015 七魔戦-①
ルーク魔法学院からウラヌス魔法学院にかえました。そこまでの支障はありません。
ご飯を食べ終え、教室へと戻る。すでに僕と紗奈、シド以外の人は教室に戻っていた。
「よし、全員戻ってきたな。それじゃ、授業の前に七魔戦についての説明を行う。」
話によると、そもそも王都の名門校というのは全部で七校あるらしい。ここウラノス魔法学院、ヴィーナス魔法学院、マース魔法学院、ジュピター魔法学院、サターン魔法学院、ネプチューン魔法学院、プルートゥ魔法学院の七校だ。七魔戦はこの七校が一年、二年、三年から代表者を三名×三学年で九人集め、それぞれが戦いあうというものだ。
学年ごとに先鋒・中堅・大将を決めて魔法で戦う。ちなみに学年ごとの代表者は学院長先生が決めるらしい。
「とまあ、そういうことだ。七魔戦の代表者になるのは非常に名誉なことなので、選ばれたものは喜ぶといい。それでは、一年生の代表者を発表する。先鋒はレクサ=ビショップ、中堅はシド=ルストリア、大将はテト=スプライトだ。七魔祭は一週間後だからな。」
「せ、先生、それは、この学年で強い順にテト、シド、レクサさんということですか?」
クラスの友達であるアクセルが訊いた。
「いや、厳密にはそうではない。これは先鋒、中堅、大将のバランスを考えた結果だ。まあ、恐らくこの学年で一番強いのはテト君かシド君だがね。」
シドに勝てる気はしない…
だけど、まあ同学年の中では割と強者であるだろう。けど、そもそも僕は固有魔法は使えないし。固有魔法が使えるレクサさんを先鋒に持ってくるのはよくわからんな。
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そして一週間。
僕はひたすら魔法の改良をした。先生は魔力を増やすように生徒に言っていたが、そもそも今の僕の魔力は荷電粒子砲を80発以上撃てるほどある。足りなくなるということはあまりないだろう。そのため、僕は魔法を改良しながら魔法陣を描く速度を上げた。今なら荷電粒子砲でも二秒、超電子弾(改良済み)などは0.1秒もかからない。
「紗奈さん、これで大丈夫かな?」
「大丈夫だと思います、誠くん。その魔法陣の展開速度なら簡単に勝てるでしょう。誠くんは大将ですし、どっしり構えていればいいんですよ。」
「うーん、それは無理じゃない?午前は1年生だけだけどさ。」
「まあまあ、自身を持っていればいいんですよ。」
この話はこれくらいにしておこうか。
そして、当日。
朝から元気に司会の声が響き渡っていた。
「さあ、遂にやってきた七魔戦だあああぁああぁ」
テンション高いなあ
「さあ、待ちに待った七魔戦。それを制するのはどの学校だあああ?今からそれがわかる。それでは、初戦のメンバーを発表していこう。
さて、一番手は今は落ちぶれたウラノス学院Vs.ヴィーナス学院だああ。ウラノス学院は今年、特待枠によって平民を2人も入れている。これが苦肉の策なのか、それとも、それだけの実力があるのか?さぁ、先鋒の入場だ。
ウラノス学院からは、何といきなり水属性、というよりは氷の王女レクサ=ビショップだ。彼女は11歳にして固有魔法を発現している天才だああ。先鋒が王女レクサなのは、ウラノス学院のはったりなのか?それとも、その後ろに控える中堅と大将にそれだけの実力があるのか?
そして、ヴィーナス学院からは地属性ローラ=フェリシティだああ。」
両者が舞台上へとあがる。
これはすぐ決まるだろう。さすがに固有魔法をもっていないのに固有魔法持ちに勝つのは難しい。
「それでは、熱い戦いになることを期待して、スターーーーーーートォオオオ」
試合が始まると、即座に双方が詠唱をする。
「水よ、冷たく硬い氷となりて、敵を穿て。氷槍」
「大地よ、わが願いに沿い、壁となれ。石壁」
レクサさんの攻撃術式に対して、ローラさんが焦らずに防御壁を作る。
氷槍は砕けたが、石壁も砕け散った。
「ち、もっと焦りなさいよ。」
あれ?何かいつもと口調が違くない?
