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WARS&WARS  作者: OGRE
血で血を洗う……大陸探査
20/29

三種の神器……助け合う聖魔

 大陸サウスウィンドゥ中央の首都圏に進軍した。二つの分団に分けられ全軍が衝突した一団は風崖、雷軌を連立大将にした革命軍本体と志願者のトラップ部隊。敵の大型な機械攻撃隊は風崖と雷軌の緻密な作戦に翻弄され身動きが撮れない。加えてオーシャは敵の攻撃隊の背後から彼女の尽力で集めた人魚の魔法攻撃部隊で敵をひっかき回している。さらに新たな味方が現れ現在作戦を遂行していた。その名も赤額。この大陸の元住民族の一つであるホークマンの頭領の息子でツバメの容姿をしたかなりやり手の戦士だ。


「赤額……大丈夫なのか? 俺も能力で滑空ならできるが……」

「馬鹿やろう! テメェを運べと日光に依頼されてんだ。その依頼の品がゲチグチ言うんじゃねぇってんだ!! べらぼうめい!!」

「解った。その意志の固さには感服するが……高度はさがっているぞ」

「大丈夫だってんだい。ツバメの力をなめんなよ!」

「あぁ、聖刃の話では大聖堂の軍を殲滅しなくてはいけないからな」

「あん? なら、俺っちも加勢しようじゃねぇかい。修羅の姉ちゃん。あそこはべらぼうに警備が固えんだ。あんたひとりでっておい!! 暴れるなってんだ!」

「今すぐ離せ俺が奴らにやられることはない。賢明な判断がしたいなら族長を靡かせ他の空の戦士を集めろ。それがお前の役目だ」


 戦場で見せる凄みの効いた声で一瞬固まりその隙に修羅ひ空に身を投げ恐るべき能力を解放し空気を両足でけり大聖堂前の敵軍にぶつかった。敵の軍は奴隷にしたオウガなどを盾にしようとしたが覇気の恐ろしさとおぞましさに当てられ幾人も倒れていく。赤額は言われた通りに一族の元に帰還し父親と話をする。その頃聖の三大聖と呼ばれた三人は霧の立ちこめる九頭山に入り謎の祠で何かをしていた。


「兄様本当に解印をなさるんですか?」

「えぇ、この中の二頭は修羅に付き従うために生まれたようなもの……それに形だけの大聖堂など壊しても関係ないでしょう……」

「解った……。月光ちゃんいくわよ」

「はい。準備はできました」


 巨大な扉を前に三人がそれぞれの武器を掲げ聖刃が代表して言葉を告ぐ……すると扉が開き邪悪な靄と共に地響きをおこしながら二頭の頭が九つの龍が這い出して来た。


「何用か……我らは貴様等には従わぬぞよ」

「この場から去らねば貴様等をことごとく食い殺してくれる」

「今日、この場に参ったのはそなたらを神と崇めんため……魔王がこの地に舞い降りなさっている」

「気づいておる。じゃが……何故我らの君は居らぬのじゃ」

「今、大聖堂をお攻めになられているのです。九頭牛頭」

「我らが義兄……この聖刃が魔王である修羅様と婚姻なされるの。理解してくださったかしら。九頭馬頭」

「ふむ、よかろう……参ろうではないか」

「牛頭の采配なら従おう」

「ありがたきことにつき……」

「聖王ゃ。貴様が婚儀をとるとはな……貴様にも礼をくれてやる近う寄れ」


 聖刃の腰にさがっている日本刀が輝きおさまると二頭が祠を出て行き二人と聖刃を乗せて飛んでいく。この二頭はプライドが高く馬鹿にされるのを嫌うが一度従うと決めた相手には何が何でも従う心強い味方だ。そして、雄の牛頭と雌の馬頭は夫婦であり古の時代に封印されていたらしい。それを今、解き放ち戦おうというのだ。


「ふん、口ほどにもなかったな皆の衆よ!!」

「魔王様万歳!! 聖刃大神官様万歳!!」


 修羅は力を借りることなく敵の軍を殲滅し大聖堂を選挙した。そこで捕まっていた聖職者達を解放し軍への参加ではなく命を救わせるために医者の勤めを命じ彼女は数人のオウガを連れてさらに奥に走る。その頃のユートピアでは東の軍隊が全滅、捕縛され帝が捕まえられた。かわいそうなことに年齢はデルより年下の13歳、フィトとアルが処刑や追放は避けるべきと判断し発言するが紅蓮の激しい反感がまさに火を噴いた。


