表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
通学電車  作者: 茶樺ん
3/13

1年の秋

「立花くん」

「佐倉」

「この間は文化祭来てくれて、ありがとね」

「こっちも、呼んでくれてありがとな」

「一高祭行くから、よろしくね。立花くんからもらった入場券で、レイナを誘うから」

「田中だっけ?」

「そう、田中レイナ」

「美人なんだよな?」

「美人だよー。あれ?ウチの文化祭で会わなかった?」

「と思う。田中はなんか言ってた?俺に会ったとかって」

「聞いてないけど、あれ?会ったかどうかわからないの?なんで?」

「顔、覚えてないし」

「えー?卒業アルバムとかで、確認してないの?来週までに確認しておいてよ?はじめましてなんてレイナに言ったらダメだからね?」

「佐倉と一緒に来るなら判るだろう?」

「従姉妹も一緒に行く予定だから」

「解った。確認しとく。卒アル、どこやったかな?」

「捨ててないでしょうね?まったく。もう少し前に判っていれば、貸すこともできたけど」

「あ、近藤に借りるわ」

「そうね。まあ、従姉妹はみんな、私に似てるらしいから、レイナとは区別つくと思うけど」

「へえ」

「上の従姉とは姉妹ってよく聞かれるし、下の従妹とは双子ってよく言われたわ」

「ふーん。イトコの分の入場券とかは?」

「上の従姉は生徒会経由で入手してたし、下の従妹はなんと!彼氏のお兄さんが一高生なんですって!」

「彼氏って、そのイトコ、いくつよ?」

「中2!」

「はあ・・・羨ましい」

「ほんとよね」

「・・・佐倉と双子みたいにそっくりなんだよな」

「下の従妹?そうだけど、何が言いたいの?」

「何がって・・・今のその表情を見ると、佐倉は俺の心が読めてるはず」

「そういう事は、自分が彼女作ってから言ってよね」

「言ってないし。彼女、作らないだけだし」

「へぇ、そうですか」

「でもホント、部活や勉強で、遊ぶ時間はほとんどない」

「そうかもね」

「佐倉も生徒会までやってたら、彼氏作ってる暇ないんじゃないか?」

「いいこと言うわね、立花くん。そうね。上の従姉も生徒会のせいで彼氏いないし、私も仕方ないわね」

「生徒会のせいって・・・まあ、できるやつはそんなの関係ないんだろうけどな」

「なによ?どっちの味方なのよ?」

「味方もなにも・・・敵じゃないし同類だけど、助けることはできないからなぁ」

「・・・味方とは言えないか」

「うん」

「しょうがない、同類を増やすしかない。レイナを生徒会に引き込もうかな?」

「迷惑な。巻き込むなよ」

「女子校を選んだ時点で、諦めているはずよ」

「俺は男子校だけど、諦めてないからな」

「さっき作らないって言ったじゃない?」

「まだ作らないだけで、俺だってその気になれば」

「今まではその気になってなかっただけ?」

「その通り」

「今から本気出すってやつ?」

「いや、まあ」

「いつから出すのよ?」

「・・・佐倉」

「なに?」

「その言葉、ブーメランだろう?」

「うっ!」

「そうやって、自分を責めちゃダメだ」

「なあにそれ?傷をなめ合う展開?」

「下の従妹にも当たるなよ?」

「・・・私の心が読めてるんだったね」

「同類だからな」

「確かに、お互い、助けにはならないわね」

双子の片方に恋人がいたら、もう一方にもいるイメージ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