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第26話

 セルバ騎士団の騎士たちが使者として各地に向かい、権力者、民にフェーデの意志を伝えた。


 結果的に言えば、最初の段階でセルバ騎士団に付いた味方は殆どいなかった。


 だが一部、サロモンに不満を持った人間達がセルバの騎士達の指揮の下で各地で反乱を起こした。


 狙うは貴族たちの屋敷、犯罪者の収容された牢獄、その他兵士の駐屯地などだ。


 無論失敗し、敗走したことも多かった。


 だが少ない成功例もあり、農民達、そして農民達の家族である徴兵された兵士達、職業軍人達もこれに参加。


 徐々に反乱の規模が増し、貴族達も手が回らなくなり始めていた。


 以下貴族達の会合にて。


 適当な貴族の屋敷に集まった彼等は急いでいるにも関わらず丸々と肥えた身体をしっかりとめかしこみ、豪華な食事を用意させていた。


 どっかりと装飾の付いた椅子に座り、ふんぞり返りながら彼等は口から唾を吐きがなりたてる。


 その姿には優雅さも高貴さも微塵も感じられない。


「一体どうなっているんだ!? 潰しても潰しても反乱が起きる!」


「中には城の兵士達が丸々農民達に付いた事例もあると聞く。おちおち見ていられんぞ!」


「サロモン王はなんと言っているのだ!?」


 頼みの綱はサロモン、こういう時の為に、貴族達は今まで何度も大量の金を渡してきたのだ。


 何かしら便宜を図ってくれるはず。


 そう考えた貴族は無論いた。


「返事はこれだ『自分の所領の世話くらいお前達でやれ』とな」


「お、おのれ……」


 サロモンの返事、それは確かにその通りではある。


 だが一回程度の反乱ならいざ知らず、今回の反乱はいつもと比べて圧倒的に規模も被害も異なる。


 おまけに反乱を指揮する司令官のような立場の人間もいるのだ。


「それと早く兵士を送れと言ってきた。こんな時に……」


「今兵士をサロモン王に出したら我々は丸裸になるぞ!」


 食事を皿ごと壁に投げ捨て、怒りを露にする貴族。


「こうなったら兵士と共に我々もトレア城へ向かおう。あそこに兵士が集まるなら、そのほうが安全だ」


 彼等が出した結論は自分の所領を放置して、サロモンの下へと向かうという選択だった。


 自分の身が心配ということもあっての行動だった。


「間違っても我々が負けることなどないだろうが、念には念を入れよともいう」


「冬の生誕祭までには帰れるといいな」


 特に何も決まってなどいないが、集まった貴族たちは満足そうに頷いた後食事に手を付け始めた。


 だがそれを許さないとばかりに知らせが入る。


「申し上げます! 反乱がおきました!」


 部屋の中に入ってきた兵士と思しき男の言葉に、貴族たちは『またか』とでも言いたげな表情を浮べる。


「もう珍しくもないだろう? 一々報告などせずとも──」


「反乱軍はこちらを目指して一直線に向かってきているのです! 数は1000を越えもはやすぐには止められません!」


 その言葉を聞いて青ざめる貴族達。


「い、一体お前達は何をしていたのだ!? ええいそこをどけ! 脱出する!」


「お待ちください! 兵の指揮を──」


「黙れ! まずは我々の身の安全の確保だ! 後はお前達で時間を稼げ!」


 兵士をはねのけ、我先にとその場を後にしていく貴族達。


 彼らの護衛の為に何人もの兵士、騎士が同行、撤退を援護するために残った兵士達は奮戦したものの敗北。


 それだけにとどまらず、生き残った兵士達は自分達を見捨てた貴族達を恨み、反乱軍に協力、さらに勢力を拡大させる結果となった。


 




「さて、サロモン様。本当によろしいのですかな? 後戻りはできませんぞ」


 貴族たちが襲われる中、トレア城では灯りも無いいつもの部屋でサロモンとマヌエルが杯を交わしていた。


 粗末な陶器の中になみなみと注がれているのはただの水。


 これでは酔うことなど出来ないと、マヌエルは笑い、サロモンも釣られて口角を吊り上げた。


「お前こそ怖気づいたりしていないだろうな?」


 サロモンの問いに対して豪快に笑うマヌエル。


「私も考えに変わりなどありませんとも。必ず成しましょう」


「ああ」


 2人はそう締めくくると杯を持って中の水を飲みほした。


 

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