「こんなに若いのに皇帝なんて……五年前のあたしと同じじゃない」

「なぁ、ギアさん。処刑や追放はやめさせられないのか?」

「……」

「なるものか!! 前の帝は何故殺されたか解っておろう……なぜ、公家衆があの方を……」


 その時、珍しく氷鑓が口を開きギアに提案した。その提案で紅蓮は満足しなかったが帝である芳納はまだ13歳で女の子だ。その点から考慮したらしい。


「ギア殿……俺が責任を持って世話をします」

「氷鑓! お前!」

「芳納はまだ13歳……そして、前帝の姪……忘れ形見といえるでしょう。言い方は悪いが俺が監視も勤めます」

「よし。……なら紅蓮、お前もそろそろ身を固めろ」

「はぁ!? 何を今……」

「お前が氷鑓の嫁になれ……監視が一人では不安だしな」

「異議なき者……紅蓮以外は挙手」

「お……おぃ、岩鉱。お前まで何を……」

「知ってますよ……姉さん。つんけんして実は……」

「ダァァァァ!!!!」


 こうして北の紛争以外は片付き半分の部隊が城に帰還していく。残りのギア、岩鉱隊はタージェ率いる攻撃軍に参加するのだ。それ以外は先程告げたように帰還していく。


「ほぉ……今代の魔王は……激烈な方だな」

「えぇ、まさか皆殺しにして奴隷を解放するところまでこなすとは……」

「兄様急ぎましょう!」

「早くいきませんとあの方には追いつけなくなります。それに本隊が心配です」

「大丈夫だ……雷軌と風崖なら敵を押し返したぞ? 俺も今し方近隣の基地をつぶし終えたところだ……聖刃」

「き、綺麗……あんな人初めて」

「美しさに威風堂々たる挙動……そして、豪快さ……あなたが」

「いかにも俺が魔王修羅だ。ところで後ろの巨龍は何だ?」

「申し遅れた……我は牛頭」

「我は馬頭……あなた様に付き従う魔龍にございます」

「なら、ついてまいれ……敵を殲滅する」「御意のままに」


 だが、今回は余裕をみた修羅に災難が降りかかった。敵はわざと後退し敵の大将である修羅か聖刃を狙ったのだ。修羅と二頭の九頭龍が空を飛び敵の砲撃を受け馬頭が撃墜されたのだ。修羅も重傷とまではいかないが回復速度が追いつかない程の巨大砲台の乱射を仕掛けられ落ちる馬頭と共に落ちていく。そこに近くで待機していた牛頭が現れ今度は牛頭が標的にされた。巨大な砲台は龍の鱗を突き破れないにしろ何らかのダメージを与えているのだ。牛頭も激しい痛みに苛まれながらも背中の聖刃を守っている。


「牛頭……ここまででいいです。ここからはわたくしが相手をします。まだ修羅は落ちていませんか?」

「何をするきだ?」

「助けます」

「翼のない貴方ではむ……り……」


 聖刃が本来の彼の姿を見せたのはその時だった。背中から光の羽が開き天の群雲の剣は光形が変化していく。


「我は大天使ミカエルの意志を継ぎし者。その愛する人を護らんとするために剣を解放し再び翼を得ることを許したまえ……」

 聖刃が飛び立ち一瞬で修羅を抱きかかえ地面に落ちるのをさけたようだ。馬頭は外傷は少なく力を振り絞り敵の主砲代の下にある攻撃用側面砲をいくつか撃破した。そこに異変に気づいた風崖と雷軌が駆けつけ魔法を使い移動してきた日光と月光の姿もある牛頭は馬頭を守るように着地し睨みを効かせているためたたかうことはできないだろう。これから彼らには長い長い戦闘がまっている。オーシャは陸の部隊に攻撃を受けないように海に逃げ込み無事だった。


「す、すまない……聖刃……」

「喋らないでください。傷が開きますよ」

「これくらいの傷なら問題ない……行くぞ敵は十重二十重に来る」

「皆様……来ます」

「月光ちゃん……そんな不吉なことを。まぁこの状況ならおかしくないか。ハハハ」

「風崖殿……久々に君主のために暴れて見るか?」

「勿論……生きて帰らねば悲しむ者も居ますので」

「月光は後方……いや、中央からの広域守備を頼む」

「はい。旦那様」

「……」

「雷軌……のろけるな」

「皆さん生きましょう!」

「おぅ、俺っちも混ぜな。あの馬鹿親父とは縁を切ってきた。残りは近くに行軍してきてる連中んとこに行かせたんでな気兼ねなく行けるぜ」

「よし、みんな。行くぞ!!」


 先ずは修羅が能力を解放し敵を殴り飛ばしながら猛進する。その近くには必ず聖刃が剣を構えて走り回るのが見える。かなりの敵兵がそれでやられていきついに修羅が大槍をつかみさらに撃破の勢いを増していく。破壊力抜群のその武器で次々に敵を撃破し敵を寄せ付けないのだ。敵は生き残った砲台や戦車大隊を駆使し攻撃してくるが月光と雷軌に阻まれて攻撃は稀に彼女に届く程度……。


