均す
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
お前、本当に長編苦手なんだな。
とお思いのそこの読者様。
その通り。
脆く、壊れ易く、繊細な生き物が好きだ。その弱さを隠す様に強がる生き物が好きだ。そんな様を見せられると、丁重に扱いたくも、粉々に砕きたくもなる。だから私に相応しい。どっちつかずで、何方にも転びうる私には。
考えが纏まらず、数日間ずっと考え続けている彼に向かって私は静かに声を掛ける。
「脆い人っていうのは、存外丁重に扱うよりも、一度壊した方が楽になると思うんだ」
彼は俗に言う繊細な人だった。些細な言葉にも過敏に反応し、奥の奥、裏の裏まで掻い潜って一つの答えを弾き出す。だからよく考え込んだ。考えなくても良いものまで考え込んだ。
その様が愛おしい。非常に愛おしい。大切に、傷が付かないように指先で撫でて、優しい言葉を掛けたくなる。『大丈夫。何も悩まなくても上手くいく』と。
けれどもそれと同じくらい、壊してしまいたくもなる。槌を振り上げて、脆く割れやすい硝子の様な心を粉々に粉砕したくもなる。『そんなに悩むのなら、悩む心ごと壊してあげる』と。
元より繊細な人というのは丁重に扱うだけでは駄目なのだ。些細な事から裏を勘ぐり、微動から激震へと変化させてしまうのだから。
だからもう完全に救うには完膚なきまでに叩きのめすしかない。そしてその役目は私以外では駄目だ。そんな気持ちの良い事、他の誰にも譲らない。
「『死は救い』と言いたいの?」
「貴方がそう思うのならば、きっとそう」
彼は陰鬱そうに笑った。上がらない口角を無理矢理上げて、歪な笑みを作り出す。其れがひび割れた硝子の様で、ますます惹き付けられる。
「君は一体何なのだろう。私を救いたいのか、壊したいのか。考えていることが分からない」
「何方でもあるし、何方でもない」
何方に転んでも同じ意味なのだから、考える事自体が愚問なの。救うも、殺すも、何方にせよやる事は変わらないのだから。
彼は私の顔を覗き込む。其れからゆっくりと上体を私に預けて来た。しっとりと感じる男の体の重さ。私の薄柔い肌に沈み込み、僅かに形を変えた。
「好きにしたら良いよ。自分の死に様はもう何度も想像して来たから。眠る様に、体全体の力が抜けて、鼓動が弱まっていく。そうして気を失うんだ。丁度、今のように」
そうして彼は眠りに着いた。長い長い、覚めることの無い夢を。
恋愛の長編は着々と更新中です。
今は第二の転まで作成中です。彼女が自分からハグしたシーン。
以下何でも許せる方向け。
個人の意見飛び交います。私の発言が許せる方のみ宜しくお願いします。
タイトルは『均す』です。
良きも悪いも全て均等に均一にする。
出っ張ったところを全て消す。
という意味合い。
脆く、繊細な人は丁重に。とは皆様よく仰る事。
けれども繊細な人って、些細な事でも傷付いてしまうんですよ。
だったら再起不能になるまで壊した方が、救いになるのでは?と思うこともないんです。
何も感じない。何も思わない。それこそが一種の救いではないかと。
最近、些細なことでも誰かを攻撃する人々が増えてきたなぁと。
ほっとけば良い事に気を揉んで、『嫌い』やら『気持ち悪い』やらの言葉を放流して。
そういう人には救いじゃなくて、破壊が良いのかと最近思うんです。
完膚なきまでに壊れれば、そんな苦しいこと思わなくて済むのかな。
そう言えば犯罪者って前科や傷を武勇伝として語るそうですね。
繊細な人々もそうなのか。傷こそが武勇伝なのか。傷こそが誇りなのか。
全て均せば平和になるのかな。