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WARS&WARS  作者: OGRE
血で血を洗う……大陸探査
26/29

覇国建立

 堅苦しい式典が続きうんざりした様子のマナとレイ。それは高官になったメンバーの皆が感じていたことだ。新たに新部隊を任されたイオ、クルーエル、ウィルもそれに見合った官位を得たらしい。そのうちの男性に比べ職務の少ない女性陣が男性陣より先に城から現れた。ギルド創設にかかわる時期に居たメンバーはほとんど婚儀を済ませそれぞれに家庭を築いているメンバーもいるようだ。最初に現れたのは官位を得たばかりで職の少ないイオ、次に夫であるアレンの秘書勤めをしているヴィヴィア。さらに最年少ながら魔術師部隊総司令官にまでなったルナ、その次は水中騎士団『麗鱗』の騎士団長のゼピュロと副団長のオーシャ、最後に今回の昇進で騎兵部隊の総大将にリーン&桜牙。最後に出産後に体調の回復と共に軍に復帰したアルと続く。その後続にも次々と新任や役職を持つ者たちが続々と出て来た。


「ふぅむ……胸がキツい」

「羨ましい限りね。その胸……」

「うん……」

「ルナはこれからでしょ?」

「うぅ……」

「前衛槍兵部隊総隊長……イオ・イニシス師団長かぁ。あんなに綺麗な瞳してたんだね」

「あぁ、うちには解る。アイツの目ぇは昔槍を交えた時のアイツとはちゃう。今のイオならうちのライバルにしたってええと思っとる」

「ふん……。にしてもこれだけの高官がそろうのも珍しいかもね」

「アルやないか。そやな、皆忙しいし……マナなんかレイに看病され取るらしいしな」

「王様と王妃様ってのは案外辛いと思うぞ」


 そこに男性高官が加わる。部隊や高官達の所属する官職の仕事がひと段落し外に集団で出て来たのだ。最初に話しかけたのは最初のメンバーから考えて馴染み深いフィトが現れたようで女性陣の視線はそちらに向かう。次に役職の近い風崖……彼らは突撃部隊の大御所だ。そして、住民に大人気のギルド創設にかかわった立役者のシドとギア。デルと同年代らしく既に仲良くなったクルーエル、その後ろからは特殊技能を持つ者たちを統べるように任命されたウィル。隠密機動部隊のシェイド、青騎士のアレン、狼牙騎士団副団長のライムズ&光狼と彼らも疲れた表情だ。


「疲れたなぁ……」

「うん、クルーエルはなんで最初の任命式なのにそんなに落ち着いて」

「いや、八割寝てたから」

「……」

「そんなことでは覇王の弟は務まらんぞ」

「風崖、お前は少し緊張しすぎだ」

「ギアさん」

「まぁ、そっくりじゃないか。もしかしたらお前たちは血縁……」

「そうですよ。こいつは俺の従弟のはずです」

「俺、知りませんでしたよ」


 そんなこんなで外部はまだ空気が軽い。内部では半日以上に及んだ会議や儀式などのせいで一人が疲れきって寝込んでしまったのだ。披露困憊の顔で看病しているのは覇王、フェンク・レイ・スウォード。看病を受けているのは覇王妃、マナ・ムーンライトだ。


「ごめんね……レイも疲れてるのに」

「……いや、気にするな。お前はこれから数日仕事を休め」

「え?」

「これからは俺も仕事が楽になる。これまで以上にな。だから、お前は安心していてくれていいんだ。建国以来、体がそんなに強くないのに無理をするからな」

「うん」

「腹の子供のこともあるんだ。マナは静養してくれ」


 中央大陸は巨大な一つの都市として発展し始めた。過去の『大地の巨人』との戦闘以来変形した大陸はレイ以外のメンバーが収めるエリアも生まれ始めた。レイは中央森林区を整備し王宮にしてそこで制度や城塞などの整備などの最終決定をしている。東には聖刃と修羅の夫婦が詰めて大陸サウスウィンドゥとの交流を密にしカースのならず者の中で考えの柔軟な者たちを仕官させ義勇軍を結成。権限はレイの持つ最高権限に委託された形状で動く。サウスウィンドゥには日光と月光が詰めている。加え雷軌と赤額もそこに居る。


