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WARS&WARS  作者: OGRE
血で血を洗う……大陸探査
24/29

……結び誓う……

 マナと修羅は控え室で話していた。マナはわりあいシンプルな衣装を好み飾りは嫌う。修羅は飾りは関係なく色が黒くなければ嫌らしくゼシは相当苦労したに違いない。それに……二人には花嫁とはいえブーケだけではなく官位の象徴として各々に持ち物や装飾が渡されていた。


「ホントにこんな杖を持っていなくちゃいけないんですか?」

「あぁ、せっかくデルとルナに遠出をしてもらい取ってきてもらった素材から作ったんだから……。持ってもらわないと困るわ……。それに……あなたは今日から女王様になるのよ」

「そうだ。俺も久々に腰に刀を添えたのだ。俺だけでは釣り合わなかろう。……それに、我が国……いや、我らが国の王妃になるのなら必要だろう。権威の象徴がな」


 レイと聖刃の控え室では……。少し行き過ぎの感も否めないがシドとギアが抑えにかかっていた。


「兜と盾は要らないでしょう……」

「そうですよ。……わたくしも杖ならまだしも何故天の群雲以外の刀を腰にささねばならないのですか? ……説明を要します」

「レイ、ゼシの話ではマナと修羅もブーたれたらしいが……形に拘るのがこういう式典なんだ。客の正装なんてもっと吃驚だよ。リーンにドレスを着せると似合わないこと……」

「それはそれで……」

「グジグジ言うな! そんなに飾りが要らないなら全裸で……」

「シドさん。それは失言ですよ」

「師匠!」

「ギア殿……貴方まで何を……」

「俺だって嫌だよだが……愛弟子と弟分の門出だ。しっかり送り出したいんだよ」


 ギアに丸め込まれ諦めた二人。……滞りなく式典は始まり聖刃の義妹である日光と月光が薄く化粧をしそれぞれの役目を始める。先ずは新郎の入場からだった……。レイと聖刃の横にそれぞれギアとシドが付く。一段高い所で止まってギアは兜と盾を預かりシドは月光から渡された天の群雲の剣を手渡し代わりに帯刀を引き取り横の列に抜けた。次は……。


『王たる証を表したまえ……』


 剣を聖刃とレイが打ち鳴らし互いに二歩下がってから鞘に納めた。そこに花嫁が現れる。ファンの内側にマナが、そのマナの隣には緊張を隠せない修羅が……その外側にはポーカーフェイスながら必死に笑いをこらえるゼシがいた。送り届けた二人は各々の亭主の横に並び新たに男女二組が入場してくるのを合図に彼らの武器を高々と掲げ双子の巫女の宣言と同時に納める。


『功と衛……相対しし君主と妃の証に指輪を与え永久に続く泰平の証とせん。

我が君主たる覇王、覇王妃』


 レイに指輪が渡されて跪きそれを指に通すとその手の甲にキスをした。先に覇王の証を述べた日光の次に一礼し月光が同じようにはっきりとした声で証を述べる。


『聖なる礎と魔の礎は互いに力を合わせ覇王、覇王妃の剣と盾となる証をここに表す

我が力の源たる聖王、魔王よ』


 聖刃が指輪を通すと身構えていたゼシがすぐに態度を変えた。恥ずかしさから修羅が暴れることも予想できたからだ。しかし、修羅は露骨に顔を赤らめて目を瞑り横を向きはしたが聖刃がキスをしても暴れることはなかった。最後に双子が呼び寄せ4人の騎士団長が現れる。


『我らが力を代弁する者達よ。我らが主に忠誠を誓いここに新たなる礎を築かん!』


 現れたのは狼雅騎士団の騎士団長……リーンと後ろに控えていた桜牙。次にこの度ゼピュロの居住から設立された人魚達の水中戦を目的とした騎士団の“麗鱗”。同時に現れたのは鎧に身を包んだデルとアレンだった。胸にある覇王の紋章にはデルは赤い宝石が……アレンには青い宝石がつき各々の騎士団の象徴を表している。