「修羅様には弾を当てさせん!! 勿論、我が妻にもな!!」

「夫の主人は私の主人……修羅様御守りします!」


 雷軌の雷撃砲は用途に応じて形態を変更できる今は威力を集中させる収束砲型だ。月光は水の龍を作り出し敵の撃つ弾を一度吸収し敵の方向へ放出していた。この二人のおかげでかなり激しい砲撃の役半数は敵の被害に荷担しているだろう。雷撃砲での広域守備により弾道が定まらず敵はイライラしているのだ。


「ハァァァ!! 白虎連迅!!」


 風崖は風の魔法を駆使し恐るべき速度と力で人攫いたちのように次々に体を半分に引き裂いていく。もはや回避不可能と踏んだ敵は逆に仕掛けてくるがあまり効果を上げない。そこに海水が大量に流れ込み波を起こして敵を飲み込んでいく。風崖は空中にとびあがり回避したが敵の砲台は火薬が塗れてしまい大半が使用不可能になった。異の元凶はオーシャだ。


「お待たせ!!」


 その波の後に背中に日光を乗せた赤額が上空に現れ射撃や砲撃を交わしつつ背中の日光が勾玉の力を使い重火器ではできない芸当をしている。火の玉を作り出し空から降らせて居るのだ。しかも相当な数を……たまに赤額が急降下し爪に漬けているクローを使って敵兵の命を確実に奪っていく。初日でかなり弱って来ては居るが敵軍も他の大型基地から援軍を要請し駆けつけてきているためなかなかけりがつかないのだ。夜は双方が攻撃を停止させているため問題ないが昼はここでたくさんの人間が死ぬのだ。気味が悪くて寝ることもできない。それに修羅や風崖、赤額が刃物を研ぐ音が響き敵兵の中にも気味悪がる連中がいるのだ。ある意味で効果をあげている。


「馬頭は大丈夫なのか? 聖刃」

「命に別状はないですが強力な魔力封じ合金の玉をもらっているので回復には時間がかかるでしょう」

「そうか……どうりで俺の防御魔法が効かないわけだ。うっ……」

「あなたも……体に相当なダメージがでているはずです。無理についてはこの力をもって鎮めます」


 少し離れたところでは月光と雷軌がいる。わりに小柄な彼女は雷軌に抱かれて寝てしまったらしい。まだ16歳の彼女らにこの死線は厳しいだろう。しかし、切り抜けなければ生き残れない戦いだ。全力で抜けていかなくてはならない……。


「このような幼い者が……戦場に出ぬようにならぬ世がくると望ましいのだが……。今は無理だな」


 鎌を研ぐ風崖はふと月を見ていた。鎌を鞘に収めて立ち上がり背伸びをしながらオーシャに話しかけた。


「起きてるか?」

「何?」

「左手……切られてるだろ」

「……気づいてたの?」

「あぁ、本当は寝ている間に手当てしようと思ったんだがなかなか寝てくれないからな今手当てしておく」

「こんなの平気だよ」

「化膿はさせてはいけない。汝、我が風の力とこの者司りし水の力を借りて血の代償をせんと快せよ……」

「風崖って何でもできるんだね」

「オウガとカイザーに与えられた特権にして命の産物さ」

「知ってる……八界一里の区別の以前に創られたあたし達の祖先の話」

「あぁ、終わらせよう……こんな馬鹿げた争いは」

「うん」


 その近くで爆睡するのが赤額と日光だ。赤額はもの凄いいびきをたてながら寝ている。日光はそれにも関わらずすやすやと気持ちよさそうに丸まっていた。先程の二人は呆れ果てていたが彼らも眠りについたようだ。


「敵も策を固めて来ましたね」

「当たり前だ。俺が敵軍ならこれより良い陣を考えるがな。だが、敵も二つの点においてはよう考えたのう」

「あ、姉上様?」

「修羅でいい。何だ?」

「こちらの策は?」

「知りたいか? それはそれはおぞましいぞ?」


 日光が少しおどおどしたが修羅は彼女らしく笑っていた。そして、敵軍の落ち度とこちらの利点を説明しだした。まずは日光と月光の合わせ技から始まり修羅や聖刃の単独攻撃の方まで全て加えて行くのだ。


