旧友の集い
レイとタージェがギルドに到着しレイのために用意された寮のような宿舎に粗方荷物を揃えた。レイはその次の日にはそこをたち任務のために再び戦地付近の山に向かって足を進めた。タージェが揃えておいた軽装だが固く動きを鈍らせない作りの鎧と大剣のホルダー、中剣のさやにウエストポーチなどが渡されそれらを着用、使用をし装備は完璧である。加え新しい人生の始まりと仲間ができたことから心が温かくなったのか意気揚々、ギルドを旅立って行った。
「なぁ、ギア……二・三日はここにいるのだろう?」
「…………。言うのが遅くなったが今回、来た理由はお前を迎えに来ることだ」
「い、いきなり何だよ。急にそんなこと言われても……」
「変なことを考えてるな? 俺の所属するギルドに来て欲しい」
「そんなことなら別に構わないが…………。そうだ! 忘れていたがお前にプレゼントが有るんだ」
ファンは折り畳んだ翼を軽く広げ頭の上にビックリマークが飛び出したような反応をしその後はギアの手を引いて街に出て行った。ギアはオウガという種族でファンはカイザーという種族。二人とも希少種で市街地で見ることは少ないようだ。カイザーは人間に近いがオーガえあるギアはどことなく異質な雰囲気を体から発している。だが街の人々は気軽にファンにもギアにも話かけている。この村は大きくは無いが山間のくぼ地にあり戦火が及ばなかったようだ。
「おぉ、賢者さん」
「長老殿……私はいつも言っているように賢者などでは……」
「あ! 天使のお姉ちゃんだ!」
「ファン。人気者だな」
「まぁな、その内お前にもよって来るぞ?」
街を歩く時に気付けば周りに人々が集まり口々にギアとファンに問いかけが集中し関係や素性をさらけだそうとしてくる。ギアはニコニコしながらその言葉に応えているがファンは気が気ではない様子で少しあわてている。
「貴方は何者なのですか?」
「ファンの古くからの友です」
「オウガですよね?」
「オウガですよ。名前もオーガですが」
「ファンさんとの関係は?」
「それはノーコメントだ!!!! ギアもスラスラ答えるな!」
ファンが大声で叫び聴衆が一気に盛がついたように笑いだした。太陽が真昼になったことを告げるようにてっぺんから強く照りつける。いくら仕事のない子供でも親の元に帰らなくてはならないそうした理由からいつしか聴衆は一人としていなくなり街の中心部の工芸区に着いた。
「ゼシさん! 来ました」
「おっと。出来てるぞ二つともな」
「ありがとうございます」
独特な刃形の大鎌と魔術士用の長いロッドが工房の壁に立掛けてある。ゼシと呼ばれた女性が二人に歩みよりすぐに二つを渡した。
「彼氏か? ファン」
「ち……! ちがっ……! 違います!」
「貴方の名前は? そちらの殿方? ほう……オーガとは珍しい」
「遅れました。俺の名前はオーブ・ギア・オーガです」
バラの蔦と花の刺青が目立つまだ若々しい女性が露出の高い服を更にラフにした状態で着こなしている。色気は高いだろうがギアは見向きもせずに渡された大鎌をみて触る。その様子をゼシは面白そうにのぞいていた。
「聞いていた通りの反応だな。どれ? 合わせてみるか?」
「貴方が練強なのはわかりますが……」
「案外優しいな。ファン……いい旦那を持ったな」
顔を赤くしすぐに否定をしようとするファンをよそにゼシがギアに本名を名乗っていた。彼女の武器は刃が薄く十字架の様に細い短剣で二本がそれぞれ左右の太もものホルダーに入っている彼女の容姿からわかる様に派手な装飾だが実用性は高そうだ。
「済まない。こちらも少しふざけすぎた。私の名はクロス・ゼシ、この工房の主だ。出身は北の地でエーテリオン」
