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WARS&WARS  作者: OGRE
血で血を洗う……大陸探査
22/29

古を今に

 その頃のマナとレイは二人が出会った場所に向かっていた。聖霊森林区に足を踏み入れ各々が重武装で歩いているのだがこれまでに体験した危険なエリアにさしかかっても何も現れない。大きな森林区に入り、ぬかるみを避けながら更に奥へ、奥へ歩く。プルトンとの大戦の影響からか道がかなり大きな変化をしていて解りにくいがひときわ高い遺跡の塔を目印にしているらしく迷うことはなさそうだ。


「懐かしいね」

「あぁ、マナが俺と出会った場所に近づいてる」

「うん。でも……おかしい。何も居ないなんて」

「それはそうだな。危険性が少ないならいいが……不気味さがある」


 その時、空からの襲撃にみまわれた。ライオンの胴と後ろ足、尻尾にワシの頭と前足、翼を持つ幻獣グリフォンだ。他にも類は友を呼ぶのか違う種類の物まで現れる。猿の頭に他の動物が合わさった鵺、こちらも合成獣のマンティコアなどが含まれる幻獣種。鬼にしては大型なオーク、中核のオーガ、小型のゴブリンなどの鬼類。果ては野生の小型の竜でドレイク。以前にも歓迎してくれた水性の魔物。それらがどこから現れたのか知らないが大量に現れ次々に攻撃をしてくる。マナは魔法の特性上攻撃はできないためレイが一人で攻撃をしマナは長いロッドを持って防御をする。


「レイ君! この数じゃ防ぎきれないよ!」

「頑張ってくれ! だが、らちがあかないのもそうだな。なら!」


 数分が経過した頃にクリードとは比にならないが巨大な竜などのモンスターが現れ始めついにレイが覇王の力を解放しことの対処に当たった。赤い髪は金に染まり瞳も相応に変化をしていく中で一言叫び周りを静めたのだ。


「我が名はフェンク・レイ・スウォード! この地に覇の力を満たすために来た。世界に安泰を求むる者は道を空けよ!」


 するとモンスター達に早々と変化が現れた。周りを取り囲んでいた雑魚というとそれらに失礼かも知れないがあまり強くない者は逃げ出し中核の知能が働く者は怯えその場で頭をたれ、大型の知能のかなり高い者は皆、列を作り道を空け通り過ぎるとそれらは森に帰って行った。


「レイ君。今のは何だったんだろ」

「解らない。だけど、試していたのかも知れない」

「試す? 何を?」

「俺が本当に覇王でマナがその妻。修羅風に言うと覇王妃であるかってことを試そうとしてたんじゃないかな? 俺達は魔獣や幻獣の言葉が解らないけど向こうは力の差を強く感じ取ったらしいし」

「そうかもね。みんな、急に素直になったもんね。でも、なんで隠れて……」

「まだ距離があるな……もう少し歩くけど足は大丈夫か?」

「あのね。レイ君が思ってるより今の私の体は強いよ?」


 更に奥へ歩き続けながら会話をしていた。空中要塞の攻撃が止んだのか大地や空が静まり返ってかなり不気味になっている。途中からマナがレイの手を離そうとせず更に歩く時間がかかっているがレイも文句は言えない。この聖霊森林区は他の区域よりも魔力の影響を強く受けるためか気象条件や時間の流れが不安定でそこだけが雨や嵐、雷、晴れになったり昼と夜が逆になってしまったりするのだ。不安定とは言うが今は外も金星と呼ばれる明るい星が見え始め急に暗くなるかならないかの差だったのだが……。不安定と言えばルナは母親である宙慧を失い心の上でかなり不安定になっていた。同室のデルですら話しかけるのが辛い程なのだ。頬には涙の跡が光り目は真っ赤に腫れている。いつもは短くても髪飾りをつけるが帰って来てからは全くする気配がない。宙慧の葬儀は修羅に兼ねてより彼女自身が伝えていたらしく七人衆とルナ、加え修羅の独断でデルを末席に座らせ、しめやかに行われ……ひっそりと埋葬されるということだ。


「デル……」

「なに?」

「デルのお母さんってまだ、生きてるの?」

「僕が5歳の時に死んじゃったよ。父さんはドワーフの首長。母さんは……ヒューマンだった。だから、僕と母さんはその場に居られなくて父さんが逃がしてくれたんだ。その後、僕を船の上で出産して……過労死」