『証を……』


 式典が覇王宮前の広場で行われる中寂しげに遠巻きからそれを見物し外に出て行く男がいた。そして、その男を追う少女が一人……。


「待って……」

「またお前か。どうした要件があるなら早めに言えよ」

「また、行っちゃうの?」

「俺は姉さんが許してくれるまではあの人の近くには寄らないことにしたんだ。あの日以来……俺にも追っ手がついたからな。あの人の幸せを壊したくないんだ」

「なら、一人で行くの?」

「お前は聞きたがりか? 当たり前だろ。誰も俺のことがわかる奴なんて居やしない。たった一人の淋し……」

「私にはわかる! 連れてってよ。役に立つし」

「そんな華奢で細い体の見るからにお嬢さんなんかは足手纏いだ。さぁ、わかったら会場に戻りな」

「嫌、わからないからついて行く」

「……勝手にしろ」


 クルーエルは黒い馬に跨る。……だが、芳納に見つめられ後ろに乗せると城とは反対の方向へ馬を駆り遂には城門を出て行った。外は砂っぽい荒野の続く道だ。それでも……芳納は文句すら言わずにただクルーエルを抱いたまま馬に揺られていた。その後、彼らは砂煙を背に居なくなったという……。


「おじさん!」

「だから……俺はまだお兄さんだっての」

「え? おじさんじゃないの?」

「あぁ、俺はまだ20ぐらいだからな」

「二人は『夫婦』じゃないの?」

「……はぁ? いいや、確かに姉ちゃんは美人で好みだがそんなんじゃねぇよ。あんまり下手なことしたら殺されるくらいの仲だしな」

「『喧嘩するほど仲が良い』」

「あ゛……、おい……姉ちゃん!!」

「あ、ん? 何だ?」

「この嬢ちゃんの話し相手してやってくれよ」


 ギアとファンの屋敷の一室に居候中のギュンター・ウィティルードことウィルは無垢な幼女の言葉攻めに悲鳴を上げていた。普段仕事で家を空けることの多いらしいギアとファンの代わりに話し相手ができて嬉しいらしくひっきりなしに話しかけてくるのだ。二歳半とは思えない発達の速さに感嘆するも完膚なきまでに話題切れを起こさせられたウィルは……。


「ん……。お前の体は……ギアの翼。耳の横に義姉様の羽毛。額に……これまた可愛らしい角……白い美髪に大きな白い瞳」

「お姉さんは何族なの?」

「私か? 私は……一応オウガだ」

「父様と同じ?」

「ああ、私はドラゴンとゴーゴンのオウガだ」

「おいおい……」

「どうした、ぶよぶよ」

「ぶ、ぶよぶよ!?」

「ぶよぶよ!! ぶよぶよ!!」

「嬢ちゃんに悪意なしで言われんのが一番腹立つな……」

「う……」

「おい!! どうした!?」

「だ、大事無い……。誰も呼ぶな。死にはせん……」


 こちらもこちらで和んでいたが……いきなりの吐血でぶよぶよが驚き……もとい、ウィルが驚きクライスは初めて見る沢山の血に興味心身で覗き込み……ウィルは収集がついていないようだ。オウガの習性には謎が多いがその一族によって特徴が違うらしい。ギアのオウガの特徴はドラゴンと鬼でドラゴンは秘宝や美女の類に目が無いというおとぎ話が多い。鬼は対照的に人に関わらず『食』に関する事例が多い。恐らくそれはこちらに関しての事例だろう。まだ負傷=血には結びつかない彼女は血が口から自然に出る物であると認識したのだ。理解すればそれが異常な事であることも解るはずだが……。血に興味がそそる……あまり教育にはいい傾向ではないだろう。


「……宴になると、皆ハイになりすぎるな」

「主役の修羅などお構いなしに楽しんで構わないと言ったそばから……確かに凄い飲みっぷりだ」

「一番驚いたのは……」

「ああ、マナだ。私よりも……とはな。あの二人には今後、多量な酒を飲ましてはならんな」

「師匠、ファンさん。クライスが呼んでましたよ」

「あぁ、わかった。私が行こう」


 ギアとレイ。さらにデルとアレン、風涯、聖刃、シドが加わり緩い酒の席のようになった。彼らは皆、デル以外は酒に強くザルであり自分が飲む酒の量も制限できている。先ずはギアからの切り出しで昔懐かしい話をしている。


