025 シドとサリーの冒険者登録‐②
「えっと、お二人は冒険者登録をするんですか?」
「ああ、するつもりだぞ。」
「シド君がするからー、するつもりだよー。」
この二人めっちゃ仲いいな。
「うーん、制服で行った方が良かったかも。」
「なんでですかー?」
「冒険者ギルドは結構治安が悪いからね。制服で行く方が牽制になるんだよね。」
「それなら、私たちが昨日もらった勲章を使えばいいんじゃないですか?」
確かにね。それなら牽制になるだろう。
「それじゃ、僕がつけるよ。あれは目立つからね。紗奈がつけて絡まれても嫌だしね。」
「ありがとうございます。」
シドの生温い視線を感じたが無視する。制服のコートだけ装備の上から羽織る。
「さて、ここだ。」
前に入った小さな冒険者ギルドとは格の違う大きさ。しかし、雰囲気は酷似している。
ドアを開けて中に入ると、ちょうど依頼を受ける冒険者で賑わっていた。
「すみません、冒険者登録に来たんですけど。」
受付のほうに歩いていく。
「ああ、冒険者登録ですか。それではこの紙にご記入をお願いします。何人ですか?」
「僕と彼女は登録済みなので、後ろの二人です。」
「はい、それではどうぞ。代筆も承っておりますがどうしますか?」
「いえ、結構です。」
受け取った紙を二人に渡し、書かせる。
「終わったぞ。」
「終わりましたー。」
「早いな。じゃあこれで。」
先ほどの受付へと持って行き、登録をお願いする。
「はーい。ありがとうございました。ギルドの説明は必要ですか?」
「いえ、結構です。それと、ジャンプアップ登録の申請をしたいんですけど…」
僕たちが登録するときに行っていた特例のランク。あれは正確にはジャンプアップ登録というらしい。
「申し訳ありません、それは…」
「ああ、僕たちはウラノス魔法学院の特待生の一年生です。」
「へ?す、少しお待ちください。」
そういって受付嬢がカウンターの奥に行った。
「なんだ?ジャンプアップ登録って。」
「うーんとね、冒険者って、FランクからDランクの時は最低一ヶ月に一回は依頼を受けなきゃいけないんだよ。でも、Cランクから始められればそれもなくなる。それに、FランクとかEランクは討伐依頼がないから、かなり暇らしいんだよ。」
「マジか。それを無視してCから始めるのがジャンプアップ登録ってことか?」
「うん、そうだよ。」
「でも、そうするとみんなそれをやろうとするんじゃねえか?」
そうだ。でも、このジャンプアップ登録は基本的にできない。だから、何らかのある程度以上の実力があることを証明できるものがいる。
「そうだよ。だから、最初受付の人は断ったでしょ。でも、僕たちが特待生だって言ったから一回戻って上に聞いてる。」
「そうなのか。じゃあお前らはどうしたんだ?」
「テンプレで絡んできた冒険者をぶっ飛ばした。そしたら受けられた。」
「じゃあそれでよかったじゃねえか。」
まぁそれでもいいんだけどね?やっぱり平和にやった方がいいじゃん。
「お待たせしました。只今確認が取れましたので、受験可能となります。」
「ありがとうございます。」
「えっと、戦う相手はCランク以上の冒険者なんですが…」
そうなのかCランクでもいいなら楽だな。
「僕が受けてもいいですか?」
「えっ?は、はい。でも審判は私ですよ?」
「問題ないです。コイツの攻撃が他人に向けられるのが怖いだけなんで。」
「おいお前、失礼だな。」
「ちょっと黙ってろ。それで、僕でもいいんですね?」
「は、はい。規定上問題はありません。」
どうやらそれで問題なかったようだ。
「それでは、地下の闘技場にお連れします。」
受付嬢に連れられて降りていく。
「ここです。それでは、誰と誰で戦います?」
「それじゃあ僕とシド、ルナとサリーさんで。」
「承りました。同時に試合をなさいますか?」
「はい、お願いします。」
「誠くん、紅蓮剣の紅蓮権能使ってもいいですか?」
「だめでしょ。」
そう言いながらシドを連れて闘技場の真ん中に立つ。紗奈もサリーさんと一緒に反対側に立っている。
「それではカウントしますよ。3.2.1.スタート」
合図に沿って緋璃刀を抜く。即座に斬り掛かった。
「秘石の煌杖・形態変化・高周波ブレード」
緋璃刀が受け止められた。細かく振動するあの武器に。
「そんなこと出来たの!?」
しかも扱いが上手い。慣れているのだろう。
「嵐装展開・攻撃術式・竜巻槍・超弾数」
竜巻槍が雨あられの如くばら撒かれる。
「固有記録・第三章一節派生・黒絶結界」
全て簡単に止められた。シドは漆黒の結界の中に隠れている。
「隠れてんじゃねえ。出てこい」
恐らくあれは空間系の結界だ。生半可なものは効かないだろう。
「おらっ、魔力はこっちのほうが多いんだから、魔力量で押し切ってやるよ。界雷権能・万雷終閃」
周りに被害が出ないよう極限まで圧縮した紫電。それが黒絶結界を貫く。
「ったく、何すんだよ。」
「ある程度強い魔法使わないと、合格にならないんだよ。」
「そうなのか?」
「そうだよ。それで受付さん、合格ですか?」
とりあえず先に合否を訊いておいた方がいい。
「はっ、はい。合格です。ギルドカードを発行しますので、少しお待ち下さい。」
紗奈達は先に終わっていたので、二階のカウンターに戻る。すると、まだ残っていた冒険者に絡まれ…ない。
「おい、ここはガキの「おい、お前、やめろ。コイツ、蒼翠勲章付きの魔法伯だぞ」」
「何?」
僕がニッコニコの笑顔で振り向くと、なぜか周りの奴に引き止められている。
「おいテト、もしかしてその勲章結構すごいヤツだったんじゃないか?というか、魔法伯ってわかるんだから、七魔戦が広がったとか?」
「たしかに。王様の家臣がめっちゃ止めてたしね。」
「やばいやつじゃん。」
「まあどうにかなるよ。」
うん。この勲章の権威も知れたし、いつか役立つだろう。
「お待たせしました。シド=ルストリアさんCランク、サリー=シルフォードさんもCランクです。パーティー申請はなさいますか?」
「すみません、ちょっと待ってください。」
一度止める。
「誠くん、どうかしたんですか?」
「実はレオが僕たちのパーティーに入りたいって言っててな。」
「いいんじゃないですか?火力が増えますし、私も炎魔法を習えます。」
「俺もいいぞ。」
「シドくんがいいなら私もいいですよー。」
あっさり許可されたな。問題ないだろう。
「それじゃ、レオ呼んでくるか。」
「は?」
「僕が飛翔魔法で引っ張ってくるから待ってて。」
「お前、一応先輩だぞ…」
大丈夫なはずだ。少年漫画じゃないけど、試合で通じ合った。
「大丈夫なはず。」
「おい。」