「まずは三人一班に分けて左右に攻撃をしかけてもらう。隊長はそれぞれ雷軌と風崖だ」

「……」

「御意」

「うぬ。まず雷軌の分隊には日光と赤額が入り中距離からの広範囲射撃と魔法攻撃を頼む。赤額は状況に応じ回避をしろ」

「はい、修羅姉様」

「おうよ。将軍殿」

「次に残りの二人は協力して防御と攻撃を頼む。片方の攻撃時は片側は防御をせよ。先より決めてもよいがな」

「はい、修羅さん」

「御意のままに……御姉様」

「……修羅でよいと言うとるに。聖刃は俺が本気を出す。手助けを頼みたい」

「!! もとよりそのつもりですよ。我が妻よ」

「……まだ、違うであろう。馬鹿者」


 二面性の強い修羅をよそに二分割された隊が次々に動き出す。その頃、街や森林に潜んでいたこちらに味方する一般市民も動き出した。義務である軍の給仕を利用し要塞の付近だが敵の作る円陣の外郭にいる革命軍に情報を逐一報告していたのだ。さらに修羅が解放したオウガの元奴隷達が軍に加わり力を増している。


「ねぇ、月光ちゃん……どっちがいい?」

「旦那様は私が守ります」

「それじゃぁ、あたしは攻撃だね。風崖!」

「二人ともしっかり……耳は持たないでくれ。捕まっていろ!」

「行くわよ! ウォーターガン!」

「古の二頭を持つ水龍よ……右舷は我が夫を守り、左舷は敵を討て。聖獣召還!」


 風崖が背中に乗せ彼自身も上の二人に気遣いながら攻防を続ける。オーシャは指を銃の引き金を引くように構え人差し指の先から直径50センチ程の円柱を放つ。痛いなどというレベルではなくそれはいとも簡単に骨を砕いて行くのだ。もちろん月光も手を抜かない。二つの頭を持つ水でできた龍は砲撃では崩れず次々に敵の前衛隊を食い破る。その内の片方の首は水の壁を作り敵の球を雷軌や日光に届かせない。


「雷軌様! 私達も負けてられませんね!」

「無論だ! 我が雷光の力を見よ! 収束雷轟閃!」

「我が火の力よ。古の炎龍を解き放ち我が敵を討て! 聖獣召還!」

「魔法はできねぇがなぁ! 俺っちにもできることはあんだよ! べらぼうめい! 三鍵爪乱舞!」


 いつもは冷静沈着で静かな雷軌ですら怒声を発し敵の突撃隊を一個隊ごと吹き飛ばす。彼もこういう一面があるのだ。日光は妹の月光の使う能力と対的な能力を使い彼女の性格と職に合わないかなり残忍な殺し方で敵の大隊を次々に焼いていった。赤額は武器を使わず鳥の鍵爪にかなり重装備な金属製の飛び出た爪の刃が光るブーツを使った蹴り技で確実に敵の指揮官級のメンバーを倒していく。


「死にたいやつは俺の前に出よ! 瞬きをする間もなく消してくれる!」

「我が妻には刃を通させはしない。さぁ、道を開けなさい!」


 修羅と聖刃は敵の元帥級の男たちを狙い強固な防壁、建物の壁、敵兵、あらゆるものを無視し破壊してそこに向かう。外でも数で圧す敵軍はだんだんと追い詰められていた。外郭の革命軍に脇腹を突かれたのだ。ただでさえかなりの被害が出ているところにさらに訓練を受けていないとは言え志気が高く数は同等の敵に追い討ちをかけられたのだからたまったものではない。しかも、近くに隠れていた人魚の魔導師部隊が時期を見て加勢し始めたのも敵軍からすれば痛い。打撃は追い討ちをかけ続け、最終指揮統括をしていた丸々太った元帥らしき男が要塞の熱い石壁を貫いて敵陣の中心に落下してきたのだ。


「下種が……命を何だと思っておるのだ。そのような者に上に立つ資格はない」

「一字一句……相違有りません」


 味方の陣から大歓声があがり敵軍の抵抗は殆ど止まった。血気盛んな者が暴れたりもするがそれも全て修羅に睨まれ泡を吹いて倒れたらしい。それから数日後のこと。聖刃を筆頭に今回革命軍に参加した中でギルドに参加したい者が旅支度を進める。軍部はその後発足された政党政権に抑えられ解散し各地にあった人攫いのアジトやオークション会場は修羅と聖刃が直筆した法書にのっとり住民からの摘発で殆どつぶされた。