「お前も嫁をもらう年か……弟子が結婚すると、息子に嫁が来たみたいな感覚だな」

「師匠? 何歳ですか?」

「悪い悪い……だが、懐かしいな初めての出会いやらまだ子供の面影があった頃も」

「ですね。周りを見れば皆、大人になりましたよ」

「確かにな」

「シドさん」


 聖刃とシドが加わり次はアレンとデル。最後に新妻連合の集まりにいるオーシャの近くから離れ居場所を求めてふらりと風崖が現れ輪に加わった。そして、クライスの様子を見に言ったファンを除いては宴を大いに楽しんでいる。いや、騒ぎすぎだ。その位の規模でドンチャカやっているから困る。それを見越していたシェイドとルミはそうそうに抜け出し自宅にいたが……新たに建国された国家の隅々まで彼ら、レイとマナの婚儀とその宴に湧き上がっていた。場所は違っても老若男女古今東西の種族が入り乱れ肩を組んで酒を飲み楽しむ……いい傾向だが、流石に限度を見なくてはならないだろう。


「クライス! どうした?」

「お姉さんが……血、いっぱい……」

「ウィル! 貴様!」

「待て!! 待ってくれ義姉様! 彼は何も悪くない。ただの変身期の重なりだ。クライスが初めて見る血に興味を持ってしまったのが原因……ゴホッ。大事無い……」

「そうか……二人とも……少し外してくれないか?」


 ウィルは状況を読んでクライスの手を引こうとしたが……クライスが何故かいきなり泣き出し……。


「いや!! 私も!!」

「クライス。母さんが困って……てっおい!?」

「クライス!」

「いぃ~~やぁ~~!!!!」


 無意識にクライス本人と二人……ウィルとイオが場所もわからない場所に転送されていた……何故クライスが二人を転送したのかはキョトンととしている彼女にすらわからない。恐らくは突発的に発動してしまった転送魔法を制御できずに結果的に彼らを転送させたのだろう。そして、引きそうになり馬を急に止めたのが……クルーエルと芳納だった。彼らも城から抜けだしていたのだ。そして、一度状況からイオとクルーエルの好で彼の小屋に行くことになっていた。馬には怪我人のイオと足の細い芳納、その間にまだ歩くのがおぼつかないクライスと座りギュンターが馬を制御してクルーエルは周りを警戒している。この五年間の間に彼にどのような変化があったのかは知らないが……彼にもイオにも変化があったことは解った。


「すまないな兄ちゃん」

「いや、礼を言うならイオとお嬢……そう言えば名前は?」

「あ、芳納ほうな

「芳納に言え。お前とそこのガキだけなら無視したかも知れないしな」

「俺は無視してくれても構わないが……」

「そのガキ……大天使と軍神ギアの娘だろ?」

「な、なんで解るんだ?」

「イオが大事そうに抱いていたし……それならと思ったんだ。そうだ、これもなんかの円だろう。俺はクルーエル。さぁ、ギュンターさんよ馬を頼む。俺が護衛をしてやるからな」


 口は悪いが……まんざらでもないようだ。芳納もほっとしたらしくイオに寄りかかってクライスとともに寝てしまい着いた時には完全に夢の中だった。その間に半狂乱になって娘を探すのがファンだ。夫であるギアに言伝た瞬間に瞬く間にその知らせは周りの人間にしれわたり酒を飲んで酔っ払っている人間以外の人間が動き出した。いくら祝いの席でも護衛を怠ることはできないと自主的に切り上げていた闇剛とアークリー、酒に弱く飲めないまでも紅蓮と修羅の相手をしていた氷鑓などが動いたのだ。ギアは酔いがさめるほどの事態だったらしくレイには告げずに席をはずしシドと状況から察した岩鋼に後を任せ一度屋敷に帰る。


「どうしたんだ? 何があった……」

「す、すまない……私としたことが取り乱してしまった」

「いえ、子を探すのに落ち着いている者などそうは居ますまい。我々もお供しよう。ギア殿。俺と数名を外に出しては?」

「あぁ、そう言えば……この血は?」

「そ、そうだ。イオが吐血していたのだ」

「それは女性のオウガが子を宿す準備が出来た証拠だろう。変身期は10歳くらいで迎えて終わる。だろう、だが、そんな不安定な時に能力を使わせれば死ぬかもしれん。氷鑓、ライムズ、アークリーは外を頼む。闇剛はファンと共に広域捜索だ。俺は心当たりを探してみる」

