021 七魔戦‐⑦
今回は厨二魔法がめちゃくちゃたくさん出てきます。ごてごての厨二嫌いな人はすみません。厨二用語がたくさん出てくる回はあまり多くないので、ご容赦ください。
「さあ、いよいよ七魔戦二日目だあああああ。苛烈を極めた一年生編は終わった。しかし、いままさに、”不敗のウラノス”が復活を遂げようとしているぅううう。さあ、サターン魔法学院からは火属性の二年生、”絶対王者”レオ。三年生すら超えるといわれる逸材だああああ。一方、それに対抗するのは昨日の一日にして二つ名がついた、”不明覇者”テト=スプライトォオオオ」
「え?二つ名って何⁉」
「ああ、テトくんは知らなかったの?ここ、七魔戦では極々稀に、二つ名が生まれることがあるのよ~。あの実況さんが二つ名に値すると思った人を観客に二つ名をつけるか選んでもらって、観客の九割以上が二つ名が必要だと投票した場合二つ名が考案され、決定されるんだよ。」
「何それ…」
「大丈夫だよ、テトくん。二つ名は一年生でも十年に一回くらいは得ている人いるよ。「神童」アイリスちゃんだって今回二つ名を得ることになってたし。「神童」っていうのは二つ名ではないからね。ちなみに同じ年に一年生が二人も二つ名を得るなんて今年が初めてだよ。」
「全然大丈夫じゃない…。あ、じゃあアイリスさんの二つ名って何なんですか?」
「”聖守護天使”アイリスだよ。実は、あの戦いで一部熱狂的なファンが生まれてね…。」
「マジですか」
まあついてしまったことは仕方ないが、なんで不明覇者なんだ?
「”不明覇者”テト。その魔法は全く解析が出来ない。真っ当な風属性の魔法、といってもオリジナル魔法ばかりだが、とにかく風の魔法を使ったと思えば、完全な無詠唱で雷?の魔法を使い、一年の覇者となったあああ。さあ、”絶対王者”レオにどのような立ち回りを見せるのか?それとも固有魔法を持たないと思われるテトが大番狂わせが起きるのか?一年にして二つ名持ちのテトと王者レオが、いざ、ぶつかるぅうう。さあ、両者舞台に上がってください。それでは____、」
先輩と別れ、言われた通り舞台に上がると、奥からレオさんが歩いてきた。そのたたずまいがはとても二年生であるとは思えない、文字通り王者の風格を纏っている。っというか、最早このレベルの試合だと、固有魔法を持たない方がおかしいのか。
「こんにちは、レオさん」
「ああ、よろしく頼む。テト、君は強いな。そのシンプルな魔法、シンプルに火力が高く、それゆえに防ぎにくいな。」
「おほめいただきありがとうございます。」
柔らかに返された。
だが、さっきから強者特有の気配がビンビン感じられる。こんなのは、対大鬼戦以来だ。まあ、まったく強さがわからないレイヴン先生と、今考えると意図的に気配を抑えているように思えたノア=セアドールを考えなければだが。
「ファイティング、スターーーーートォオオオオオ」
瞬間、レオさんが戦闘モードへと移行し、絶大な殺意を纏う。
「すごい覇気ですね、レオさん。」
即座に僕も頭の中を戦闘へと移行し、界雷刀を抜く。
「来い。」
「どうやら格上のようですし、出し惜しみはなしで行きますよ。界雷権能・紫電万雷!」
まずは使いやすい紫電万雷から。この魔法はある程度広範囲に高火力の魔法を放てるので重宝する。
「焼き尽くせ、灼熱劫火」
一瞬で打ち消された。強引に燃やされる。
「それだけか?焼き滅ぼせ、烈火滅焔」
「界雷権能・渦雷結界」
あっぶな。あと少し渦雷結界を張るのが遅かったら骨も残らなかっただろう。というか、
「えっ?」
ピキッ。渦雷結界が嫌な音を立てる。
「マジかよ」
咄嗟にそこから雷を纏って飛び退くと、一気に渦雷結界が破壊された。
「まさか一撃とは…。じゃあ、これはどうですか?界雷権能・蒼雷燼滅」
かなりの火力を誇る蒼雷燼滅。これをそのまま受けることはできないはずだ。
「強いな。三年生でも勝てないほどの火力。だが、火力戦なら俺なら、俺には固有魔法がある。真正面から潰してやる。まさか、一年相手に固有魔法を使わされるとはな。
破滅を司りし炎よ、我が意にしたがいその威を示せ。その終焉の力は我の手元にあるなり。超新星焔光砲」
「は⁉」
「おっと、”絶対王者”レオ、早くも固有魔法を使ったあああ。”不明覇者”テトは、固有魔法を使わなければいけないほどの火力を持っているということだああああ。」
超高熱の熱風が体に当たる。蒼雷燼滅は、超新星焔光砲に搔き消され、超新星焔光砲がそのまま向かってくる。いくら固有魔法が支援系ではなく一つの攻撃魔法であるとはいえ、強すぎる。
「やばっ、我が最高火力よ、弾けよ。界雷権能・零式白黒百雷砲」
零式白黒百雷砲。