そこにハッとした様にファンが話しにわって入った。白い髪と青い目のファンは容姿はとても美しい。性格が少し残念だがゼシやギアはそこが気に入っているようすだ。
「ゼシさん。今日はもう一つお伝えしたいことがあるんです」
「わかっている……。この地を離れるのだろう?」
「はい……。今まで有難うございました」
「あぁ、達者でいろよ。これで寂しくなるなヴィヴィアも一人立ちしファンも私より先に結婚か…………」
「違います!」
「冗談の通じない奴だ……。まぁ、元気でやれ」
ゼシはファンが頭を下げてふたたび例を言うと奥の工房らしきところに消えて行った。閑散とした細工・武器工房は誰もいなくなりすぐにそこから出て行った。しかし、直後にファン達を追うように再びゼシが姿を見せた。
「待て! 待て! 二人とも! 渡したい物はまだ有るんだ。ペンダントだ。ギア君。君はもうこの子を放すなよ?」
「はい。もう、離す気はありませんよ」
「本当だろうな? ギア」
二人が合流しギルドに向かう。それと反対方向へ向かったレイにも変化が出始めていた。出発して半日。心当たりのある山中をさまよっている。レイが探している人はどうやら山の中にいるらしい。今更ながら説明をしておこう。今、レイが向かっているのは南の熱帯雨林の奥地で更にその奥“大南半島”に向けて歩いている。その隣の西の国は風の国、東は雅の国。反対の北は科学の国。全てに特徴的な発展様式が強くあり、各々にまとまりかたは異なるが均衡の取れた国だ。そして、今レイがいる南の国の詳細を伝えておこう。最有力人種はビースト。一番巨大な都市は南の海岸に張りだした港湾都市でそこも暑さと気候変動の大きく、感染率の高い疫病がついてまわる。それら悪条件に対して対抗出来る強い体を持ったビーストが多く住んでいるという構成だ。そして、中央大陸に隣接する巨大な熱帯雨林が防壁となり敵は侵攻を出来ない状態にある。他には数百を超える戦闘部族が巨大な熱帯奥地に構えているという。
「この辺りのはずなんだが……。何しろ10年ぶりで地理が変わり過ぎてるからなぁ……」
奥地は巨大な路や開けた集落等はない。森の中でいつ戦闘部族に襲われてもいいように大剣はすぐにぬけるようにしてある。その時、警戒していたことが事実になった。レイの銀と赤のツートンの鎧に毒の吹き矢が当たり金属に石が当たったような音が林の中に消え短剣を持った戦闘部族が踊り出した。
「お前……何者?」
「俺はフェンク・レイ・スウォード!ギルドの使命からこの地を通りたい」
「信じられない。敵は皆殺す!」
この様な森の中では大剣は不利だ。すぐに大剣から手を離し中剣と短剣を使い向かって来る敵を倒していく。そこに碧色の髪の長い女性が現れ矢を放った。金属のフェイスマスクを付けているため顔が確認できない。
「君は誰だ? ここを抜けようなどと。どれだけ命知らずなことか……」
残り五人程の敵は各々、胸に短めな矢を受け息絶えた。その女性はすぐに薮に消え姿をくらますとよく通る声でレイに忠告してくる。森のなかで反響しさらに大きな声になった。
「君がどのような生業の者かは知らないが早くこの森から出るがいい。さもなくば命を落とすだろう」
それでもレイは進み続けた。途中にいくつもの焼けた村々を見つけ調べていく。最初の村は意図的に火がつけられたしいら痕跡があり火もとから戦闘のあとらしいことがわかった。二つ目からは一方的に襲われたような状態になっていた。明らかにおかしいのはなぜこんな広範囲でしかも均等に一区切りつけた周囲の複数の村が同じ様に焼き討ちにあっているのかということだ。他にもある。奥、つまり街に近いエリアに行けば行くほど被害が大きくしかも戦士の死者の数が放物線のグラフの増加量のように増えていく。殺され方は一様に銃殺。最近は北の科学都市の兵器がこちらにも流れているらしく武器は機械化しつつある。たが現在の武器科学では性能や威力などを比べても明らかに剣などの方が高い性能を保持している。