「なかなかこの土地も大変なのだな」

「はい、この土地も食料に関しては少々……」

「ならば呼び寄せよう」

「は?」

「赤額殿」

「ん? どうしたんでい。俺にようかい?」

「あぁ、貴殿の航空部隊に支援要請書を早急に本国へ送ってほしい」

「おぅ。行ってくらぁ。ちょいと待ってな」


 北の大陸にはゼシとシドが詰めその後はレイの推薦からルナとデルが補助管理官として詰めている。デルは科学者、発明家として名高く北の地でさらに知識を付けつつ発明にいそしんでいるという。ルナは軍の本隊意外にも北の軍備を進め新たに発覚した海外からの攻撃に先陣を切って対峙し夫の発明した離陸滑走路付きの巨大な戦艦から攻撃を続け本土への侵攻を食い止めている。そして、軍の本隊にはゼシ率いる女性ばかりの高機動攻撃部隊が構えさらにその後方にはシドの連れて来た忠臣ばかりが集う部隊が未だ待機している状態らしい。


「皆! 踏ん張って! 右舷に岩の魔導師部隊を派遣し小型の攻撃艦を撃破しなさい! 本隊は私と星魔導師、攻撃に特化した魔導師を抜擢した部隊で風穴を開けます! 行きますよ!」

『おぉぉぉぉぉぉ!!!!』

『ルナ! 僕の部隊も動けるよ!』

「遅いじゃない! 待ちくたびれたわよ!」

「ごめんごめん。準備に手間取っちゃって……皆! 準備はいいかい? 背中のエアジェットで魔法部隊を防衛する。僕に気を回さず皆ここに守りを固めて!」

『ルナ! デル! 私の隊も動ける!』

『大本営からだ。こちらの遠距離砲を動かす。ゼシは左舷の後方から敵の基地をつぶす作戦に出よう』

『了解!』

「突撃!」


 西にはギアとファンが入った。シドの信頼した彼ならば西の大地をまた緑の豊かな大地にできると信じた采配だろう。ここは戦闘などはなくリーンの勧めにより赤剛と人の入り混じる街すらあり戦闘は見受けられない。それに頭首がギアとファンということもありオウガやカイザーの住民が多く移住し発展している。その既知の高さから次々に砂漠の緑化を始め安定した土地として大きく発展した。


「お父様! 緑化が進み西の山岳基地周辺が林になりました」

「全く……お前は何歳なんだか」

「はい?」

「まだ三歳に満たないはずの少女とは思えんな」

「仕方なかろう。クライスは私とお前の既知に加えオウガとカイザーの成長幅がかけ合わさっているんだ。恐ろしい成長もうなづけよう」

「お母様……」

「お前は気にすることはない。私の自慢の娘だ」

「その割に男勝りだがな」

「お父様!」

「それは否定できん……。私がいかんのか?」

「お淑やかな生活は私の相には合いませぬ。イオ叔母さまに伝授していただいている槍術も」

「そこなのだ……」


 南にはレイの推薦でアルとフィトに加え狼牙騎士団の一部が派遣されそこで緩やかな復興を遂げている。ビースト主体の国ではあったが最近の地殻変動で地下に空洞が発見されそこにヒューマンやエーテリオンなどが住まいデルの発案でドワーフ族までもが出入りし金属の鉱石採掘も進めている。時代がすすみ戦闘部族も数が減り『元住民族』としての文化が守られ彼らはその文化を伝えるという市街地との意思疎通も生まれた。