「姉様……義兄様がお呼びです」

「そうか、その姉様はなんとかならないのか?」

「はい。これからもよろしくお願いします」


 修羅も戦場から離れれば穏やかな笑顔を見せることくらいある。月光の頭を軽く撫でてから聖刃と話す。


「どうした?」

「いえ、あのような人数を連れていっても良いのかと……」

「問題無い、覇王宮の付近は土地も肥え住処となる場所も多い。それより……本当に……こ、婚儀の……ことは……」

「えぇ、私を信じてください。あなたに寂しい思いはさせません」

「………………修羅様。ご報告します」

「風崖…………何だ?」

「大陸ユートピア北西に突如として巨大な浮遊島が出現しました」

「わかった……急ぎオーシャと赤額を呼んでくれ。聖刃は妹二人を集めた後、今回ギルドに向かうことになった皆を集めておいてくれ」

「わかりました」


 ユートピア本土でも大騒ぎになっていた。北の軍を攻めるタージェと他の皆が一度海側にある攻防戦の前戦地から引きこちらも思案しているさなかだったのだ。北の軍はゼシの使った能力を科学の力で解凍し軍艦をだんだんと近寄る島に向けて配置し終えたところである。相手の実力が未知数な上に目的は攻撃と決まった訳ではない。


「シェイド……どう思う?」

「今はわかりませんが異質な空気から推測すれば……」

「どう考えても攻撃が目的じゃないのぉ?」

「そうとも決めきれんがこちらも迂闊には動けん……本城のメンバーを考えれば尚更だな。シド……決断はどうする?」

「すみません……話の腰を折りますが。あの中にどうもルナが居るようなんです」

「何!? どういう……」

「私にも解りませんがひとりの魔力であの城を浮かべることができるのはルナしかぃませんし……」


 話が纏まらぬままに北の軍艦隊が砲撃を開始した。巨大な島に砲撃するがまるで意味をなさない。修羅率いる帰国組も粗方のメンバーが決まり修羅の敷いたプランを用いて早急に帰国を目指す。


「ますは、赤額とオーシャの二人にギルドの本城まで書状を届けてもらいたい。赤額の方が届けばいいが……念押しにオーシャを送る」

「まぁ、あんたの言うことなら確かだな。危険なんだろ?」

「そうだな。頼んだぞ二人とも」

「うん。わかった」


 残りの幹部クラスとだいたいのメンバーを落ち着いてからの航海するようにさせ緊急組は修羅、聖刃、風崖、雷軌、日光、月光だ。この六人は中型の戦艦を使い本土に帰還するらしい。旅支度をさらに急ぎ戦艦に荷物を積み込んでメンバーが乗り込み修羅が恐ろしいことを口走った……。本城でもレイやマナはいち早く異変に気づき将軍級の戦闘員を集めた。メンバーはレイとマナを始めアル、フィト、紅蓮、氷鑓、リーン、ライムズ、ビクトール、桜牙など。加えてファンなどの戦えないが知識の深いメンバーも集まっている。


「あれは何なんや?」

「異質な空気を感じ取れたな」

『あれは嫌な空気や……身の毛もよだつ』

「私の感だが……あれは古代兵器の一部ではないかと思う。レイ、お前はどうだ?」

「同じ意見です。しかし、エネルギーの供給源……そして、この魔力の波長は……」

「ルナちゃん……大丈夫かな」

「そうなると迂闊にては出せんな。覇王殿はどうなさる」

「覇気の動き出したかたから修羅がこちらに動いています。それに……俺たちも古の力で護らなくてはあの力には対抗出来ないでしょう」

「ついに、お前が本当に覇王となる時がくるのか?」


 ファンが意味深なことをいうと周りの視線が全てレイに注がれた。レイが解散の合図をしマナと自室に帰る。マナも分厚いガードパッドが入った魔導師のコートを纏いレイも久しぶりに鎧を着けて全ての剣を装備した。


「怖い?」

「う、うん。ちょっとね」

「大丈夫。離れないから」

「あ、ありがとう。キャッ…………」

「また、危険な目にあわせてしまうけど……」

「みんなを守るには仕方ないよ。でも、背負い込んじゃダメだよ? 私もあなたを助けたいから……」


 大きな要素が重なり次々に戦を呼ぶ。戦は戦を呼び無限の繰り返しは今もまた繰り返されようとしていたWAR&WARは果てしなく続いて行くのだ。彼らはどこまで行くのだろう。



 ……TO BE CONTENEWED……

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