表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
通学電車  作者: 茶樺ん
4/13

1年の冬

「立花くん」

「佐倉」

「明けましておめでとう」

「おめでとう。今年もよろしく」

「こちらこそ。もう七草も過ぎたけどね」

「新学期始まってるしな」

「冬休み、どうだった?」

「部活以外、特には」

「初詣とかは?」

「元日が休養日だったから、2年詣りした」

「夜中?」

「まあ、2年詣りだから」

「寒くなかった?」

「そりゃ寒いよ。明け方ほどじゃないけど寒い。でも毎年2年詣りに行ってるから、行かないと落ち着かないと思う」

「あー、そういう事ってあるよね」

「佐倉は?」

「普通に初詣に行ったよ。午後、暖かくなってから」

「どこの神社?」

「あ、地元じゃないの。旅行先で」

「え?元日に旅行してたの?」

「うん」

「ハワイ?」

「国内だよ。ハワイじゃないよ。ハワイに神社ってあるの?」

「いや、どうだろう。日系の人も多いって言うから、あるかも」

「そうか、そうだね」

「温泉でノンビリ?」

「温泉はあるけど、親戚と一緒だから、そんなにのんびりはできないのよ」

「そうなの?」

「本家の主催で、大晦日から2泊で」

「佐倉家の本家、太っ腹だな」

「宿泊費は各家(かくいえ)持ちだよ。それで、大晦日の夜から元日の昼まで宴会」

「えぇ?それ、宿の人とか、大丈夫なの?」

「親戚の旅館を毎年貸し切りで、従業員の人達も一緒に参加してるし」

「貸し切りとか、できるんだ」

「料理とかも足りなかったら自分達で作って食べたりもするのよ」

「佐倉も作るの?」

「私はお餅を焼くくらいかな」

「なんだ」

「男性陣が結構やるからね」

「酒飲みながら?」

「そう。女性陣のほうが飲むだけの人、多いわ」

「にぎやかそうだな」

「結構ね。かなりね。それで、お昼食べたら初詣に行くの」

「お詣りになるのか?フラフラだろう?」

「それほどでもないわ。宴会は夜通しだけど参加は交代々々で、徹夜で飲んでる人はいないし。何年かに1度は、お賽銭に万札を入れちゃう人が出るけどね。その時のお願いなら神様に優先してもらえてるかも」

「絶対まともなお願いできてないと思うぞ」

「はは、そうかもね。万札のことを忘れてたりするし、おみくじも山ほど買ってたり、あ、そうだ、聞いた?レイナと近藤くんのこと」

「初詣のこと?偶然、会ったらしいな」

「一緒におみくじ引いて、ふたりとも大吉だったらしいじゃない?」

「へえ、そう?」

「運命的な何かだったりして」

「それって、田中はそんな雰囲気なのか?」

「うーん、どうだろう?近藤くんのマフラーが変だったとしか聞いてないから、全然かもね。近藤くんは?」

「田中が着物姿でびっくりしたって。一緒に写真撮ったって自慢してた」

「え?そうだったの?」

「田中、美人だな」

「その写真みたい!見せて!」

「いや、俺は持ってないよ。田中に見せてもらえ」

「学校着くまで待てない!近藤くんに送ってもらって!」

「新年早々、人を頼るな。自力で田中に送ってもらえ」

いまだに立花は田中に会えていないという

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