「にしても……二人ともそっくりだな……」

「えぇ、二人ともあなたにな」

「そんなに値に持つな……選択するのは子供たちの自由なんだし」

「そう、ね。でも、私がお酒を我慢しなくちゃいけないのはなんで?」

「娘だからな。この子たちまで酒豪になったら困るだろ」

「た、確かに……そうそう、フィトに新しい嬉しい事があるの」

「ん?」

「また……子供ができたの」

「……ホントか?」

「うん。お医者様は私みたいに体が強くないと無理だったって」

「俺も相当頑張ったからな」

「えぇ……次は男の子かしら」


 今は中央には謁見と今後の軍備方針を考えるために聖刃とレイの会見が開かれることから海外の同盟国や最近この国に移住を求めて来た住民などの首長が集まりつつある。


「お互いに……妻の体調がすぐれないようで」

「聖王殿も苦労しているようだな」

「いえいえ、愛しい妻への愛情を毎日そそいで居りますよ。覇王殿は?」

「最近は子が生まれる事も関係しているみたいであまりマナの体調も良くないんだ」

「しかし……こんな時にわたくしの感が間違いでなければ」

「プルトンか?」

「えぇ、わたくしが成敗した者たちの中に明らかに異様な者が含まれておりました。イオ殿の見解も視野に入れますと」

「そうか、東の国に紅蓮と氷鑓か芳納、クルーエルのどちらかを派遣させよう」

「では、我が妻の意思に沿いまして氷鑓夫婦をこちらに」

「解った。今日中に派遣させる」


 本城の警備にはイオが一役買っている。おとといもどこからともなく入って来たらしい敵を落としたばかりという。


「しかし、イオ嬢もよく働くな」

「クルーエル。お前もな」

「しっかし、オウガの成長はそんなに速いかね」

「あぁ、私にもよく解らんが兄上の話では私はもう子を宿してもおかしくないという」

「ん?」

「働けるうちは働いておきたいのだ」

「そうか、ギア殿がいっていたな。オウガの女性は子供を産み落とせばもう戦士としては働けないと」

「そうだ。私は……戦闘しかできん。特技は肉を切り裂き魂を解放すること……それ以外には」

「いやな特技だな」

「仕方なかろう。私には幼いころの家族といた記憶すらないのだから」

「そうか。俺は芳納を幸せにしないと姉さんに殺されちまうよ」

「……お互い大変だな」

「あんたは家事を覚えれば済むだろう?」

「家事か……」


 芳納は……暇だった。マナが静養しているため事務などの仕事がなかったのだ。ウィルは一応本軍の部隊長ではある。だが、戦闘がなければ彼らは動く事はなくシドやゼシに頼まれたように剣や魔術などを彼から習っている。その関係から彼は巷では『教官』として名高い。


「ほう……腕を上げてるな」

「へっへぇ!」

「先生ぇ! 私は?」


 アルファとミシィもそこに居る。彼らはどんどん成長し体格や知識的は既に10歳近いそれでも年齢は7歳程だ。クライスとも仲が良く彼らの交流は手紙を介して行われている。たまに家族で帰って来る時などは仲良く遊んでいるが……。


「クルーエルじゃないか」

「おう、俺はこの後執務があるんでな。姉さんが寝込んでる分は俺と兄さんで割り勘さ」

「すこし……使い方が違わないか? まぁ、いいさ。今日はこれまで。二人には宿題だ。ほれ、この紙に書いてある事をやってこい。ただし! アルファは真剣を使うなよ。ミシィは外でやれよ……その魔法は意外と舐めたもんじゃないからな」

「はい!」

「解りました」


 イオはその様子を遠巻きに見ている。何を考えているのかは知れたものではないが槍を地面に突き刺し3人のやり取りを見ているのだ。新しい鎧に身を包んだ勇壮な女性騎士の複雑な面持ちをかなり近距離でしゃがみこんでみている……ウィル。いうまでも無く強力な蹴りが飛び一瞬だけウィルの頭が消し飛んだ。


「どうした? 浮かない顔して」

「な! いつの間に!」

「だぁーかぁーらぁー……俺は打撃なんて効かねえんだよ」

「……そうだったな……。お前は……子供が欲しいのか?」

「いや、アイツらは頼まれてんだよ。まぁ、確かに可愛いとこもあるが……やっぱり子供ってのはウザッてーとこもあんだよ」

「で? ほしいのか? いらんのか?」

「俺はその前になんでおめぇがそんなこと聞いてくるのかが気になるが」

「どうもしない」

「そしてなんで俺なんだ?」

「ん? いっただろう。私でよければ一緒に居ると」

「あ? それってまさか……」

「そのつもりでいたが……命を救ってくれた男ならこの身を預けても問題ないと思っていたが」


 ウィルが一瞬困惑したらしく体の形状が保てずに一瞬だけ解けた……。数秒後に元に戻り体を再構築して応えようとしたが……芳納とクルーエルが走ってくる。


「お! いたいた! こんなとこに居たのか。二人を兄さんが呼んでる」

「あ? なんで……こんなときに」

「どうしたというのだ?」

「ん……いや、大したことじゃないらしいんだが特にウィルの方に用があるんだとよ。イオはそれまで姉さんの看病……って家事できなかったよな」

「しかもわざわざなんで侍女を使わずに?」

「それは兄さんに聞いてくれ」


 イオは……オウガの身体能力をフルに使って屋根の上を軽快に走って行く。その後をウィルが魔法を使って付いて行く。レイはイオの入って来た場所に驚いていたがすぐに話に入った。役柄は逆になってしまったがイオがレイの話を聞きウィルが一時的にマナの世話をする。


