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Momo色サーカス  作者: 朧 月夜
【Part.1:春】夜桜の約束 ―プロジェクト“S”を暴け!―
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[23]妨害と抗戦

 団長室の手前まで戻り、凪徒は朝食をご馳走になったお礼を言った。自分の名を呼ぶ声に気付き、近付く気配に振り向いた。


「秀成……?」

「凪徒さんっ、これ見てください! やっとハッキング出来たと思ったら、こんなことになっていて……」


 息つく間もなくノートパソコンを開いて見せる。既に団長は部屋に戻り、窓の向こうでお茶を()れていた。


「なっ……んだ!? これ──」


 パソコンに(うと)い凪徒でも、さすがにその画像のおかしさには気が付いた。


「でしょ? やっぱり邪魔してる奴がいるんですよ! 僕、絶対(あば)いてやりますから!!」


 そう断言する秀成の両目にはメラメラと炎が燃え立つようだった。障害が多ければ多いほどやる気が起きるのは、まぁそれはそれで良いことだが……開けてみればこの()(さま)とは、確実に怪しい影が(うごめ)いていることが感じ取れた。


 ──団長……?


 お茶をすすりながらテレビを見始めた団長の姿を再び目に入れる。モモを『宝物』と言いながら、「お国のためだろ?」とのたまった団長。『コレ』も団長の知るところなのか?


「とりあえず車に戻ろう、秀成の分の朝食あるぞ」


 そう言って持ち帰ったマフィンの紙袋を掲げてみせる。喜んでパソコンを畳み歩き始めた秀成の後を追いながらも、凪徒の心は団長室の入口に置き去りにされた気分だった。




 ☆ ☆ ☆




「何なんだろうな……コレ」


 車内で今一度画面を覗く。道路を走行する車を映し出した画像は、明らかに異様だった。


 通常であれば走行車のナンバープレートがハッキリと確認出来る筈であるのに、その部分はまるで太いペンで塗りつぶされたように何も読み取ることが出来ない。車体も色や形が殆ど分からないほど加工されていて、車内は全て黒塗りになっていた。


「他にもあるのか?」

「はい……数地点調べてみたんですが同じです。それも明らかに無関係な軽自動車やトラックまで塗られていて、どれが目的の車なのか分からないようにカモフラージュされています」

「ふ……ん」


 マフィンを口に運びながら説明する秀成の横で、凪徒は考え込んでしまった。が、それも十数秒ほどの虚空(こくう)を漂い、


「こんな手間、広範囲でやれる訳もないだろうから、邪魔されている地点がどこまでなのか、午後の公演終了までに調べられるか?」

「え? ええ……出来ると思います」

「その地域を辿って、一番遠い所からとりあえず探し出す。車種と色は分かってるんだ。手当たり次第当たってみるよ」


 凪徒は練習着に着替え、テントへ向かおうと扉に手を掛けた。


「な、凪徒さんっ、そんな地面のケシ粒探すようなこと……っ!」

「でも今はそれしか方法がないんだ。やれるだけやってみるさ」


 振り向いて困惑する秀成に見せた笑顔は、珍しく晴れ晴れとしていた。




 ──そしてその頃、高岡邸のモモは──


「先輩……きっと怒ってるだろうなぁ……」


 昇る朝陽を眺めながら、独り鉄棒にぶら下がっていた──。




★次回更新予定は五月十一日です。

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