「お母さんって……優しかった?」

「あんまり記憶にないよ。5歳の僕は近くの母さんの実家にいたし」

「デルは寂しくないの?」

「寂しいよりは苦しかった。僕を養うために体が弱いのに無理をして……最後には笑顔で死んで……身勝手だよ。子供は一人生き延びるんだからさ。親なしでね」

「私……。自分のせいでお母さんが死んだのと同じだから。正直辛い。デルは……どうして止めてくれなかったの? お母さんが来てくれた時は嬉しかったけど……まさか、まさか死んじゃうなんて」

「宙慧さんは僕が何を言おうと進むのを止めなかったよ。だから、あの人に僕は負けたのさ。殺したのは僕かも知れないし……その重さは確かに僕にもある。だけど、宙慧さんは僕に自分を責めるなって言ったんだ」


 少しの沈黙の後にルナがデルに向き直りいきなり抱きついて泣き出した。デルはどうしてよいか解らずそのまま抱いている。親の死は恩を受ければ受けただけ悲しいものとなるのだ。彼女は長い年月を一人で待っただけありその愛の重さや安らぎは近日に凝縮されていて人よりもさらに重いだろう。宙慧の残した簪が机の上で光りデルは宙慧の言った言葉を心の中で繰り返し最後に一言小さく呟いた。


「ルナを頼みます……か」

「デル?」

「今は泣けるだけ泣きなよ。レイさんみたいに気の利いたこと言えれば良いんだけど……僕はあんまり器用じゃないから。宙慧さんの分まで生きよう。僕が支えるから」

「あ、ありがとう……貴方にしては十分よその言葉だけで」


 その頃のマナとレイの二人は森林区内で遺跡に到達し何故か形状の変わっている遺跡に違和感を覚えつつ中に足を踏み入れる。レイは以前にもギアと遺跡調査のために中に入っているがその時とは装飾や建物の景観が大きく異なっていたのだ。機械兵は攻撃をして来ずデザインが変わり明らかに何かが干渉し変化させていた。


「改印の間はどこだろ」

「ご丁寧に床に地図が書いて有るが……無いな」

「じゃあ……どこなのかな」

「一番奥に行こう」

「覇王の間?」

「あぁ、そこが一番可能性がありそうだしな」

「うん」


 明らかに違うのは地下に通じる階段や上に通じる階段が数多く確認されたことだ。彼が16歳のときにその遺跡に入った時は一階しかなく迷路のような作りの建物だった。だが今は御伽話に出てくるお城のようなものになり作りも以前のように物々しくなくなって全体が明るくなっている。


「ここ、みたいだな」

「うん。手をかざせば開くの?」

「俺の時はそうだった。だけど今はどうか解らない」

「そうだよね。これだけ変わってるとなんとも言えないよね」


 そうは言うが二人とも手をかざし魔力を注入していき一定時間の経過後にいきなり他の空間に転送された。そして、マナもレイも各々隔離されていたのだ。


「マナ! マナ! どこだ!」

「よぉ……」

「誰だ!」

「そんなに警戒すんなよ。実の父親に刃を向けるのか?」

「その声はトゥーロン?」

「あぁ、トゥーロン・マクシミリアだ」

「それと実の父親? だと?」

「マナの嬢ちゃんから聞いてないのか? まぁ、タイミングもタイミングだったしな」

「なんでお前がここに? マナはどうした!」

「お前のお袋のところにいる。俺はお前を試すために来たんだが……もう、継承の儀をしている男を試す必要も無いわけだ」


 トゥーロンは以前に見せた威厳のある言葉使いではなく少し軽さのある話し方をしている。彼は金の瞳にその色の髪だ。レイに似通った点がいくつかあるがトゥーロン自体はそれをよく思わないらしく苦笑いしている。その後も奥に歩いて行った。


「お前には申し訳ないと思っている。だがな、どうしようも無かったんだ。プルトンの力は強大で俺にはそれに対峙するだけの力も器も無かった。だから、明覇に頼んでお前を隠してもらったんだ」