「どうされた? 覇王殿」

「なんてことはないさ。お前らに休暇だよ」

「……まだ、そこまで休養を取る程働いては居りませんが」

「違う違う。お前はそこを勘違いしてるんだ。疲れたから休憩するんじゃない。能率をよくするために休憩をするんだ。だから、過度な休憩は無駄だし辛い仕事もあまり能率がよくないんだ。そら、行ってこい」

「は、はい……」


 ウィルもマナにいわれていた。既にマナは九割型回復していたようで血色もよく顔も元通り明るくなっている。そこにレイとイオが入ってきてレイが追い出すようにイオとウィルをその部屋から出した。


「先ほどの続きだが……子は……」

「イオ……場所を考えろ」


 扉の前だったため中の二人には全て聞こえていたがそれも仕方ないだろう。クスクス笑うマナとあきれ顔のレイ。ここからは和やかに話す。彼らも今日から数日休養を取るらしい。


「ねぇ、レイ」

「何?」

「このお腹の子は……どんな子だと思う?」

「そうか……クライスみたいに新種族は生まれないだろう。だが、俺は女の子だと思うぞ」

「え?」

「兄さんは男の子だったし」

「そう……私は男の子がいいな」

「なんで?」

「女の子はいつか自分の元から離れていっちゃうじゃない」

「……婿養子を取ればいいだろ?」

「そ……そうだね」


 その部屋の窓から二人が中庭を歩いて行くのがよく見えた。何とも変な二人組だが見ているだけなら面白い。鎧を着た女性の騎士と魔導師の風貌だが大柄なウィル。部類を言えば『変人』に近い趣味をしている二人……まぁ、そこは気にせずに彼らの動向を追ってみよう。イオは見た目だけは美人だ。緩く天然パーマがかかった長髪に光沢の強さがあり手入れは行き届いている。そして、スタイルも良好で表立って怪我や傷跡は見当たらない。


「ここまで離れれば……」

「だから、こういう真昼間から話すことじゃないだろう」

「そ、そうなのか?」

「私には一刻を争う事態なのだが?」

「おいおい……、子供産まないと死んじゃうみたいにいうなよ」

「近い物はあるな」

「……は?」


 こういう感じに会話のところどころ食い違うところが確認できるのだ。イオは……けして頭が悪かったりおかしかったりはしない。ストレートすぎるのだ。ごちゃごちゃした事の嫌いな彼女は物ごとの真意を一気に手中に収めようとしてくる。それだけならまだいいが姉……つまりはファンのように素直でなく少し突っ張るところがあるためそこもウィルからすれば面倒臭いらしい。彼は賞金首になる前は魔法学校などで教師のアルバイトや軍学校の日雇い臨時講師をしていたらしく教師のような考え方が強いようだ。


「それは……どちらかと言うと逆だろう?」

「何故だ?」

「何故ってなぁ……それは『子供を産まないと死んでじまう』ではなく『子供を産むと衰弱が早まる』じゃないのか?」

「そうだ。だから近い物があると言っているだろ?」

「むしろ逆だろ?」

「そ、そうか……」

「で、なんでそんなにこだわるんだ?」

「こだわってなどいない。私はお前に聞いているのだ。お前は子供が欲しいのかと」

「いやいや……」


 彼の心の中の言葉を代弁してやろうと思う。何故、今、急に、ここで? そして、いきなり? 恐ろしい程困惑と呆れで物ごとが口から出ない様子だ。それも、解る。だが、イオは一歩? 引こうとせずに彼に詰め寄る。今彼らが居るのは聖霊森林区のはずれにある林の中だ。


「私には時間がないんだ。オウガの女性が子を残すと衰弱が早まるのは先ほど述べた通りである。それに私は戦士だ。戦士は戦士と……そして、解りあえる男としか交われないのだよ。私は……子を残せば戦士として生きてはいけない。普通の人間と大差なくなってしまうのだ」

