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WARS&WARS  作者: OGRE
戦の始まる序章……覇王降臨
9/29

崩落の兆し……四季の詩

 フィトが森を抜け海岸を超えて偵察に走る。二・三人の仲間を連れ木の間を走り抜けながら指示を出し敵の行軍状態を探り逐一本部にいるタージェに連絡を取って防備を固めていた。敵軍の数は当初の予想以上なのだ。進軍速度は速いだけではなく、その通過してきた街や土地の変わり果てた姿は目を覆いたくなる者だった。


「フィトさん……。北北西の敵の本体がついに動きました」

「わかった。ここもじきに危ない。みんな早く退避しろ……沼には気をつけろよ。俺はトラップを仕掛けてから本部に向かう」

「了解しました」


 フィトが敵の侵攻するであろうエリアにトラップを仕掛けて部下とともに後ろに退いて行った。沼地に霧が立ち込め敵の金属製の兵器は次々に沼に沈んで行く。数台の戦車が沼に脚を取られ動きが鈍くなったとはいえ敵の侵攻にはそこまで関係ないらしい。本部近くにはギルド側の戦士がうかがえる。第一陣が既に準備をし門から出撃しようとしているのだ。その時のギアは珍しく重武装になり北の区域に選りすぐりの戦闘員を連れて猛進を決め込み今か今かと足踏みしているほどである。


「出撃許可が出た! 行くぞ!」

「くそ! なんでこんな時に」

「ギア! 待ってくれ!」

「お前らは後から来い! 体力を温存しておけ、この後は衝突し第一団を撃破する」

「わかった。では後で落ち合おう」


 全員の稼働率が最高に達する中で阿蘇と荷馬車を駆り立ててギルドに向かうレイ達も北の軍団に遭遇ししげみに隠れていた。ギアは現在は速度を上げて猛進するも敵の大隊にぶつかることを避けるため迂回を始める進みを取っている。レイ達はもろに大隊にぶつかった結果であるが大きくコースを変えることは彼らにはできない。阿蘇などの非戦闘員を危険にさらすことはできないがこの大河の進軍列を超える上では危険はつきものだろう。


「畜生……なんて数の軍隊だ」

「北の国の軍が何故こんなところにいるのよ」

「北の国と言えばあの凶暴な国。それがなぜ……」


 その時、敵軍の後方で爆音が鳴り響き砲火がその方向に集中する。そちらからは異様に高い声が聞こえてくる。怒声と言うよりは歌う前の発声練習のように甲高い。


「ハァァァァァ!!」


 白馬に乗った極小とまでいえそうな少女が身の丈に合わない両方に巨大な刃が突き出した鉞を振り回し敵の戦車を切り崩す。壊れたそれらは瞬時に爆破し炎を上げていくため敵兵が集まってしまう。レイは一発逆転の賭けに手をつけた。


「レイ! それ本気?」

「やるしかない。奴らも無敵じゃないってことはわかった。だが敵は容赦なく来るぞ。だったらここから敵を殲滅しつつギルドの本部に向かう!」

「恥ずかしながら私もそれに賛成だ。今はそれが一番よい策だろう」

「アタシもよ。これは時間の問題」

「うちに任せてぇな。切り崩してならお手の物や」


 敵軍の兵が混乱する中でレイは大剣を抜きリーンとともに走り抜ける。その後ろをアルの弓で抑えて時間を稼ぐのだ。戦闘が始まり魔法を付加した大剣は戦車などを一刀両断していく。リーンは矛槍で殴り切りをし金属製の装甲を曲げて大破させていく。アルの弓は周りの細い木に矢を差しサンダースパイダーネットの簡易バージョンを使って先頭の戦車や装甲車を感電させ玉突き事故を起こし次々に撃破する。ついに森を抜けて市街地に出るとギアと遭遇した。


「師匠! なんでそんなに重武装で…………」

「レイか。お前は後続を連れてギルドに帰りその後はシドさんに指示をもらえ」

「了解しました」

 ギアは足早に北区の方向に走り去り、鎌は鞘を外して右手で持った状態だ。切羽詰まった彼の顔を初めて見たレイはただ事ではないことを肌で感じとり指示どおりにギルドに向けてなおも馬を駆り立てる。