「酷い…………惨すぎる。これでは殺戮と同じだ…………。こんなことをして何になるんだ……」
「そこの者止まれ! 両手を上げろ!」
背後から男の声がしたがかまわずにレイは足に力を込め短剣を逆手に握り直し振り返り様の遠心力を利用して銃を持った敵を一刀両断した。先程の戦闘部族達の気性が粗いのはこれが理由らしい。何らかの組織が関与して戦闘部族を根絶やしにしていることがすぐに見てとれる。そして真相はすぐにわかった。レイに切り落とされ首がない敵の死体の胸についている紋章でピンと来たようだ。彼も一応この奥の街の出身だ。それがどんな組織かぐらいはわかっている。
「クーデター…………か。シドさんの予想通りに紛争の混乱が広がってる。何とかして止めないと」
それから丸一日、森の中を歩き続けたレイはつぎの日の明朝に彼は自分の故郷の街にたどり着いた。未だ山中に位置するが王宮が近く農業が盛んで秋には黄金色の畑が美しい土地だ。窪地は水が貯まりやすいため市街地は用水設備がしっかりした美しい街だった…………。その街は見る影もなく破壊され周辺の人が集まりはしているがスラム街のように混雑した状態だ。街は完全に執政機能を失ってしまい、人々は荒む心と戦い続けているように見える。レイがその街に入るとすぐに屋台や出店でしきりに商売をしている人やあてもなくうろつく人がよく目に付く。そして、レイは目の前にいる女性に目を止めた。碧色の髪に皮で出来たアーチャーブーツを履き若草色のアーチャーコートをきている。先程の女性に違いない。
「あの、済みません……」
「その声はさっきの男の子ね? なんであんなと…こ……ろを…………」
「あ……違ってたら……済みません。もしかして……アル?」
「レイ!」
「アル……! 久しぶりだなぁ、何年ぶりだろう。その目……、どうしたんだよ」
「ちょっとね…………」
碧髪の女性は実は幼なじみのアル、本名はボア・アロウ・ルースという一つ年上の少女だったようだ。親しげな二人の話題は過去の話になり場所を移し未だ綺麗な芝生の丘に歩いていった。そこで昔を振り返りながら別れてからの状況を伝えあっている。
「レイ、背が伸びたね~。昔はアタシの方が大きかったのにさ」
「アルこそ大人の女の人って感じになったよ。なんつーかこう…………」
「レイ、もしかしてアタシを口説いてるの?」
「ハハハ……。まさか……、アルは呼び方こそ変わったけどアル姉っていうポジションは変わらない。これからもな」
「残念! 少し期待したのに。で、さ。なんであんなところをうろうろしてたの?」
レイが過去にアルと別れたあとの話をしている。レイの家はこの辺りでは有名な富豪だったがレイはそんな家を飛び出し中央大陸に乗り出したのだ。そして士官、自国の滅亡、シドとの出会いを語り話をとめアルに話をふった。
「アルは山にこもったと家族から手紙があったけどその後は?」
「アタシはお父さんと山で狩りとか採集をしてのんびり暮らしてたの。お父さんは元々、年がいってたから多分寿命だと思うけど去年の乾期になくなったわ」
それからの独り暮らしや狩りでの経験。他にはどうして隻眼になってしまったのかなどを細かく説明しいきなり真剣な顔になりレイにあることを頼み込んで来た。
「レイ……。本当はこんなことは頼みたくないしアタシもしたくない。だけど、今回ばっかりは奴らを見逃す訳にはいかないのなよ!」
「わかってるよ。俺も奴らの行動には虫唾が走ると思ってたところだ」