「それを先にいえよ。それから、俺に聞いているんじゃなくてお前は自問自答してんじゃないのか? 子供が本当に残したいのか」

「そ、それは……」

「いい、言わなくていい。俺はな。教師をしてこれまで生きて来た。いろんな立場の人に講義をして俺自身も学んだ。本当にそうしたいなら自分から動けばいい」


 その頃、クルーエルと芳納もそれぞれの仕事をしてはいたが同じ部屋に居た。芳納は……お淑やかな大和撫子と和風お嬢様と言った感覚の人物だ。紅蓮とは全く逆の性格をしその点では際立つ。


「旦那様……」

「ん?」

「今晩の食事は何にいたしましょうか? 今宵から姉上と兄上はいらっしゃらないですし」

「普通に話してくれ。俺が慣れるまではそっちの方が落ち着くしな」

「はい。クルーエルは……」

「言い直さなくていいよ。俺は姉さんに言われなくても一度決めた事は意地でもそうするつもりだしな。何でもいいよ。芳納の手作りならな」


 再びイオ……。


「だからと言って男を押し倒す女がどこに居るんだ?」

「ここに居るだろ。私はまだるっこいのが嫌いなのさ」

「だぁーかぁーらぁー! そういうことは男から切り出すべきなんだよ!」

「……」

「女……悲鳴も上げないか」

「私は戦士と言ったばかりだろう。お前の頭にはおがくずが詰まっているのか?」

「俺はお前だけにはそれを言われたくない。ここまで来たら後には引けないだろう。お前の準備はいいのか?」

「ギアの話では私はお前に発情したらしい」

「は?」

「オウガ族の女性は成長と共に徐々に子供を宿す準備をするのではなく年頃になり発情するといきなり体機能に変化が出るらしい。以前、お前の前で吐血したであろう。それで準備が整ったんだ」

「ここでそれを今からしようとしている男にいうか?」


 イオの頭上にはクエスチョンマークが何個も現れたようにキョトンとしているが……。気にはしない。彼らは少しの間ほおっておこう。好きなようにさせておけば問題ない。このバカ二人は……。そういえば述べるのが遅くなったが北の地でデルとルナは婚姻を上げ若年カップルも遂に夫婦になっていた。


「はぁ……胸」

「どうした。ルナ」

「ゼシさん」


 気にする人は少なくも無いはずの悩みだ。無いもの強請りでしかないが女今日がそろえばイオなど逆に邪魔だと考えているに違いない。ゼシにルナの悩みを打ち明けるとカラカラ笑い始めている。ゼシはそんなことは気にしないタイプの女性で自らの道を突き進む人だ。いちいち気にしていたらきりがないとルナに言い聞かせる。北の大地のゼシの故郷は元々は北の軍隊の拠点の一つでもあったが『大地の巨人』事件の後は荒廃し続けていたらしい。そこを改修工事し城に作り変えて拠点にしていたのだ。


「ははははは! そんなことか! そういえばお前は今年で19のはずだよな?」

「はい」

「まだまだではないか。これからだよ。人間は……まぁ、種族にもよるが混血種のお前も長生きするだろう。考えるな受け入れるんだ。それが人生のだいご味でもある。楽しまねばそんであろ?」

「師団長……」

「どうかしたの?」

「敵が動きました」

「え? そろそろとは思ってたけど……総員戦闘準備! 魔導師部隊は先日伝えた通りに動いて頂戴。デルの空中機動部隊と今回はゼシさんにも前線に出て貰わなくちゃこまりますし」

「お、お前も司令官になれるではないか」

「いえ、ですが。急ぎましょう」

「あぁ」


 レイとただ二人で荒野の真ん中の布陣をしている。城門を閉じて各々武器を構えて敵の部隊と対峙する。敵の先方隊はどう見てもスケア。後方に居るのがオニキス。その途中に……この世の生物とは思えない生物を従えている。


「兄さん。どう行くつもりだい?」

「俺は正面から行く。お前は後方を頼むオニキスを抑えるんだ」

「了解」

「他のメンバーの準備が整うまでだ。そのうち芳納や他のメンバーが異変に気付くはずだ。それが奴らの運のつきさ」


 レイとクルーエルがどんな経緯でそこに居たのかは解らないにしろ再びプルトンとの戦闘が開始されたことに偽りはない。しかも、今度は恐ろしい程の軍をそろえてきている。だが、レイやクルーエルも本気の形相だ。レイは元々持っていた剣に加え遺跡でマナが見つけた剣を持ち四本の剣を装備し……クルーエルは付けている武具に仕込んでいるらしい武器で戦う。これが……再び……戦いの始まりとなるのだ。


 ……TO BE CONTENEU…… 

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