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風属性の最高火力  作者: 白河 夜
第二章 ウラノス魔法学院編 七魔戦
23/34

022 授与式

____、意識が上ってきた。体が暖かい感触に包まれている。


「ここは…?」


目を開けると、すぐ横に紗奈の顔が見えた。また僕を抱きしめて、すうすうと寝ている。紗奈は抱き枕とかほしいのかな?よく見ると、目の下に水が滴ったような筋がある。心配させたかな?


「さ、な?」


「おはようございます、誠くん。」


紗奈が目を開け、答えた。


「えっと、今はどういう状況?」

「誠くんとレオさんがバカみたいな火力勝負をした後、競技場が壊れないように二人で止めようとして、誠くんは魔力の無理やりの抽出で意識を失ったんですよ。」


魔力の抽出。普通の人は、よほどの精神力がない限り余剰生命力がなくなれれば魔力へ変換するものがなくなり、魔力切れを起こす。しかし、僕が使う魔法陣にはあらかじめ生命力の変換術式が組んであるため、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。っというか、紗奈の笑顔が怖い。笑ってるのに目は全く笑ってない。


「誠くん、私、言いましたよね?魔力の強制変換はやめてくださいって。今回は意識を失うだけで済みましたが、次はどうなるかわかりませんよ?もう一度、約束してください。魔力の強制変換は絶対に行わないでください。誠くんの命に関わるんですよ?誠くんには絶対に死んでほしくないので。」

「え?えっと、は、はい。約束する。最後、俺に「何でもないです。忘れてください。とにかく、必要な生命力から魔力を抽出するのはやめてください。」わ、わかりました…。」


最後になぜか紗奈が僕に死んでほしくないといっていたが、まあ恐らく友達的な意味合いだろう。


「よいしょっと」


何故か抱きしめるのをやめない紗奈を揺らさないようにしながら体を起こすと、傷はなくなり、多少だるいが体自体は健康だ。


「アイリスさんがわざわざこの病室に来て治療してくださったんですよ。」

「あっ、確かに、アイリスさんの光魔法なら治療できそうだもんな。あとでお礼を言わないと。」

「そうですね。それじゃ、立てそうですか?立てそうなら、そろそろ授与式が始まるから、できれば出席してほしいとのことですけど…」

「大丈夫。行くよ。」


そのままベットから起き上がる。そして靴を履き、魔法箱(アイテムボックス)を装着して歩き出す。

なぜか手は紗奈とつないだままだった。


▨▨▨▨▨


会場に来るとすでにアナウンスが流れていた。


「さあ、いよいよ授与式です。ウラノス魔法学院の先鋒、中堅、大将は入場してください。」


実況が叫んだ。まだいたんだ、実況さん…


「先鋒はぁあああ、”絶対王者”レオ相手に死闘を演じ、次の試合を棄権させた”不明覇者”テト=スプライトォオオオ」


呼び出されたので、人がいない中央の道にでて王様の前に歩き出す。って、王様⁉この試合、王様が授与式に出るほどなのぉ?

動揺を隠しながら、既定の位置につく。


「中堅はああああ、見事水属性のアストラの魔力を削り、大将をサポートした、伯爵子息オリオン=ラベンダー‼」

「そしてぇええ、アストラに完勝した公爵令嬢で”大地の聖女”ローラ=マンチェスター。以上の三名が、ウラノス学院を覇者へと押し上げた人材だああああ。彼らの努力に、盛大な拍手と歓声を‼」


「ワアアアアアアアアアアアアアア」


観客が立ち上がり、歓声を挙げる。まあ落ちぶれたとはいえ、ウラノス魔法学院は上半分には毎年入ってたんだけどね。


「ほらほら、テトくん。こういう時は手を挙げて返すんだよ。」


見ると、ローラ先輩もオリオン先輩も手を挙げて応えている。

なので、僕も手を挙げてみた。


「ワアアアアアア」


さらに歓声が強くなる。そんなに歓声が大きくなるようなことしたかな?まあ、恐らく僕の雷系の魔法が原因だろう。


「それでは、歓声が終わったところで、第二位の座は死守したウラノス学院。”絶対王者”レオとアストラ。出てきて、ウラノス学院と健闘を称えあいましょう。」


言われた通り二人が上がってきた。


「レオ、棄権したのか?」

「ってめ、クソガキが。タメ口きいてんじゃねえよ。っというか、あれで次の試合に出られるわけがないだろう。テトのせいで魔力は枯渇するし、体は痛いし…。ってか、あの試合の勝者は俺じゃないだろ。おまえ、真ん中の超新星焔光砲(グリットノヴァ・パースィストリア)零式虚黒百雷砲(ヴォイド・エルブス・アーティラル)のぶつかったのを抑える以外に観客席の方にも魔力をひねり出して結界張ってただろ。そのせいでお前は気絶したってのに、なんで俺が勝ってることになるんだよ。」

「そりゃあ、僕は戦闘不能でしたしー。」

「ったく、お前は…。なあテト。パーティーを組まないか?お前、冒険者登録してるだろ?」

「ええ、していますけど…、ちょっと考えさせてください。」


冒険者登録か。いいけれど、シドや紗奈と話し合わないとな。


「っというか、在学中に冒険者の仕事してもいいんですか?」

「は?お前、何言ってるんだ?そもそも冒険者の仕事は必修で、卒業までに必ずCランク以上にならないと卒業資格が満たせないんだぞ?それに、冒険者ランクが上がるにつれて学内での優遇もあるぞ?」

「そうだったのか。それじゃ、考えとくよ。」

「おお、そうだな。」


「それでは、ついに褒美の授与です。」


なにそれ?そんなものがあるの?