「あいにくと私はあなたほどやわじゃないので。」
「ああん?」
こわい。あの2人、何か因縁でもあるのかな?レクサさんとローラさんが思いっきりあおりあってキレている。女子って怖いなぁ。
「もう、めんどくさいわね。氷よ、顕現して我が敵を砕け。氷弾」
なんか詠唱が雑になっている。めんどくさいのだろう。初めて会ったときと比べて違いすぎて怖い。
「石よ、そいつを砕け。石弾」
もはやそれは詠唱なのか?二人ともキレて雑になってんじゃん。
「はー、一戦目では使うなって言われてたけどもういいわ。」
いやだから口調。直しなさいよ。
「氷よ、世界を包み込み、すべてを停めよ。氷ノ世界」
あー、使っちゃったかー。
「くそ、それに頼らなきゃ勝てないっての?」
「いや、これは私の修行の成果であって何か道具に頼っているわけでもないよ?」
一瞬素が出てる。
「すきありよ。石よ、敵を貫け。石矢」
「あぶないわね、不意打ちなんて。氷壁」
不意打ちを完封する。そりゃ詠唱がいらない相手に不意打ちはあんまり効果ないしな。
「面倒くさくなったし、もう終わらせるわ。氷吹雪」
一瞬でローラさんが吹き飛ばされ、場外へと出た。
「おおっとおお、ついに固有魔法を使った王女レクサ、不意打ちを完封してローラを瞬殺したぁあああ」
二人の決着がつく。だが、まあぶっちゃけこれに関してはどうでもいい。あれで負けたらさすがに困る。こちらの先鋒のレクサさんは勝ち上がり、次の中堅と戦う。
「さあ、息つく暇もなく次の試合だぁああああ。次の試合は、王女レクサ=ビショップ対、火属性のアンナ=ペイシェンスだああ。なんと、十歳にして固有魔法を発現した天才だああ。この試合では二人とも固有魔法を習得している。天才同士の戦いはどんなものになるのかああ?さあ、いざ、試合の始まりだぁあああ」
二人が舞台に出る。しかし、正直言ってこの試合は捨て試合だ。今回レクサさんが戦うアンナさんは、圧倒的に格上。そのうえ、固有魔法の相性も相手は火力型、レクサさんは戦闘補助系なので、悪いのだ。勝てないだろう。
試合が始まると、魔力量が残り少ないことを懸念してか、レクサさんがいきなり固有魔法を使う。しかし、勝てないだろう。まず、固有魔法を使うためにはかなりの魔力を使う。そして、レクサさんの固有魔法は直接的な相手へのダメージもあるが、本領はそこではなく詠唱の破棄だ。しかし、固有魔法を使うことで大幅に魔力を失えば、折角のメリットを使えずに負けてしまうだろう。
「おおっとおお、いきなり王女レクサが固有魔法を使ったああ。しかし、アンナはそれに動じず、結界系魔法で耐える。そして……………王女レクサ、魔力の枯渇か、魔法を使えなくなったーーーー。戦闘不能判定により、アンナ選手の勝利ぃいいい」
「さてさて、二戦目はあまり激しくなることもなく終わってしまったが、いよいよ次の試合だ。この試合は侯爵子息、属性不明のシド=ルストリアVs.先ほど王女レクサを完封したアンナだ。シド=ルストリアは固有魔法と呼べるものが存在するかどうかすらわからない。これは面白い試合になりそうだぁああ。さて、両選手が入場したことですし、試合が始まりまるぅうううう。」
この試合はどちらが勝つかわからない。そもそもシドさんができることがまだ不明だしな。
「降参するなら今のうちだぞ?アンナ嬢。」
「あら、これから負けてしまうあなたがお嬢様呼びとは、面白いですね。」
またあおりあっている。なんなの?さっきから、この七魔戦では”ひどい性格”しかいないのか?
試合が始まる。
「炎よ、わが手に集いて、敵を貫け。火矢」
「汎用記録・四元素第一章・二節。術式名《炎矢》」
「なっ、どういうこと?あなた、火属性なの?炎よ、わが意思に従い敵を刺し通せ。火槍」
「汎用記録・四元素第二章・三節派生。術式名《氷槍》」
火槍と《氷槍》がぶつかりあって相殺される、はずだった。しかし、溶けたはずの《氷槍》はまた凍り付き、向かっていく。これは、魔術と魔法の違いだ。魔法は生命力を魔力に変えてそれを魔法として出力するが、魔術は世界を認識と魔力によって歪める。そのため、魔術は認識され、魔力が供給される限り消えないのだ。一見魔術の方が圧倒的に有利そうだが、そうでもない。なぜなら術者に認識される限り魔術は消えないということは、逆に言えば認識できなければ発動できないということ。例えば、目隠しをされてしまえば一度探知系の魔術を使わなければ攻撃魔術は使えないのだ。
そう考えている間に、《氷槍》がアンナさんへと迫る。
「そんなっ、炎よ、遮れっ。火壁」
咄嗟にアンナさんが短縮詠唱で火壁を起動し、なんとか体を守る。
「なんなの?あなた。やばいわね。しかたない、固有魔法を。我に宿りし地獄の炎よ。その力を我の手に。獄炎顕現」




