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通学電車  作者: 茶樺ん
5/13

2年の春

「立花くん」

「佐倉」

「レイナと近藤くんの話、聞いた?」

「今度、デートするんだってな」

「デートっていうか、付き合うって聞いたけど?」

「え?付き合う?」

「うん。デートは何度かしてるんでしょ?」

「え?いつの間に・・・近藤にそんな暇はなかったはずだけど」

「部活?」

「ああ。この春休みもあいつも休まず出てるし、なんだかんだで休養日にも顔を合わせてたから、どこかに出かけるような時間は取れなかったはずだけど、まさか・・・」

「まさか?」

「深夜に会っていたとか?」

「レイナの家は厳しい(ほう)だから、夜はないんじゃない?」

「佐倉、アリバイに使われてたりしない?」

「ナイナイ。それにカフェや図書館でデートって言ってたから、遅くても夕方じゃないの?」

「カフェや図書館でなにするんだ?」

「おしゃべりや勉強じゃない?それとショッピングにも行ったって言ってたな」

「それって、デートなのか?」

「デートでしょ?なんで?」

「いや、俺のイメージするデートとは違うから」

「そう?」

「だって、図書館での勉強なんて、俺たちもやったじゃないか?」

「まあ試験前に、4人でやったね」

「公園によって四阿(あずまや)で話したり」

「好きな作品の話になると、つい語っちゃうよね」

「帰りにコロッケ買食いしたり」

「駄菓子屋寄ったり」

「本屋で買い物もしたり」

「うーん、参考書を選ぶのをショッピングとは言わないんじゃない?それでいうと駄菓子やコロッケもかな?」

「でも、あいつら二人だって同じだろう?それに制服なんじゃないか?」

「部活帰りなら制服だろうけど、でも、制服デートってやつじゃない?」

「なにそれ?」

「いやぁ、そのままよ?制服でデートするっていう」

「そのままなのはわかるけど、そもそも制服でデートって成り立つのかってことが訊きたい」

「え?成り立つでしょ?成り立つんじゃない?」

「部活帰りの汗臭い格好で?」

「あー、運動部はそうか」

「髪もバサバサだし」

「だね」

「それでいきなり付き合うなんて、田中のお父さんが許しても、俺が許さん!」

「なに言ってるの」

「顧問にチクってやる」

「ホント何言ってんの?なんでそうなるの?」

「うちの顧問は独身で彼女もいない」

「うん?それで?朝も夕も休日も部活の指導してたら、恋愛は難しいかもしれないね」

「部活が恋人」

「ひどいなぁ。そう言う立花くんはどうなのよ?」

「ご存知のとおりだが、そう言う佐倉は?」

「・・・生徒会もあるとはいえ、私も同類だけど」

「そこで顧問に進言して、近藤をレギュラーにしてもらう」

「え?なんで?」

「レギュラーになると遠征が多くなるから」

「レイナと会えなくなるって?うわぁ、ひどいわー。わたし同類じゃないわー」

「うまく行ったら、せいぜい田中を慰めてやってくれ」

「うまくじゃないわよ、何言ってるのよ。自分はどうなの?」

「何が?彼女なんて出来ないぞ」

「違うわよ、レギュラーよ」

「そっちは鋭意努力中だが、道は険しく遠く」

「そうなの?」

「新人にもいいのがいるからな」

「まだ春休みだけど、もう入ってきてるのね」

「多少ね」

「立花くんも卒業前から参加してたものね。期待できる子?」

「ああ、凄いのもいるよ。才能がある上に好きでやってて努力も惜しまない。なんでウチの高校なんかに来るんだ?」

「迷惑だ?」

「いやいや、彼の将来のためにだね、もっと上を目指した方がだね」

「俺のほうが好きだ、とかは?」

「うーん、負けてるとは思わないけど、同じくらい?先輩達もそうだけど、みんな好きでやってるからな」

「そうか」

「そうだとすると、田中がイチャイチャしてくれれば、近藤が脱落するかも」

「ほんと、ひどいね、立花くん。何か有ったの?」

「ひどくないだろう?近藤が部活より大切なものに気付いて田中と幸せになれば、佐倉も田中を慰める必要がなく、俺はライバルが一人減るんだから、みんなハッピーじゃないか?」

「二人が愛情を育んだら、立花くんはその熱で干からびるんじゃない?」

「え?そうならないように、俺に二人を邪魔しろってこと?」

「違うわよ。なに言ってるのよ」

「佐倉こそ何が言いたいんだよ?みんなで幸せになろうぜ?」

「それならまず、二人を妬むのをやめないとね。ひとを妬む様な人は幸せになれそうにないし」

「妬みや嫉みをエネルギーに、向上心を燃やすってのは?」

「妬みとかがキレイに燃え尽きればいいね?」

「その笑顔、ムカつくからやめて」

グループ交際に巻き込んでおいて、田中と近藤は離脱

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