「それが母さんの名前なのか?」

「あぁ、本名はオルドネス・ギル・プルトン」

「何だと?」

「すぐに気付くよな。そう、プルトンはお前の伯父でお前の母さんは冥王一族の末裔というわけさ」

「そんな……」

「お前の母親の明覇はプルトンの姉で……俺を憎んでいる。本来、覇王一族と冥王一族は険悪なんだ。だが、俺と明覇は愛をはぐくみお前をこの世界で産み落とした。お前は最高血種のサラブレッドなのさ」

「嫌な言い方だな」

「悪い。だが、お前には解ってほしい。この世界を守りたいなら……意地でも生き延びろお前の妻にしたい女とな」

「質問してもいいか?」


 その頃のマナも気づけば他の空間に飛ばされレイは居ない。半べそ状態のマナに追い打ちをかけたのは割合低い女性の声だった。その女性は大柄ともいえないが大きな赤い瞳にまっすぐ膝下まで伸ばした赤い髪をしている。何より特徴的なのは大きな『揚羽蝶』の翼だった。暗くはないがあまり明るいとは言い難い青白い松明の火が光る石造りの廊下の先にその女性は居る。


「立ちなさい。マナ・ムーンライト」

「ど、どうして私の本名を……」

「何でも知っている。今、レイとお前がどうしてここにいるのかもギルドの前に浮いている物体が何なのかも。お前たちの……運命がどう進んでいくかもな」

「あ、あの」

「ん? これは失礼。私としたことが……我が名は明覇。この世界から超越した存在だ」

「明覇さんはどうしてここに?」

「お前を試しに来た。我が息子フェンク・レイ・スウォードの妻たる力量、知力、技量がお前に備わっているかだ。だが、そんなものはもういらん」

「なら……どうしてここへ?」

「ふむ、強いて言うなら息子にわびたかったのだ。私とトゥーロンがあの子をスウォード家に託し無責任にも見守ることしかできなんだ事を……」

「この先に何があるんですか?」

「簡単には誓いの間と呼ばれる儀式を執り行う部屋があるのだが……ここは飾りのようなものでな。あまり深い意味は持たんのだ」


 トゥーロンとレイは既にその部屋を折り返しマナと明覇の所に向かっていた。レイの手に手渡されたのは防具に、部位を限定して言えば手の甲に付けるエンブレムだった。真ん中には透明な石が埋め込まれていて装飾は細やかな物だ。


「お前もいずれは選び進むことになる。その時に強く生きれるだけの心が備わってなくちゃいかん。その点お前は俺よりも強くて安心したよ。マナの嬢ちゃんもかかわってんだろうが……お前はこの先も苦難に襲われる。だがな、つき離しちゃならない。どんな敵でも助けを必要とするものがいれば助けるんだ」

「……なぁ、あんたは母さんと居て幸せなのか?」

「あぁ、一緒に居れるならな」


 マナと明覇の間でも前にレイとトゥーロンがした会話が復唱されるようにもう一度明覇から説明されている。マナは驚いて目を丸くしているのだろう。その反応を見て明覇はカラカラと笑っていた。時折、背中の羽を動かす彼女はマナの少し先を歩き後ろのマナに逐一目を止めている。彼女の腰には大ぶりな剣がさがっていたが抜く気配は見られないことからマナは安全だと判断したようだ。


「それじゃ……レイ君は覇王と冥王の血を受け継いでいるんですか?」

「あぁ。だが、私から言わせてもらえば血などはその時の区別や生まれつきの評価にすぎん。お前はレイ自身のみを見れている。それがお前を私が気に入っている理由だ。私もトゥーロンといられればよいのだが定めはなかなか変えられん」

「…………」

「そろそろだ。儀式を始めよう」

「明覇。久しぶりだな」

「あぁ、お前こそ元気そうで何よりだ。レイの出産以来だからな」

「あぁ、レイ。少し離れよう」

「何故?」

「俺がお前に託したように明覇もマナの嬢ちゃんに託すのさ」


 明覇の手の甲と額が淡く光り紋章が浮き出た。同時にマナの足もとから光が湧きあがり紋章を結合させていく。すぐに彼女の額には明覇と同じような紋章が移り手の甲にも写っている。そこから相手を変え明覇がレイの手に触れるといきなり紋章を移しトゥーロンの方を見ている。