「さあ、今回のMVPは、”不明覇者”テトです。」


この二つ名、冷静に聞くとすごい恥ずかしいな。でも、この世界では二つ名がある人は二つ名を頭につけることで敬称になるらしいので、仕方ない?


「”不明覇者”テトよ。今回の七魔戦での活躍、非常に大儀であった。そして、お主が操るオリジナル魔法の雷や風。風属性であのような偉業をなして遂げることは、魔法界に激震が走るほどだった。そして、その威力の魔法の短縮詠唱。どれをとっても素晴らしい。そちに魔法候位を授けたいと思うのだが、どうだ?」


国王の側近がどよめいた。なぜか財務大臣らしき人がわめいている。

そして、すげなく国王がそれを突っぱねた。

この国王様、周りのボディガードより強者の気配いがビンビン伝わってくる。ボディガードの意味ないじゃん…。


「謹んで辞退したいと思います。」

「ふむ。なぜだ?」

「私は将来冒険者になり、世界を行くつもりです。もちろん、ここ以外の国の爵位を受けるつもりはございません。それに、僕には紗奈もいます。僕だけが侯爵位をいただくわけにはいきません。」


自分だけ魔法候とかになったら紗奈と会える時間も減るのでは?


「さすがに気付くか。聡い子だな。それでは、魔法伯はどうだ?領地を持たず、宮廷内での仕事もない。どこへ旅をしようと基本的に自由だ。ただし、よっぽどの国の危機に陥った時には助けてもらうかもしれんがの。それと、紗奈…?ルナか。確か特待生であったな。実力はどうなんだ?」


国王が側近に問いかけると、すぐに答えが返ってきている。いい側近だな。


「今回選ばれなかったのはバランスの問題…か。そもそも本来ならシドも魔法位を授けるレベルの魔法を使っておる。それなら___」


もともと僕は比較的この国を気に入っている。もとよりあまりに危機に陥るようであれば助けるつもりだったので、そこまで問題はないだろう。


「シド=ルストリア、”絶対王者”レオ、”聖守護天使”アイリスよ。前に出よ。」


三人が驚いた顔をしながらこちらへやってきて跪いた。


「そちの魔法力を見込み、魔法子爵の地位を授ける。励むがよい。」


有無を言わせぬ口調で国王が言う。後ろで、シドの親が思いっきりガッツポーズをしている。


「謹んで御請けいたします。」


どうやら魔法位というものがあるらしい。けど、そんなにバンバン任命していいの?


「最後に、ルナ=フレアナイト。この場で、お主の使える最高火力の魔法を放ってみよ。」


紗奈が歩いてきた。そして、僕の隣で止まる。


「誠くん、みててください。私は、レオ先輩の魔法を盗んで、私なりに改良します。いま、この場で。」


紗奈が手をまっすぐに上に向け、その手の周りに何十にも魔法陣が描かれていく。


蒼閃暁滅焔光砲(ブルー・バーニング・パースィストリア)


蒼い光が眼を貫き、一拍遅れてドンッという音が響き渡り、結界は簡単に破壊され___


「おいおいマジかよ。固有記録(パーソナルレコード)・第三章・第三節応用・《黒絶禍》」


結界に蒼閃煉滅焔光砲(ブルー・バーニング・パースィストリア)がぶつかる直前でシドが魔術を使い、威力を減衰させる。


「やばっ界雷権能・渦雷結界・三重(トライス)

「クソがッ燃やし尽くせ。烈火滅焔(インシネレイト)


僕とシドとレオでなんとか食い止める。今のは普通にクッソつよかったな。


「紗奈?結界壊れちゃうよ?」

「あ、すみません。」


「ふむ。恐ろしいな。あの試合を観戦しただけでレオから技を盗んだか。」


うん、確かに恐ろしいよね。紗奈は魔法を使う時は感覚で使うが、ちゃんと理論の理解もしているからもっと恐ろしい。


「いいだろう。それでは、二人とも、我が前に来い。」


へ?マジで言ってる?そのまま前へ進むと、国王が立ち上がった。


「そちら二人の功績を讃え、魔法伯位を授ける。それでいいな?」

「「謹んで御請け致します」」

「それでよい。ちなみに魔法伯は直接国王に直訴をすることが可能で、むしろ領地に縛られない分魔法候よりも権力が強いぞ。」

「えっ?」


国王がいたずらっぽく笑う。騙された。この国王、僕があまり爵位に詳しくないことを利用して、最初から魔法伯に就かせるつもりだったな?油断ならない国王だな。


「さて、これで最後だ。そちらに、我直々に蒼翠勲章と幻焔勲章を授ける。」


国王が僕たちの制服に勲章を取り付けた。マジで?大盤振る舞いだな。


「ローレン皇国で勇者が召喚されたらしい。もっとも、一人だけ召喚されなかったらしいがな。じきに、勇者召喚の術式がない我が国はなめられるかもしれん。それを防ぐためにはこのように魔法師を増やしていった方がいいだろう。それでは、これで授与式を終わりとする。」


え?最後に不穏なことが聞こえたんですが…

七魔戦編はこれで終わりです。閑話を挟んだ後、次の章に行きます。お楽しみいただけると幸いです。ちょこちょこ冒険者の方も始めたいと思います。

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