「了解」


 いくら鈍くても気付くらしい。酒で完全に酔いつぶれている女性陣の内、動けるものがファンが武装して外に向うのを目撃してたのだ。それを境に次々と動き出す。とはいうが……修羅と日光月光姉妹、マナ、ゼシ、ヴィヴィアは動けない。レイや知らされては居ない……もしくは知っては居るが祝いの席で民衆にそのことが知れないように隠しているメンバーが各々の屋敷に運んで寝かせた。その上で……シドがレイに告げ捜索隊を動かすことになったのだ。


「な、なんでそれをもっと早く」

「大事になるだろう。だから俺もギアに言われて時を待っていたのだ。捜索隊なのだが……」

「わたしも……」

「いや、アルとリムさんは出て行くべきではないでしょう。」

「で、でも」

「身重の二人は今回は勘弁してくれ。今回はギルドからの命令で待機だ」

「はい」

「フィト!」

「ん?」

「お前の部隊で手頃な奴を動かしてくれ」

「おう」

「兄さん」

「待っていた」

「お願いします」

「御意」

「風崖」

「は、何なりと」

「広域捜査を早急に頼む。できれば錬強な者たちをそれとなく当たってくれ。きな臭い動きも多く確認されているからな」

「はっ」


 次々に命令が飛び身構えていたデルとアレンには命令がこず少しげんなりしたらしいがレイが大剣をかつぎ現れた時にすぐに各々の動きに移る。なぜレイが彼らを側近に選んだかはすぐに解った。彼らには各々に違う特性がありそれがとても有用性の高い能力え有るからだ。


「俺は出る。後は任せた、師匠の所に向わないと」

「……聞いたかデル」

「あ、あぁ……俺達が本部の仕切り……やりましょう!」

「おう!」


 文官型のデルは腕っ節は弱く剣の腕もアレンほど上手くはない。しかし、冷静な情報分析能力とこういう時こそ役立つ彼の作戦立案の効率性が火を吹くのだ。それに加えアレンの恐るべき行動手腕が重なる。デルの立案に極地を決め最上限度の割り振りを送り部隊編成をしていく。戦やこういう作戦立案に関してはかなりやり手な二人が動いたのだ。だから発見は簡単と思われた……しかし。


「ファンさんと師匠。間諜部隊に高速捜索部隊ですら発見はできず……そこに居たという痕跡はあるが遺体や本人たちの身柄のない小屋の残骸……」

「面倒な事になった」

「クライス……」

「そ、そう言えば芳納様もおりませんぞ」

「恐らく一緒に居ると踏んだ方が自然ですね。それに誘拐の線はゼロでは無い……クルーエルの存在が気になる」

「そうでした……。皆席をはずしてくれ。捜索隊が動けないエリアへは俺とライムズ、風崖の三人で動く。もと暗しの可能性もあり得るからな兄さんと闇剛で付近の捜索を……あとは、少しファンさんに事情の説明を願いますか」


 レイの顔にも影があり二日酔いの嫁衆は戦力にならないためマナを近くに連れて北には来たが形だけだろう。レイが聞こうとしているのはなぜファンとギアがイオとギュンターを無断でかくまっていたかだ。いや、別に今更レイは罪に関する咎めをするなど毛頭無く理由によっては彼らに管理を任せるつもりという。だが、今回の事件では……。


「すまない……。今回の原因は私に有るのだ」

「いや、お前だけではないだろう。俺もイオを無断でかくまったんだからな」

「そのことは過ぎたことです。まずはイオとファンさん、師匠の関係。そして、ギュンター・ウィティルードに関する情報をください」

「あぁ、イオは……イオ・イニシスは私の義妹だ」

「……」

「私の父であるオルドネスがどこからともなくボロボロで衰弱しきった彼女を拾って来たんだ。その頃はギアが事件を起して一時的に私の家に居たころでギアにも彼女との接点が少ないがある。そのすぐ後にギアは置き手紙と金を残して私たちの元を飛び出したからな。少ない理由はそれだ。だから、敵であっても私の妹のような彼女を殺すようなまねはできなかったしギアも私の意志を汲んで黙っていたんだ」

