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通学電車  作者: 茶樺ん
11/13

3年の秋

「立花くん」

「佐倉」

「怪我したんだって?大丈夫?」

「ああ。手首の捻挫だけど、こうして固定してればペンは持てるから、大丈夫」

「まあ、受験生としてはそれで良いかもしれないけど、痛かったでしょ?大丈夫か聞いといてなんだけど」

「まあ、痛かったけど、大丈夫だよ」

「体育祭?」

「ああ」

「一高は秋にやるんだね」

「伝統だからって、なかなか変えられないらしいよ。一女は春だっけ?」

「うん。けが人が続出するから、それこそ受験のことを考えると秋だと難しいかな」

「けが人?続出?」

「うん」

「女子校なのに?」

「女子校だから?」

「女子校だから?」

「そうらしいよ。女子って怖いからねぇ」

「女子が怖いって、そう言う意味じゃないんじゃない?」

「そう言う意味でも怖いと思うよ?」

「前に一女に勤めてたことがあるっていう先生が、今は一高より一女の方がバンカラだって言ってたけど、そういうところがかな?」

「バンカラってどういう意味だっけ?」

「いや、俺もよく知らないんだけど」

野蛮(やばん)(やから)、とか?」

「いやぁ、そんな否定的な感じじゃなかった気がする。確かに一女を褒めてはいなかったけど、一高生も頑張れ、みたいな?」

「あっ、大学の応援団みたいな?」

「あっ、そうだ、そうそう。下駄はいてマントを着けて旗振るような感じだよな?」

「なるほど!なるほど?男っぽいってことかな?」

「そうかな?そうかもな」

「確かに、男子顔負けなイケメンとかもいるけど」

「そうなの?」

「うん。バレンタインデーとかチョコいっぱいもらってるよ。後輩だけじゃなく、先輩や卒業生からももらうって」

「なんで俺の所にチョコが回ってこないのかと思ってたら、そんな所に集まってたんだな」

「学校でチョコもらわないの?」

「男子校だぞ?」

「友チョコとかは?」

「やめて!聞きたくない!」

「どうしたの?」

(じつ)は一高内でもチョコが動いているっていう噂はある」

「ホント?」

「目を輝かすな」

「友チョコならいいじゃん」

「友チョコを装ったナニカだったらどうする気だ?」

「立花くん、貰えそうだよね?」

「実は校内の変なランキングの上位に名が上がったことがある」

「え?それで?それで?変なって何?」

「知らん。目を輝かすなって。だから佐倉にチョコをもらったのは、非常に助かった」

「レイナもだけどね」

「田中は近藤の彼女って知られているからな。俺がもらえても義理チョコなのはバレてるよ。だけど佐倉のは違う」

「友チョコだよ?」

「わかってるよ。でも友チョコって書いてないだろう?」

「そりゃまあ。義理って書いてあるのは売ってたけどね」

「いや、書いてあるのが欲しいわけじゃないぞ?書いてないグレーなチョコだから、想像にまかせるって周りに言えるんだし」

「そんなことを言ってるの?」

「いいだろう?佐倉に彼氏が出来たら、ちゃんと真実を明かすから」

「しょうがないなあ。ところで、ちょっとお高めのカフェにスイーツの新作が出たんだ」

「いきなりなんだよ?」

「いやぁ、話変わるけど」

「何?」

「ちょっとお高めのカフェにスイーツの新作が出たんだ」

「変わってないじゃないか?奢れってことだろう?」

「来年のバレンタインにもチョコ上げるから」

「それは助かるし、是非お願いしたいが、この手が治ってからでもいいか?」

「あ、そうか。でもペンが持てるなら、フォークも持てるんじゃない?」

「持てるけど、手首が()らないからケーキが崩れる。この手で食べるのって結構難しいんだ」

「じゃあ、食べさせてあげようか?」

「いいね。あーんってか?ははは・・・おい!赤くなるなよ!」

「立花くんだって、赤いじゃない!」

「佐倉が赤くなるからだ!あーもう!近藤が怪我すれば良かったんだ」

「えー、ヒドイ。怪我しろ、は流石にないんじゃない?レイナのあ~んがあるからって事?」

「違うよ、そうじゃないよ。もう推薦決まっただろう?」

「あぁ、そうだよね、確かに」

「田中もだよな?」

「うん。二人で同じ大学に推薦合格だもんね」

「じゃあ、治ったら奢るから、今は田中と行ってこいよ」

「うーん、レイナとなかなか時間が合わないのよ」

「そう言えばバイト始めたんだって?近藤と一緒に」

「うん。レイナん()の手伝いだって」

「それじゃあ仕方ないか。怪我したらバイトにならないだろうしな」

「あれ?立花くんの怪我って近藤くんも関係してるの?クラス、違うよね?」

「クラスは違っても体育祭では近藤と同じチームだったんだけど、そもそも推薦の関係で近藤が練習を休んだ時に俺が代わってやったら、それきり俺の担当になったんだ」

「そうなの?」

「ああ。だから、本当ならあいつが怪我してたかもしれない」

「あっ!それなら近藤くんにあ~んしてもらう?」

「やめて」

「えー、ちょっとでいいから、やってよ?」

「なんでよ?やめてよ」

「・・・レイナを通して頼んで見ようかしら?」

「どうしたんだ佐倉?変なスイッチが入ったのか?ほんとうに、やめて、お願い」

「仕方ないなあ。ところで何の競技だったの?」

「競技じゃないよ、応援合戦」

「え?」

「チームの旗を振ってたら風で倒しそうになって、旗は立て直せたんだけど、痛いと思ったら捻挫してた。怪我をしたのが競技でもないって、それこそ酷いだろ?」

「・・・一高がバンカラじゃないって言った先生、暗に立花くんのことを言ったんじゃない?」

「違うよ。言われたのは1年のときだし」

「その時、フラグを立てられたとか?」

「フラグ回収に2年掛かったって事?」

「他にもあるなら、受験前に回収しといたほうが良いよ?」

「その言葉でフラグが立ちそうだから、やめて」

お見舞いとして佐倉が奢ることでお高めのカフェには行ったが、立花が注文したのはあ~んせずに食べられるクッキー

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