「シドさん! これは一体!」

「レイ君!」

「マナ! シドさんは?」


 奥から声が響きタージェが現れてレイに向かって労いと次の任務についての話を始めた。


「よく帰った。すまないがすぐに出てもらう。北の国の軍をここで止める。南に侵攻したいらしいがやり方に虫唾が走る! 今から使える人員はすべて動かし防衛陣を敷くからお前はマナと組んで中層警備だ」

「え、俺も前戦へ……」

「ギアからの提案だ。アイツらしくないことを言っていたよ。『俺が倒れれば守れるのはレイだけになる……』ってな。まったくわかってないのはどっちだか」

「シドさん。俺に少しの間だけ指揮権をください」

「よし、やろう。うまくやれよ? さっき白馬に乗った小さい女の子が来たが……」

「行ってきます! マナ!」

「きゃっ!」

「気をつけろよ!」


 先程の馬にマナを乗せて駆けだして行く。唖然と空気と時間を流すアル、リーン、ヴィヴィアと阿蘇方々は気がついたようにタージェに頭を下げ特にヴィヴィアと阿蘇の従者と本人はそのまま奥へ向かいリーンとアルはレイを追って走る。


「レイ君! 速い!」

「ごめんよ……。でも、あんまり時間がないんだ」

「レイ君……」


 後ろから蹄の音が鳴りアルとリーンが追いついた。そして、前方からはフィトが現れ一度合流し作戦をレイが伝え始める。


「レイ! やっと追いついたで……」

「アナタが焦っては元も子もないわよ……。で? 指揮権をもらったからには作戦があるのよね?」

「あぁ、まずはフィトだ」

「おぅ、何でも言ってくれ」

「白馬を見つけて見つけた時点で協戦を依頼して成功し次第その場で戦闘開始だ」


 リーンが馬を落ち着かせながら問いかけて来る。


「うちはどないすんの?」

「森の中はお前の最高の狩り場だ。実力を見せてやれ。ただし負傷したら回避行動をとること」

「了解や」

「アルはリーンの補佐についてくれ」

「合点」


 マナが口を開けたままレイを眺めている。レイの優しいところしか見たことのない彼女にとっては新鮮だったのだろう。


「どうした? マナ?」

「え! いや、その……かっこいいなぁと……………………。はわわわ! 今のはなし! 聞かなかったことにぃぃぃ…………うぅぅ……」

「マナ、落ち着いて。また後で向こうでの話をしてあげるからさ」

「う……うん!」


 マナがレイにしがみつき彼は馬をさらに走らせる。向かうのは北地区のギアがいるエリアだ。そこは敵の大隊が通過することが予想されギルド内でも名の上がったメンバーのみが派遣されるほどのエリアになっている。


「みんな……私を信じてくれ。じきに迎えが来るはずだ。それまでは私が君たちを守る」

「先生……」


 北地区の魔法学校において巨大な結界が幾重にも張られ敵の侵攻を妨げはじめた。そこにギアが殴り込み黒い波動を打ち込み前戦隊を一瞬で撃破した。だが、敵もそこまで甘くなかった。今回のファンの落ち度はドーム状の結果にしなかったことだ航空機の爆撃が街を襲う。ギアも予想だにしない攻撃に振り向いた瞬間砲撃をくらい爆炎にのまれた。


「くそっ! ぐ……………………」

 フィトが白馬の鉞使いと遭遇した。鉞使いはフィトを見ると馬から飛び降り、抱きつくように鎧を着たまま彼に飛びついた。


「フィト君! 生きててよかったぁ……レイ君は? 他の連中はどうしたの?」

「ルミ教官! お久しぶりです。申し訳ないが懐古はまたに……今は我々の街を守らなくては」

「なら、私も協力するね。生き残らなければ意味がないしさ」

「ありがとうございます」


 二人が敵の本隊に向かう中でリーンとアルは森育ちの強みを生かし次々に敵の兵器を破壊して行った。リーンの無差別な怒りにまかせた攻撃に加えアルの冷静な制弓の二つの合わせ技をしレイの作戦を忠実にこなす。とうのレイは大剣を抜きマナに砲火が当たらないような動きを取りながら北地区に走る。マナは慣れない場所に急にほっぽりだされた感覚でレイにすがりついたまま動かない。


