019 七魔戦-⑤
「さて、始めようか」
「ハハッ、どうせお前ら雑魚が俺に勝てるわけがないんだからさっさと降参しろよ。」
「雑魚かどうかは戦ってから考えた方が身のためだよ?」
危ない危ない。ついイラっとしてしまった。
「確かにお前は多少小細工ができるようだが、所詮は風だ。闇に勝てる道理はない。それに、あの観客席にいるお前の女、一度も試合に出ないのか。お前に守れるだけのビッチか?」
「ああ?そうか。そんなに死にたいか。まあ、負けてからの言い訳を考えて置いたら?」
「雑魚が、粋がりやがって」
コロス。
「さあ、両者が舞台に上がったあああ。さあ、怒涛の勢いを見せる無詠唱、魔法陣を使うというウラノス学院のテト、そして圧倒的な実力で一戦目を終えたゼイン。さあ、どちらが勝つのだろうか⁉いざ、試合始めぇええ」
合図を受けて魔法陣を描く。なんだかんだ言っているが、こいつは強い。とりあえず龍巻の加護からだな。
「風神嵐装・防御術式・龍巻の加護」
「闇刃」
ゼインの闇刃が迫ってくる。そして、闇刃とぶつかった。
「あっぶないなー、初っ端から殺意たかいねー、みんな」
まじで危なかった。この闇刃、こともあろうに僕の纏う風を喰らってきたのだ。魔力で押さえつけなかったらやばかった。
「今何をした?」
僕の龍巻の加護の中にはさっきの闇刃がまわっている。
「別に?魔法に対抗するために、何をする?ただ魔力で押さえつけただけだ。」
「ああ?ふざけんな。それは俺の魔法だ。暗黒暴食」
一つでさえ脅威である暗黒暴食が大量に生まれて僕の方に迫ってくる。まあ、対処はそこまで難しくない。まだ紗奈の魔法斬りの完全な真似はできないけど、魔力を纏わせれば魔法を強引に壊すことはできる。
「魔法霧散」
緋璃刀の刃を魔法にあてる。そして、魔法を霧散させる。まだ紗奈ほどの精度で破壊することはできないため、魔力を纏わせることで強制的に魔法を破壊している。
「それだけで僕を倒せると思ってるの?もっと本気で来なよ。じゃないと、死ぬよ?」
ちょっと紗奈がけなされてむかついているので、バンバン魔法を使う。
「ほらほら、超電磁弾・超弾数」
雷魔法の大盤振る舞い。大量に超電磁弾・超弾数をばらまく。
「チッ、闇盾」
「へえ、その程度で耐えられるかな?」
大量の超電磁弾が殺到する。
ズガン、ガンガン、ガシャーン
割れる。闇盾があちこちへこんだ後、蜂の巣になった。
「おや?口だけだったのかな?サターン魔法学院、もしかしなくても大したことないね?」
あおるあおる。ひたすらあおる。
「クソがッ
世界を包み込む闇夜よ、全てを飲み込む、神殺しの神狼よ。ここに顕現しすべ…ああ?闇盾」
問答無用で超電磁弾を撃つ。いや、なんで変身シーンを待たなきゃいけないんだよ。待ってたら強くなるに決まってんじゃん。
「てめぇ」
ギリギリで闇盾が間に合ったゼインがキレてる
「どうした?自分は雑魚すぎるから詠唱を待ってほしいって?」
「クソがっ」
恐らく、固有魔法以外も強く、新たな魔法をあまり習得していなかったのだろう。つまり、そこまで強くない。
「いいよ。かわいそうだから待ってあげよう。」
「チッ、全てを滅ぼせ、闇の神狼」
なるほど、こういう固有魔法もあるのか。キリスト教からギリシャ神話、北欧神話まで本当に何でもありだな。そもそも、神狼などと呼ばれてはいるが本物のフェンリルはまあただの世界を滅ぼすバカでかいバケモンだ。だから、ある意味この魔法は本物だといえるだろう。
「超電子砲」
超電子砲が闇の神狼へと飛んでいく。それを闇の神狼が大口を開けて喰らった。まじか。そんなことできるんだな。でも、ぶっちゃけそれは僕との相性が悪いかもしれない。
「ほら、どうだ?闇の神狼を殺れるか?」
「うん、別に、アイリスさんより全然弱いね。」
「界雷権能、劣化・蒼雷燼滅」
界雷権能の劣化版。こいつに界雷権能は要らないと思うので、魔法陣だけの界雷剣を使わない魔法を放つ。それでも極高威力の蒼い雷が向かっていく。この魔法はかなり火力が高く、界雷剣と合わせて使えば僕の高火力魔法シリーズのトップ3に入るだろう。これも対アイリス戦では使わなかったが、恐らく「神」の象徴に攻撃はあまり効かなかっただろう。しかし、対物理なら、かなり効くと思われる。それを自分からのみこんでくれるというなら…
ギャアアアアアアアア
ただの悲鳴だ。闇の神狼は体の内側から雷で生体電気を狂わされて不整脈を起こす心臓、信号が誤認されて手足が痙攣し、あと麻痺している間に全身が焼き尽くされるだろう。
「終わりだね。」
界雷剣を首元に突き付ける。これならアイリスさんのほうが百倍は強いな。
「ついに、本日最後の試合が終了したぁああ。なんと今回もテト選手の勝利だあああ。なんと、激戦になると思われていたこの試合、テトの圧倒的な勝利だあああ。なんと、ダークホース・テトは連戦の中魔力切れになることもなく、全て、勝利したああ。これで、一年の部は終了。その優勝杯を奪い取ったのは、ウラノス学院のテトだあああ。もう、だれも彼をはったりだなどと馬鹿にできないだろう。私も、自分の見る目のなさを嘆きたい。さあ、ウラノス学院を勝利に導いたテト選手に盛大な歓声と拍手を‼」
ワアアアアアアアア
パチパチパチパチ
歓声と拍手が響き渡った。少し照れくさいが、案外うれしい。まあ、表彰式があるのは明日なのだが。
飛行魔法で自分の席まで戻る。
「よくやったな、誠。」
「すごかったですね、誠くん。というか、少し会話が聞こえたのですが…」
紗奈が恥ずかしそうに顔を赤らめてうつむいている。めちゃくちゃかわいい。
「あれを言われてキレて潰すのは、男として賞賛するぜ。」
「おい、シド、ちょっと黙れや。」
かなり恥ずかしい。今の自分の姿を鏡で見たくない。きっと真っ赤だろう。




