ルーミー独白
この物語のテーマはジェンダーです。
物語の進行上の表現、オタク的表現があることをご了承の上、もし配慮が足りていないと感じる箇所がございましたらご指摘お願いいたします。
必要性のご説明や表現の修正を行わせていただきます。
また、一部過激な描写を含みます。
み。昔、獣人族は奴隷として扱われてた……です。今はその時より良くなった……って、みんな言うです。少数で寄せ合うように暮らして、各地に点々と獣人の村があるみたい。僕がいたオペル村は山の奥深くにあって、ひっそりと暮らしてた、です。
獣人はみんな力が……強い。でも、女の人は男の人に逆らったりしない……従順、です。暴力を振るうことは滅多にない、けど、暗黙の了解……みたいな感じ、でした。
僕はあんまり力……なくて、男の人たちの仕事、手伝えない……です。『こんなこともできないのか』って、イライラさせ……ました。
僕は、仕事にならない、お花を育てることが好き……です。役立たず……でした。
歳の近い子たちも、僕のこと……からかい、ました。お父さんは厳しかった、けど……お母さんは優しかった……です。
『ルーミーも成長したらきっとできるようになるわよ』
『みゃう……』
でも僕は、そう言って欲しかったわけじゃ……なかった、です。お母さんが期待してるような男に、僕は、なりたいと思ってなかったんだ。こんな僕でもいいんだって、肯定してほしかった……。
自分の居場所が、どこにもない気がしてた……です。
ある日、オペル村は人間に……襲われ、ました。獣人族に力で敵わない人間は、村に毒を、撒いた……です。動けなくなったみんなは奴隷として売られ……ました。みんな散り散りで、生きているのかも……分からない、です。
奴隷を買いたい人は、働き手が欲しかったみたい……で、僕はずっと売れなくて、遠いとこまで連れていかれ……ました。安くなってたみたい、で……仕方ない、感じで、僕は売れました。
背中に血印を描かれると、火傷したみたいに、熱くて……僕は意識がなくなりまし……た。
目が覚めると、厩舎の藁の上、でした。まだ背中がヒリヒリした感じ……で、もし逆らったら、また同じくらい痛いことをされる……と思うと、動けなかった……です。僕はこれからどうなっちゃうのか……不安で、たまらなかった……です。
しばらくして……男の人が来ました。
『チッ、起きてんじゃねぇか……おらとっとと来い!』
水の入ったバケツを持ってた、のは……多分、僕に水を被せて起こす為……でした。僕は足の震えを隠そうとしながら、男の人の後についていき……ました。
毎日やる仕事だと言われたり、夕方まで薪を割るよう言われ……ました。斧が大人用の重いの……で、難しかった……です。様子を見に来た男の人……に、とても怒られ、ました。
『全然進んでねぇじゃねぇかクソ獣人が!!』
容赦なく殴られ……て、僕は耐え切れずに、泣いて……しまい、ました。それも男の人をイライラさせた……みたいで、今度はたくさん、蹴られ……ました。僕は、怖くて、うずくまるしか……できなかった、です。
息が切れて男の人は、ようやく暴力をやめ……ました。しばらく、立ち上がれなくてずっとそこに……いました。
でもお腹が空いてきて、僕は厩舎の藁の上に、戻り……ました。家の戸を叩いても、きっとまた怒られる……です。
僕は、このまま死んじゃうんだと、思いました。
『みゃ……ッ!』
翌朝、僕は生きて……いました。水を掛けられて起こされ、ました。
『朝飯食ったら昨日言ったことやっとけよ』
足元には水が掛かってしまった、パンがひとつ、置いてあった……です。びしょびしょになったまま、僕はそれを食べ、ました。久し振りのご飯なのに、全然、進まなかった……です。
蹴られた身体が痛くて、言われた仕事もちゃんとできません……でした。
男の人が帰って来た、夕方、僕はまた怒られて、沢山、沢山暴力を受け……ました。
『ごめんなさい、ごめんなさい……っ』
『使えねぇ獣人だなてめぇは! せめて元取れるまで働けよ!』
男の人が契約紋にマナを込めると、背中の血印が凄く熱く、痛くなり……ました。
『みゃッいたいッやだ、やめて、いたい……ッ』
『明日もできてなかったらもっと痛め付けるからな。ちゃんとやれよ!』
『は……はいッ』
返事はしたけど、僕は、もう頑張れる気がしなかった……です。
早く死にたい……そう、思っていました。
男の人に買われて、どのくらい経ったのかよく分からないけど……山菜取りを命じられて、僕は山に入り、ました。崖になった下のほうに川が流れていて、吸い込まれるように、転げ落ちた……です。枝が身体に刺さったり、岩にぶつかったり、痛かったけど……このまま死んだほうが、楽に……なれると、思いました。
川の水はとても冷たくて、傷が痛くて、楽になるまで我慢するのは……大変、です。こんなに死にたいと思っているはずなのに、息を吸おうと水面から何度も顔を出し、ました。僕は、苦しくて、とても怖かった……です。
最近の寝床と違う、ふかふかで暖かい布の感触に、僕は夢を、見ていました。
居心地が悪いと思ってた故郷と、両親の夢……です。
お母さんが作る朝ご飯の良い匂いで、僕は目を覚ます、です。
『ご……はんっ!』
『あわっ勢いよく起きちゃダメです! まだ安静にしていなくてはっ』
『あんせい……、み?』
僕は、シエラお姉ちゃんたちに、助けられ……ました。
みんな僕の為になんとかしようと、してくれて、凄く、嬉しかった……です。
僕が性別で悩んでることも、ちゃんと聞いてくれて、みんなと一緒なら怖くないと、思ったです。
でも、未来のことなんて全然考えていなくて、身体が成長するって、当たり前のことが凄く怖くなり……ました。
アルティマとアルメーラが、不老不死になることを受け入れた気持ちが、僕には、分かったです。
でも僕の為に、リオがやろうとしてることを、止めたくもない……です。
僕は、みんなを傷付けることになったとしても、未来が怖い……です。命を救ってくれたみんなには感謝してる……のに、生きるのも死ぬのも、怖い、です。
封印は唯一の光に思えた……です。