「マナ! 大丈夫か!?」

「なんとかなる…………と思う」

「もう少しで着くから我慢してくれ!」


 建物が崩れファンがギリギリに張った結界でなんとか生徒を守った。一方本人は外で立ったまま瓦礫に埋もれそうになりながらなんとか力を制御していた。その上には体を極限まで変化させたギアが翼を広げ腕で頭を抱きながら守っている。


「ギア……」

「喋るな。集中力が途切れたら下の連中が死んじまう……。レイとマナが来るまで待て……」

 小さな歌声が響き周りが小さな光の玉の粒で満たされていく。レイはすでに到着し他にも派遣されていたメンバーを守りながら波のように押し寄せる敵をはねのけていた。歌声が響く……。瓦礫が上から消えファンの結界が見えて来た。敵も味方も唖然とするなか歌い続けているのはマナだ。


『永き眠りの冬から目覚め私は上を向いた

光は見えない。


だけど私は上を見続ける。


春に麗らかに私は芽吹く……小さな小さな芽だけれど……


私は願う生命のほとばしりを。


夏に私は出会う。


運命をともにする仲間と。


沢山の仲間に囲まれた私は幸せなのだろうか?


秋に気付く、本当に大切な物は? 愛? 力? 既知?


 私に問いかけるアナタは誰?


アナタは姿を見せない。


時に荒振り悲哀を帯びて優しさをこぼし喜びを見せる。


冬は再びアナタは私に問いかける。


『本当の僕はどんな姿なの?』


アナタと私は一つ、全ては一つ私もアナタも……世界とともに……いつまでも


「これは……いったい……」

「嘘だろ……。マナにこんな力が……」


 生徒たちはファンに守られた状態で気を失っていた。ギアがファンを支えた状態でレイに近寄りマナを抱き上げ、放心している兵士をよそに全員が瓦礫の影を利用しトラップの数々を仕掛け合流していないメンバー以外にも気付かせるために各所から赤い狼煙をあげて全員に退避を知らせギルドに集合した。もちろん魔法学校の生徒や地域住民を引き連れて。


「みんな! よく帰って来た! 今、この状況下で全員が揃ったことを嬉しく思う! これより敵と全面でぶつかる。言っておくが我々は軍隊ではない。退いていく敵など目もくれるな! 陣割りは後に話してやる! 一時解散!」


 タージェの演説の後、一時的な休息があり更にその後、北側にある森に友軍が集まり陣張りを決めた。ギルドの最大戦力の二人がファンの結界の前にたち戦車大隊を睨みつけている。その後ろにはリーンの率いる騎馬隊が構えギルドの本塔に登ったアルの弓隊が構え陣張りは完成した。


「これより戦闘を開始する!!」


 タージェの一声でレイとギアが能力を解放し大隊に緋と黒の波動を打ち込んだ。その直後として大剣、中剣、大鎌を構え二つの穴を戦車大隊に開けた。結界が一部開きリーンが騎馬隊を率いて白馬の鉞使いと現れた。