「マナ・ムーンライトとフェンク・レイ・スウォードの婚姻を先の覇王なる我とその妃は認めここに新たなる覇国の礎を築かん! 時と地と世界の理のもと改印を開かん!」

「さぁ、レイ、血判を……マナはいい」

「…………これでいいのか?」

「あぁ、俺達の使命これで終わりさ。また、会う事はないだろう」

「父さん、母さん……ありがとう」


 最後にレイの一言を聞き二人は別の空間に吸い込まれていった。そのすぐ後にいきなり地面が揺れ巨大な魔力の波動が起こり外で何かが起きている。二人は一度エントランスに戻り状況を把握するために外に出た。ギアとシドの二人が本気でかかって何とか抑えるその力はどこから生まれているのか解らない。しかし、空中要塞は何らかの形の変化を伴い大地を吸収してその形を変貌させていくのだ。


「おい、ギア。あれ、何に見える?」

「人にも鬼にも見えますね」

「大丈夫ですか? お二人とも。わたくしと修羅も加勢いたします」

「助かる。だが、あれは?」

「ふむ、俺の予想は……悪鬼と同じだ」

「古代兵器か」

「あぁ」


 マナとレイも確認し外に出ようとしたが不意に明覇の声が頭の中に響いた。


『覇……を……この地に……広めるの……だ』

「広める? どういうことだ?」

「聞こえた?」

「マナもか。とりあえず中へ」

「うん!」


 地面を吸収し巨大な岩と土の塊になり人間のような形を作り出していく。腕や脚がしっかりし遂に全貌が明らかになりつつある。ギルドでは指揮官や大将級のメンバーだけが前線に並びその異質な物体と向きあっていた。作戦などはいらない。それを力押しで倒すことのみしかないのだ。いくらバリアがなくともそれに相当する機動と知能を得たそれにはそうすることしかできないというシドの判断もあるらしい。


「皆、死なない程度にアイツに攻撃を与える。アイツは生物ではないからな……どうせ死にはしない。レイとマナが何かしでかしてくれるのを待つんだ! それしかない」

「そうね、あの子たちに賭けるしかないわね」

「うちらはアイツを抑えるんやな?」

「リーン。俺達、狼牙騎士団は住民の避難を優先させるぞ」

「ならば、我々、アサシンも協力しよう」

「闇蝶もかむわ。アークリーはここで義姉さんの事守ってて」

「俺もお前と行くに決まってんだろ? 姉さんにはフィト義兄さんがいるしな」

「そうそう、闇剛はもっとそいつに甘えな」

「そうよ。私も甘えたいし」

「ぶっちゃけ本調子じゃないのよねぇ」

「文句言わないの。ヴィヴィアだってここの戦士の一人なんだし。お姉ちゃんも頑張るから」


 各々の発言をしていく中で遅れて後続が数名現れて隊列に加わっていく。デルとルナ。他にも数名の実力者たちが現れて来たのだ。


「水が欲しいわね」

「俺が海まで送るぞ?」

「ルナは無理しなくてもいいのに」

「ここの一大事にそんなこと言ってらんないの。お母さんにも顔が立たないしさ」

「お前は……城に居てくれた方がいいのだが」

「夫を守るのも妻の役目です」

「赤額はどうするの?」

「お前に合わせるのみでい」


 そして、遂に動いた。巨大な腕が伸び最初に攻撃を受けたのはシド。しかし、彼は何とも恐ろしい腕力でそれをはねのけ修羅が鬼神のごとく振り上げていた薙ぎ払い槍で叩き斬る。次はギアが久々に魔法を解禁し黒い閃光を掌から放って攻撃するが皮膚や肉ではないため打ち抜いても全く効果を見せない。ルミが急前進し彼女の鉞で脚を切るが腕も脚も新たに土を吸収し再生してしまう。


「切りがない! レイはまだなのか!」

「ぼやかないでよ! フィト!」


 アルとフィトの夫婦攻撃も効果を上げず全く意味のない前線維持が続く。唯一意味があるとすれば足止めできることだがいきなりその古代兵器は腕を伸ばしギルドの本城を狙った。


「しまった! ギア!」

「間に合わない!」

「大丈夫だ! 私も居るんだぞ!」


 ファンがかろうじて結界魔法を発動し敵の攻撃をしのいだが子供を出産したばかりの彼女には辛いことだ。すぐに六弥がそばにより杖を取り上げて他の策を練らせている。そこに立ちあがったのはこれまで全くと言っていいほど表に立たずに隠れていた阿蘇だ。いきなりよくわからない言葉を告げると娘と発覚した芳納を横に置きいきなり地面から木を生えさせ天然の防壁にしていく。