蒼雷燼滅が可愛く見えるほどの火力。僕が生み出した、僕の魔法の中で最も強い魔法。その火力は、これ以外の界雷権能全てを集めても容易く勝る程だ。そして、偶然によって生み出したがゆえに詠唱による補助をしなければならない。
界雷権能は、あの大鬼を倒した時の極度の集中で思いついた魔法を、あの森を出る時に実際に開発したもので、その時偶然作り上げたものがこの零式白黒百雷砲だ。
「お前、その何だ魔法は……」
「こっちのセリフですよ。先輩たちからいくら貴方でもここまでの火力を有しているとは聞いていません。」
軽口を叩いているが、お互いに顔を引き攣らせ、競技場の端まで逃げる。事前にこの競技場が古代の遺産でものすごく頑丈であることは知っているが、それでもこのレベルの火力に耐えられるとは思えないし、互いの魔法が中央でぶつかれば、僕たちに莫大な余波が来るだろう。
「ったく、一年でここまで強いとは。素晴らしいな。それでも、この試合は勝たせて貰うぞ。互いの魔力が続く限り魔法を打ち続けてやるよ。
破滅を司りし炎よ、我が意にしたがいその威を示せ。その終焉の力は我の手元にあるなり。その絶望は数となりて上書きされる。超新星焔光砲」
焔の色が吹き荒れる。今度は、複数だ。一つ一つが超火力の超新星焔光砲が大量に襲ってくる。
「我が最高火力を持ちし雷鎚よ。それは質と量を共に持ち合わせる。弾けよ。界雷権能・零式白黒百雷砲・超弾数」
こちらも全力で撃ち返す。競技場が真ん中で二分され、僕の方には白黒の雷が、レオさんのところには焔が紅く舞い踊っている。
「おいおい、マジかよ。こんなことしたら、お互いが打つのをやめた瞬間溜まったエネルギーで此処がぶっ壊れるぞ?」
「あはは、このままチキンレースですよね?どっちが先に魔力が切れるんでしょうね?」
「知るか。それにしても、楽しいなあ。本気でぶつかり合えるなんてな」
「僕も楽しいですよ。この攻撃魔法は強すぎます。こういう時しか使えないんですよ。」
極度の集中。大鬼戦の時以来だ。体が全能感に包まれ、自分とレオ以外何も感じなくなる。
「あは、あはははは。」
「はっ、はっはっはっは。」
思わず笑ってしまうくらいに、楽しい。全力で力を解放し、自分の全てを注ぎ込んだ戦いが楽しくてしょうがない。そして、戦いの中で極度の集中を利用し、さらなる魔法陣をくみ上げていく。もう、この魔法陣の把握は完了した。少なくとも極度の集中中は魔法陣だけで魔法が使えるだろう。
「これで、どうだ?零式虚黒百雷砲」
全てを黒い雷が覆いつくし、超新星焔光砲を虚無に返そうと迫る。
「おいおいマジかよ、お前、まだ上を…、いや、違うか。今くみ上げたな?その魔法。」
「どうしますか?先輩。」
「どうするも何も、俺はこれ以上強い魔法をもっていないからな。超新星焔光砲を撃ちまくって相殺するしかないぞ。」
今のでほぼすべての魔力がなくなった。だが、レオも同じはずだ。
「ハアアアアア」
「うおおおおおお」
自然と雄たけびが上がる。何とか相殺しようとするレオと、それを止めようとする僕。そして____、
相殺、された。もう魔力はほとんどない。闘技場をせめぎあっていた紅と白黒。それが真ん中で拮抗し、はじけようとする。
「おい、どーすんだよ。へたすりゃ観戦してるやつ全員巻き込むぞ?」
「半分は処理しろ、先輩」
「タメ口きいてんじゃねえよ。わかった。てめえミスんなよ?」
「相殺が精いっぱいだったくせに」
「ああん?なめてんのか?」
軽口を叩きながらも、迅速に動き続ける。魔力吸収効率のいい緋璃刀を僕と魔力線をつないで爆発寸前の中心部に全力で投げ入れ、魔力線を通して魔力を補給しつつその魔力を絞り出してこちら側半分の威力を減衰させるため渦雷結界を張り、緋璃刀を通して吸収される魔力を渦雷結界に流し込み、力で抑え込む。
ズゥウウウウン
ついに耐えられなくなった超新星焔光砲と零式虚黒百雷砲が結界の中で爆発した。競技場全体がミシミシと音をたてて軋んだが、もともと競技場に張ってあった結界がひび割れながらも持ち堪え、何とか被害はゼロに収めた。
「あ゙ーーーー、疲れた。」
魔法を何とか抑え込んだ後、倒れこむ。
「ったく、滅茶苦茶無茶しやがって。」
「先輩こそ、後輩あいてにムキになって魔法撃ちまくるとか、何考えてるん、です、か…」
「だが楽しかったな」
「ええ、そう、でした、ね…。」
「――――”不明覇者”テト、戦闘不能につき、勝者は”絶対王者”レ――」
やばい、意識が遠のいていく。実況が何か言っている気がするが、今は早く寝たい。なにか、暖かい、感触に、体、が、包まれ、て…。
やっぱり強い魔法にはかっこいい名前が必要だと思うんだよね!と自分を肯定してごまかします。今回で七魔戦は一応終了です。先輩たちの試合については、テトが意識を失ってしまったので勝敗だけ書きます。
初心者なので描写が下手くそですが、読んでいただけると幸いです。