「レイ! 本気で行くぞ」

「言われずとも!」

「ウチらも行きまっせぇ!」

「リーンちゃん! ガンガンいこう!」


 結界が閉じフィトとゼシ、タージェがそれぞれ武器を構えてファンの警護についた。


「負けるはずのない戦にも備えは必要よ」

「えぇ、そとに出なくても俺たちだって強いんですから。安心してください」

「みんなで生きて切り抜けよう!」


 北の機械を使った軍団は意外と呆気なく潰れた。いくら機械を使っても限界はあるらしい。街に被害が出たものの死者は出ず多少の負傷者ですんだ。


「意外と呆気ないな」

「ですが……何か嫌な予感がします」

「あぁ、感じるか? どす黒い氣を……」

 戦いのあとで武器を収め佇む二人が周りをキョロキョロと見回す。ギルドの中庭でも実力者はすでにその氣に感づきレイ達のいる森に集まり始めていた。


「レイ! 伏せろ!」


 草陰からリーンの矛槍に似た形状の槍がレイを狙い真っ直ぐにかつ瞬時に突き出され間に合わないと判断したギアが突き飛ばした。


「……? ギア? なんで敵をかばうの?」

「イ……オだ…と? 何故ここに」

「師匠! このやろおぉ!」

「やめ…ろ レイ! お前じゃ……ガフッ…………こいつには適わない……」


 固い重装甲を貫かれ脇腹に刺さったその槍を抜きレイに視線を移したのは彼と同年代くらいの少女だ。槍を短めに持ち替え刃先についたギアの血を舐めレイを凝視する。


「おいし……。久しぶりのギアの味……帰ろ? 今ならプルトン様も許して……」


「何が何だかわからないが師匠は連れて行かせない!」

「威勢はいいけど……アンタはアタシには勝てない」


 確かに強かった。リーンのパワーに更に上乗せされたパワーに体の柔らかさ、俊敏さなど恐ろしさにさえ感じられる。それでもレイは怯まなかった。味方が到着し流石に数がそろうと面倒なのか森の中に消えていった。


「チッ……。またね。ギア」

「師匠! 師匠! 大丈夫ですか?」

「あぁ、なんとかな……」

「ギア! 大丈夫か!?」

「ファン……大丈夫だ。早く全員を撤退させろ。嫌な予感がする」


 男の声が空から聞こえ耳に残る高飛車な抑揚をつけた発音が終わったと同時に再び変化が現れた。


「フハハハハハ! よくぞ闘った愚民どもよ。我が名はプルトン。この四界をすべし帝王だ。これより貴様等の健闘を称え更なる苦しみを与えよう!」


 戦車や地面で倒れ動かない兵士が動き出しこちらに襲いかかってくる。前とは違うのは明らかに瞳孔は開き致命傷を負っていても彼らは剣を振るう。味方はそれらに苦戦しながらもなんとか再び立ちふさがる危機を切り抜けようと闘い続ける。


「くそが! 死人を操るだと!」

「リーン! 後ろ!」

「来るぞ。退け! 退け!」

「ハィヤァァァァァ! みんな! アタシについて来て!」


 白馬の鉞使いの後ろに負傷者が続き殿をレイが勤める。味方がギルドの本塔に抜け大門をしめて全員の収容を確認した。


「アルから報告だ。敵の死人の兵隊は全部また死人に戻ったようだ」

「あの、ギア師匠は?」

「医師の話では命に別状はないらしいがあと10センチ左上にズレていたら心臓を突き破っていたらしい」

「話は出来ますか?」

「まだ無理だ。お前ら前戦隊は休養をとれ、無理に体を動かしたお前は相当体に負荷がかかってるんだ。無理はするな」

「わかりました」


 渋々といった表情で寄宿舎に帰るレイの後ろからマナが話しかける。


「レイ君……。ギアさんの容体はどうだった?」

「まだ、面会は出来ないって……。ごめん、俺も今日は疲れたから早く寝るな」

「あ……うん。お休み」


 二人の部屋は2LDKの部屋で意外と広めだ。リビング、ダイニング、キッチン以外は二人の個室になっていてそこが寝室になっている。その部屋に入ってしまったレイが気になるマナはリビングのソファの上で膝を抱えて座っていた。


