんだから、物証は大切にしないと」

「だからこらえたじゃねえか。」


喋りながら大地竜(グランドドラゴン)の死体を魔法箱(アイテムボックス)にしまい込む。


「なあ、テト。この洞窟、まだ奥まであるぞ?」

「うん、だからこうする。」


魔法陣を描いて生体電気の感知のための魔法を洞窟に仕掛ける。これで中の魔物がここより外に行こうとしてもわかるはずだ。


「じゃあ午後は僕たちは授業に出ないといけないし、帰ろうか。」

「そうですね。」


元来た道へと振り向く。


「帰りは飛んで帰ろうか。」


行きは、何があるかわからないため自分の足で歩いていたが、帰りに歩く必要などない。


飛翔(フライ)


来るときに使ったものと同じ、複数任用の飛翔(フライ)を発動する。


「うおっ、変な感じだな。」


風魔法によって浮かび上がらせる。慣れない人はかなり違和感があるだろう。


かなりの速度で移動し、洞窟から出た後冒険者ギルドに戻ってきた。

受付まで戻り、依頼の手続きを終わらせる。


机の方を探し、紗奈を見つける。やっぱり帰ってなかったのか。


「遅くなってごめん。じゃあ紗奈、適当なところでご飯でも食べようか。」

「はーい。早く行きましょう、誠くん。」


紗奈が嬉しそうに立ち上がるのを見て和む。


ギルドの外に出て、商店区画へと来る。すると紗奈が迷いなく進んでいき、店に入っていった。


「いらっしゃいませ」


カフェのような店だ。この世界にもこういうのがあったのか。というか紗奈はいつ見つけたんだ?…


「あ、店員さんおはようございます。」

「ルナさんですか。あれ、そちらの方は彼氏さんですか?ルナさんも隅に置けませんね〜」


紗奈が顔を赤くする。プライスレス。けど、いつの間にこんなに仲良くなったんだ?女子の生態は謎だな…


「いえいえ、彼氏ではないですよ。」


紗奈が顔を赤くしたままなので僕が答えると、何故か紗奈はむくれていた。


「それで、この店には何があるんですか?」

「あ、すみません。案内いたしますね。」


席まで連れて行ってもらい、メニューを見ると、まんまカフェだった。


「それじゃ、珈琲(コーヒー)とパンケーキをお願いします。紗奈はどうする?」


しばらくむくれていた紗奈に声を掛ける。


「私はいつものでお願いします。」

「承りました。少々お待ち下さい。」


店員さんが注文を受け、厨房の方へと戻っていった。


「今日は楽しかったね、紗奈。」

「はい、そうですね。誠くんの新しい魔法も出来上がりました。」


紗奈が浮かない顔をしている。


「紗奈、どうしたの?」

「へ?ど、どうして…」

「いや、どれだけ一緒にいたと思ってるの?紗奈が何か浮かないことでもあったらわかるに決まってんじゃん。」


紗奈と一緒にいた2年間。それは僕にとって、地球の人生よりも大切なことだし、それだけ一緒にいたのだから、そりゃわかる。


「私の実力が、誠くんに追い付いていないのではないかと思いまして…」


いつの間にか運ばれてきたパンケーキとコーヒー、紗奈のタピオカを口に入れる。店員さんが空気を読んでくれたのだろう。


「ごめん、紗奈。僕はさ、才能がないんだよ。紗奈みたいに天才じゃない。でも、紗奈が僕のために時間を割いてくれていたからここまで強くなれたんだよ。紗奈が追いついていないなんてことはないし、それはただの時間の問題。僕が紗奈に頼ってたせいだ。」


「そうですか…?」


「うん。ごめんね。うーん、あんまり償いには足らない気がするけど、僕ができる限り紗奈の頼みをどんなものでも聞くよ。それでいい?」


「へ?い、いや、そんなのは誠くんに悪いです…」

「気にしないで。どうせ僕にできることなんてあまりないし。」


償いと言っても僕の自己満足のようなものだ。それに、僕に出来ることなどたいてい紗奈も出来る。


「そ、それじゃあ、あーん、してください。」


紗奈が顔を赤らめながら言う。可愛いけど、シリアスが吹き飛んだ。


「なんでその結論になったんだ…?」

「い、いいでしょう、別に。ほら、なんでも聞くって言いましたよね?ほら、早く。」


めっちゃ恥ずかしい。そういう系の罰ゲームは予想していなかった。


「じゃ、じゃあ。はい、あーん」


フォークでパンケーキを紗奈の口元に持っていく。


「い、いただき、ます…」


頬を紅潮させた紗奈が口先を持っていき、フォークを咥える。可愛い。


「それじゃ、わ、私も。ほら、誠くん。あーん。」


今度は紗奈がこっちにフォークを差し出してきた。ぇ゙?聞いてないんだが?というか今、それ使ったよね?


「誠くん、私の言うことをなんでも聞くって言いましたよね?一回だけとも言ってませんよね?」

「くっ」


フォークを咥え、パンケーキを食べる。

はー、恥ずかしい。

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