「ここは我々に任せられよ!」

「父上だけには無理はさせません!」


 後続から紅蓮とリーンライムズ、氷鑓が駆け付け何とか戦力は五分五分に保っているがそんな簡単にいくはずもなく次々にダメージを負っていく前線の面々。最前線のシド、ルミ、ギア、修羅、聖刃はもちろん大きくスタミナを削られ集中力も限界に達している。普通の人と戦うのではなく古代のデータも無い兵器と戦っているのだ。そうなるのは解りきっていたことなのである。


「くそう……これは思っていたよりキツい……」

「破壊騎士からそんな愚痴が漏れるとはな。ルミ」

「修羅。口がすぎますよ! 我々も特徴や力は飛びぬけていても一応は人です!」

「それに! やつは知識を付けてるんだ! これ以上知識を付けられる前に小休止でもいいからこちらに休憩が欲しいところ!」


 ゼシがその願いをかなえてくれた。いきなり魔法の出力をかなり上げそれを実行し敵の全体を凍結させた。それには氷鑓も加勢し何とかという状態が否めないがインターバルがついただけましだろう。


「レイ君……ホントにやるの?」

「やるしかないだろ? これしか今の俺達にはわかんないんだしな」

「う、うん。でも……」

「怖いか?」

「うん、少し……ね」


 レイが魔力を注入するといきなり城の内部にその金色の魔力が集まり地下に一直線に飛んでいく。そして、大陸に覇を広めよの意味がつかめた。敵は氷を砕き口と思われるところにエネルギーを集約させ放った瞬間にそれを受けて消し飛んだ。それはレイがマナの結界を一部分だけその城の機能を使い転送したのだ。それが見事に重なり敵の心臓部にあたったというである。


「い、今のは」

「それより……地面が揺れてないですか?」

「えぇ、それは感じているけれど」

「み、みなさん! 海! 海が遠ざかってます!」


 ルナが気づき一同が西の海岸を凝視している最中、シドですら立っていられないような揺れが大地を襲い大陸に異変が起きたのだ。聖霊森林区を四区画に東西南北のラインで分け遺跡を中心にどんどん島が盛り上がって行くのだ。大きく変化し続け治まったころにはその中央大陸自体が変貌し今までの形は見る影もない。どうして各大陸に誰も住めないような荒野があるのかがやっとうなずける結果になりあまりもの事に動じないシドや驚く事の少ないギアが唖然としていた。


「こ、こんなことが……」

「恐ろしい遺産だな。島の形が変わるなんて」

「師匠! シドさぁん!」

「レイ? 今の声はレイだよな?」

「マナもいる! 二人とも聖霊森林区に居たんだ」

「何があったんですか?」

「見てみろ! これはお前の仕業だろ?」

「変化に関しては大丈夫だが。お前」

「はい、これより覇王として生きていくことになりました」

「皆さんにも変化が大きいようで」

「あぁ、いろいろあったもんでね」


 ギルドの本城に帰り一度レイとマナに情報を伝えるために全員が会議室に集まった。他にも他地域に居たため銀狼と赤剛の存在や新たな仲間の加入を知らないメンバーも居たからだ。


「修羅の夫となることになりました。聖刃です。以後、お見知りおきを」

「その妹の月光と日光だ」

「よろしくお願いします。姉の日光です」

「妹の月光です。雷軌様と婚姻を結んでおります」

「私はオーシャ。一応、人魚よ」

「我々、赤剛の代表としてこのビクトールが挨拶させていただきます」

「ここからは悲しい知らせもある。宙慧が死んだ」

「……どうして」

「母は私を助けてくれたんです。そのまま天に召されました」

「嬉しい話題もあるぞ」

「マナ、おいで」

「わ、私ですか?」

「あぁ、一度は抱いてもらはないとな」

「わぁ、可愛い!」

「つい先日生まれたばかりだ。名はクライス。性は私とギアのを半分ずつ与えることにした」


 その後も会議室では話題は絶えず嬉しいことも悲しいことも伝えあいその後皆は居室に帰って行く。今回の騒動もまだそうと決まった訳ではないが終末を迎えレイとマナの行く末が見え始めてきている。これからも彼らは手を取り合って進んでいくのだろう。



  ……TO BE CONTENEWED……

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