「マナぁ? いる? リーンやけど」


 リーンに呼び出され立ち上がったマナは廊下にいたアルとリーンの後ろについて歩いきリーンの部屋に入っていく。中ではヴィヴィアが既にクッキーをモシャモシャ食べていた。


「アナタがレイの彼女?」

「か! 彼女!? そんなわけない……けど」

「うーん……じゃぁ、誰がレイの本命だろね?」


 リーンが追加を小さな盆に乗せて歩いて来る。アルは髪を下ろしバンダナを外しているため別人に見えた。


「ヴィヴィア。そんなことは悩んだところでしょうがないやないか」

「そうよ。少なくともふられたよりましよ」


 アルの声が周りの空気を重くする。三人はどうやって声をかけてよいか解らずとりあえずはそっとしておくことで決まった。


「まぁ、一番はマナやろうなぁ……。悔しいけど」

「へ?」

「そうそう、あの鈍いレイの動き見てれば解るわよ」

「そうなんですか?」

「わかるで? マナはまだそういうことに慣れとらんから少し難しいやろうがな」

「そのうち慣れるわよ。それよりあの刺された人は大丈夫なの?」


 レイの話題からギアとファンの話題に少しズレていったが主旨は変わらず流れていく。リーンの部屋はあまり飾り気はないが落ち着きがあり綺麗に整頓されていた。


「ファンさんがついているので大丈夫だと思いますよ?」

「で、あの二人はどういう関係なの?」

「うちはあんまり交友無いで知らんがマナはどや?」

「二人とも優しい方です。確かに表面上のとげや特徴は大きいから取っ付きにくいですけど」

「ふ~ん……。そう言えばギルド長の奥さんはどんな人」


 話題をコロコロ変えるヴィヴィアに反応したアルが毛皮の中に綿が沢山入ったクッションを抱きながら振り返った。


「ゼシさんのこと?」

「ブッ……。いっ……今何て?」


 驚いてか口に含んでいたジュースを吹いてグラスで受けた。


「ヴィヴィア……うちでもせぇへんで?」「クロス・ゼシさん。西の国の細工職人よ」

「し……師匠なんだけどさ」


 マナはチビチビとクッキーをかじっていた。まだ仲間の繋がりや過去をよく知らない彼女は一人でクッキーを食べ続けている。そこへ開いていた扉にもたれた翼が背中にある女性が中に向かって話しかけた。


「いくら武道に長けていても年頃の女の子がこれではあまりに不用心じゃないか?」

「ファンさん!」

「お、ギア先生の容体はどないしましたか?」

「意識が戻った。今はレイを呼んで向かわせたところだ。私も参加させてもらっていいか?」

「ファンさんって……賢者さんのことだったんだ」

「久しいなヴィヴィア。師匠には顔合わせをしたか?」


 少し暗い顔をした彼女のことが気になり軽く問いただすと東の国でのことをリーンが洗いざらい話してしまった。だが、ファンは咎めることはせずに笑いながらクッキー以外の菓子にも手を伸ばしていた。


「ハハハハ! しぼられてこい。だからといってここから出ていけなどとは言わないだろう。お前も女に泊がついたんだ」

「にゅぅぅぅ……。なんか誉められてない……気がする」

「ああ! 何か楽しそうなことしてる!!」


 現れたのは今回の戦闘中に仲間になったルミだ。本名はルミ・アクス・リフという元レイのいた軍の軍人で教官だった人物。


「おぉ、ルミ。部屋は決まったか?」


「うん。今は二人部屋を一人で使うの。アタシも混ぜてくれる?」

「大歓迎や! そこのお兄さんは気が引けて自室に帰ってもうたがなぁ」

「フィト君は昔からあぁだよ。アタシはレイ君とフィト君の教官してたけど二人とも変わってないねぇ」

「じゃぁ、ルミさんは軍人だったんですか?」

「うん」

「あの失礼かもしれませんが年齢は?」


 アルが改まり聞いてみると予想だにしない返答が帰って来た。ペロペロキャンディーを頬張った姿で言われるとなおのことだ。


「アタシ? アタシはファンちゃんと同じ18歳だよ」

「ふぇ? 年上……」

「ここって特殊な人多いわね」

「そういう人間が気軽に入れる程暖かい所なのさ」

「師匠! いつの間に!」


 ゼシが加わりマナの横に胡座を崩した座り方をした。そのゼシをマナが目をしばたかせてみている。


「どうした?」

「いえ、皆さんの個性が面白くて……」

「私はマナが一番面白いがな」

「うちもそれは賛成や。天然やからな」

「アタシもわかる気がする。マナが天然なのは」


 マナが意味がわからないと周りを見回すのをさらに楽しそうに周りのメンバーが見る。その頃のギアとレイはというと……。


「レイ……。済まない。危険な目に遭わせてしまった。いや、これからのことを言うべきか。済まない」

「師匠はなにも悪くないはずです。俺は逆に燃えて来ましたよ。奴らに勝つために……これからも稽古をよろしくお願いします」

「俺の傷が癒え次第修行を開始する。それまでは休養しておけ」

「はい!」


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