まずはアルの家に行き作戦を練ることになり昼の太陽の照りつける中をレイはシドから渡されていたフード付きのマントに身を包み、アルはアーチャーコートとフード付きのジャケットを合わせて着こなしている。
「相変わらずだな。暑さも寒さも感じない混血種の特長で……、たしかビーストとエーテリオンだったな?」
「えぇ、アタシは両方に強い体を持った人間。便利だけど時々自分が怖くなるわ……」
「それはお互い様。俺だって普通のヒューマンのはずだぜ? なのに付加、攻撃魔法が両方使える。怖いのは一緒さ」
話を戻しておこう。作戦はいたってシンプルでまずはこの土地の反逆軍を根絶やしにし戦闘部族への攻撃をなくす。その後、敵の主力を叩く。二人だけだが一応のこと強い二人が組んでいるためそこそこ戦力になる。正規軍が反逆軍と交戦中のためフードをかぶり夜になるのを待つ。レイは先ほどのジャングルとは違い軍の施設での戦闘となるため大剣、中剣、短剣のすべてをフルに使える。アルの武装は長弓で軽い。
「レイ。そろそろ行くよ。存分に暴れてくれて構わないからね」
「了解」
反逆軍も出し抜いたとはいえ数の上では未だ大きな力のある正規軍の残党に手をやいているらしい。レイはフードを被っていたがアルから金属のマスクを渡されそれをつける。アルは特徴的な碧の長髪をジャケットの下に押し込み身構えた。
「作戦はさっきの通りにお願いね」
「わかってる。引き付ければいいんだろ?」
「そう、出来るだけ倒してね。情けをかける必要なんてないんだから」
二人が別々の方向に走り出した。レイは付加魔法を使用し体の代謝を上げ筋力を増強していき、それに加えて攻撃魔法をしようして武器から炎を放出している。対するアルは雷の攻撃魔法を使い弓に帯させた。最初に敵に遭遇したのはレイ。
「敵襲!敵襲!」
「かかって来いやぁ!」
レイは囮だ。アルが敵のキャンプ裏に回るまでの時間稼ぎをキャンプの前方で行うのが役目。おおぶりな大剣が振り回され近くで戦闘態勢で身構える中剣や短剣などの近接武器の兵士は勿論のこと槍や弓の中、長距離武器で攻撃をしてくる敵ですらレイの怒涛の攻撃に被害が大きくなるばかりだ。特に敵の剣兵と槍兵は大剣で腰を斬られ一瞬で二つの肉塊になっていく。それに加えて付加魔法を使用して大剣を片手で振り回しはじめたレイに対して挑んだ兵士は次々に悲鳴をあげて切り落とされていく。
「凄い。あの頼りなかった男の子が嘘みたい」
アルは山の中腹の道を使い半分程を来た所だ。幼い頃より山で育った彼女は特別な体機能が備わっている。元、戦闘部族の父はビースト、母はエーテリオン。本来ならば強い血種であるビーストを受け継ぐはずの彼女は混血種と呼ばれる特異な体質を持ち産まれて来た。ビーストの身体能力とエーテリオンの魔力を合わせもっているのだ。
「そろそろね」
岩場をアーチャーブーツで飛びはねる様に抜ける。脚力は相当な物だ。加えて弓の射的力。力強く弦を引き矢を放って行く。
「ウッ!」
百発百中かつ確実な殺傷力。それが売りの狩人なのだ。周りの各所に矢を撃ち込んでいく。現在のレイはアルの指示があった地点で敵をなぶり続けていた。片手に大剣、反対の手には中剣が握られ敵はそれ以上の侵攻を食い止めたいらしく懸命に対抗するも皆同じ様に斬り殺される。
「ラァァァァァァ!!!!」
レイが二人の敵兵を撫で斬りにしたその時アルの鋭い声が聞こえた。
「レイ!! 屈んで!」
雷を帯た矢が地面に突き刺さり矢羽から放電している。
「サンダースパイダーネット!」
その名の通り雷が雲の巣のように走り建物は雷で起きた火花が引火して炎上。鉄の鎧を付けていて気付かなかった敵兵は姿すら無くなる程の電熱で焼き殺された。
「ふう。変わってないなぁ。危ない橋を渡るのは」
「あら? いいんじゃない? 一人で銃武装してないのに周りにいた兵士を半分たおしたんだからさ」