「イオの事は解りました。それで……ギュンター・ウィティルードのことに関しては?」

「ウィルは私がギアを探して旅に出た先でたまたま知り合った魔同士の息子だったという話だ。奴の母親は私と双対をなすほどの実力者だったらしい。……が、亡くなったと本人から聞いた……」

「両人ともあやしくは無い……。という事はクライスの暴走?」

「あぁ、カイザーにはよくあることなのだ。まだ魔法を制御できんのだが……何かのはずみで暴発してしまう……クライスはオウガの血を受け継いだ事によってさらに魔力が膨大で大きな力、そして発達能力や成長がみられる……今回はそれが原因だろう」

「では、芳納の方は?」


 それに関しては見張りの兵隊が見ていたらしい。今日は任務を早く切り上げて良いという伝令が回っていたため家族のもとに帰宅中だったそうだ。芳納は黒い馬に乗った男と会話をし自ら馬に乗ったという……衛兵はその一部始終を見たらしい。芳納は少し前にクルーエルと接触がありそれがもとであることは明白だった……クルーエルの話題に触れた瞬間にマナが立ち上がりロッドを手に取ろうとしたが先にレイに手を掴まれ再び椅子に座って衛兵の話を聞いた。


「芳納様は黒い馬に乗った旅人のような風貌の男の後ろに御身自らまたがれました。わたくしの見る限りではまったく抵抗なくむしろ嬉しそうでしたが……」

「……」

「マナ……それで?」

「は、はい。正門を出て荒野の方向に駆けて行くところまでは確認できましたが……わたくしも家族のもとに帰りたいと思いすぐにその場を後にしてしまった次第で」

「ありがとう。今回の事でまたお礼をしよう。休んでくれ」

「は! ありがとうございます。ですが、我々も動かなくてよろしいのでしょうか」

「いや、君には少し休んでもらおう。こんな時に皆に不安をあおれば国中はパニックに陥る。口外はしないでくれ」

「は! 御意のままに!」

「うん、帰って家族と楽しんでくれ」


 すぐにマナが再びロッドを掴もうとしたが……レイが今度はロッドを取り上げいつになく厳しい口調でマナに言葉を告いだ。一瞬、しゅんとなったマナだったがすぐにレイに食ってかかる。そこにギアとファンが入り自分たちも連れて行ってくれと頼まれたため彼ら全員で動く。まずは小屋の残骸を発見した風崖の案内でそこまで向った。ギアとファンは空高くから周りを見回しつつそこに到達したときに着地し検証する。マナは生活の跡から不信感を覚えたらしくレイに言葉を告いだ。


「あの子は……本当にプルトンと縁を切った見たい……」

「マナ……なんで解るんだ?」

「ファンさんやギアさんは知らないでしょうね。クルーエルの本名はクルーエル・ムーンライト。私はマナ・ムーンライト。異母では有りますがれっきとした兄弟です」

「な、何だと……すまん。つい」

「で? 何がおかしいんだ?」

「あの子はひっそりと一人暮らしをしていたみたい。しかも、ここ一年くらいだわ。解る。こんなに質素な生活をしているのはプルトンに追われているから」

「なるほど……隠れていたのか。なら、イオの体の傷やウィルの戦闘をしたという言葉も頷ける」

「プルトンは何をたくらんでいるんだ?」

「さぁ、しかし、この攻撃は……」


 小屋は大きく二つに切り分けられ馬の蹄のあとが近くの小川から消えており彼らはスg方を隠すために近郊のどこかに隠れていると見える。レイの判断で三手にわかれて動くことになった。ギアの見たてで攻撃の指揮をとっているのはスケアであることが解ってきたのだ。それに足跡から考えるとどのようにその人数を集めたのか知らないがかなりの人数で一人では危険になる。そこで二人一組になったというわけであった。空に二人で飛び立ったのはギア、ファン。風崖とライムズは最近意気投合したらしくかなり良好だ。しかも風崖であればライムズのパートナーである銀狼の光狼とも会話が出来る。その関係でも都合がいい。マナとレイは近隣を捜索し始めた。明らかに川沿いにうごいていることは確かだ。それに……手負いの戦士一人に子供……芳納はあまり戦力にはならない……そう遠くには行けないはずだ……。



 ……TO BE CONTENEU…… 

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