「ははは…………。残りの半分を一瞬で焼き殺しておいてよく言うよ。さ、さっさと帰ろう」
「えぇ」
その場を颯爽と去って行く二人を遠目から見ている男がいた。その男も背中にある独特な剣を背負いなおしすぐにその場を去って行った。
「ギア。そういえば聞き忘れていたが私が“カイザーエンジェル”でも大丈夫なのか?」
「俺が“キングオウガ”だという時点で大丈夫だ」
中央に向かって足を進める二人は荒野のど真ん中を突っ切っていた。背中に翼のあるファンは“カイザーエンジェル”と呼ばれる種族でその美しい容姿と明晰な頭脳から多くの種族から“賢者”と敬されている。他にも多種の亜種があるがカイザー自体が数少ない人種なため定かではない。例としては“言霊”、“イフリート”、“ウォーティ”などがいる。対して、ギアは“キングオウガ”こちらはオウガとオウガが掛け合わされてできた人種。オウガ自体は多数の亜種があり人魚や魔神など想像上の生物に似た形が多い。ちなみにギアは父親がオウガ“鬼型”で母親がオウガ“ドラゴン”だ。
「確かにな。角が三本ある人間なんてそういないからな」
「あぁ、翼がある人間も相当珍しいがな」
身長はファンの方が少し小さいくらいだ。法衣に身を包み照りつける太陽を恨むように眺めている。対するギアは種族の特長から体がかなり強い。歴史は過酷なものだが現在の地上では最強の人種だろう。
「懐かしいな。まだお互いの両親が生きていた頃はこうして二人で寄り添って歩いたものだ」
「6歳前後のことだな。確かに懐かしいな、これからはずっとこうなるんだぞ」
「フフッ…………。またお前が突然いないくならなければな」
「あれは恨むなら東の国のヒューマンどもを恨めと言わなかったか?」
ギアの壮絶な過去はまたの機会に説明使用。二人はタージェの待つギルドがある街がみえるエリアに到達していた。この周辺はタージェの努力のかいがあり治安がいい。そこにさらに戦力が加わるのだ。その頃、レイとアルは敵の主要キャンプの襲撃に取りかかっていた。今回は規模が違うため正規軍の残等を募り夜に夜襲をかける算段だ。作戦は前回とは少し違う。
「レイ。炎の圧力を最大にして大剣から放って! あの中央にみえるタワーが標的よ」
「わかった」
「皆さんは二手に別れてください。バリアシステムを破壊する少数部隊とレイを守る防衛隊。ではお願いします!」
『了解した!』
流石は正規軍。動きが機敏で統率力が高い。反逆軍はすでに銃器を構えて奪った正規軍本部を固めていたがそれはすぐに奪還されることになった。レイが大剣に貯めた魔力のエネルギーを一気に爆発させ管制塔らしきタワーに爆炎の玉をクリーンヒットさせた。管制塔が麻痺したところをアルが同じく最大に貯めていた矢を放ち基地の中心に差した。ここから正規軍兵の活躍が始まる。あらかじめ分隊として分けていた部隊A、B、C、D、E、F、G、Hが防壁に小さな機械をセットし退避していく。そして十分離れたところで発光弾を空中に打ち上げ8隊すべての光が揃ったところでアルとレイ以外の戦闘員が退避した。
「レイ! 伏せて!!」
二回目の蜘蛛の巣状の光の筋が基地全体を包み狙い通り火薬庫や兵器庫に引火した。もとより了承済みとはいえ凄まじいまでの爆風に驚きを隠せない正規軍一同。だがそのあとに来るのは勝利の喜びと失った仲間などからくる複数の激しい感情に襲われる兵士たち。我に帰り首謀者の謎の少女と“レイ”と呼ばれていた少年の姿はそこにはなく。当事者達はその顔すらわからない二人を勇者として長く祭りあげることを心に決め一時的な平和な時を過ごしたのだった。二人はどこに消えたのだろうか…………。
TO BE CONTENEW……