表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Momo色サーカス  作者: 朧 月夜
【Special.2:再春】夜桜の約束? ―モモ、ついに魔の手に……あ、いや―
153/154

[最終段階!?]〈N❤M〉

「モモ……」


 凪徒はモモの(もと)へ戻り、言われた通りにじっと固まった少女の(おとがい)に触れた。ようやく全ての準備が整い、一から仕切り直せる気持ちがして、初めてキスした時の強引さは消し去り、優しく柔らかく口づけた。モモの震える全身も唇も、そのぬくもりを確かめるよう(わず)かにしか動かされない凪徒の唇に、次第に溶け込み(なご)んでいく。それでも長い間重なり合っていた所為(せい)か、やがて自由にされた後には、深い吐息が流れ落ちていった。


「あ、あのっ、先輩、明かり……」


 再び手の掛けられた襟元を見つめて、モモは凪徒の動きを咄嗟(とっさ)に止めた。こんなに晃々(こうこう)とした照明の下では恥ずかしいと思っていた。


 が、凪徒はモモの抵抗する手を退()かし、


「いやだ」

「え?」


 まるで駄々っ子のように即否定をした。


「全部見せろって。モモの全部、良い所も悪い所も……俺も全部見せるから」


 ──良い所も、悪い所も……


 驚いている内に幾つかのボタンが外されて、中に着ているキャミソールの胸元が露わになった。


 ──あ、あたし……そう言えば、もう寝る予定で外に出てたから、下着(ブラ)着けてない……!


 再び抗戦しようと腕を上げたが、凪徒はいつの間にかモモの寄り掛かる枕の端に顔を突っ伏し、必死に何かを(こら)えていた。


「くっ、くくっ──」

「せ、先輩?」


 明らかにそれは『笑い』であり、きっと自分の胸元を見た所為だと察せられ、モモはにわかに頬を膨らませた。


「ご、ごめんっ……俺……ずっとモモのこと誤解してたわ……」

「……え?」


 やっと笑いを止めた凪徒の顔が戻ってきて、にこやかな微笑みに変わる。


「お前って、ショーの時、相当『寄せて・上げて・盛って』るんだと思ってた」

「ひ、ひどい~!」

「だって練習着も普段着も、ちっとも胸ないじゃんかよ」


 ──それは目立たせるのが恥ずかしくて、身体の線が分かりにくい上着とスポーツブラを着けているからです……。


 モモは心の中でそう言い訳して、再び笑い出した震える丸い背中を見下ろす。


「まぁ良かった良かった~思ってた以上にあって! 折角だからちゃんと拝ませろ」

「えっ! あっ、やだっ!! 先輩~~!!」


 左の身頃を(つか)んだ長い指を、引っぺがそうと両手で応戦するモモ。凪徒はそんなモモを見上げ、


「じゃあ布団くらい掛けてやるから。それからこういう時くらい、『先輩』じゃなくて『凪徒』って呼べよ」


 と、女性ファンを魅了してきた(うるわ)しいウインクを投げた。


「あ……えと、な、凪徒さん……」


 初めて口にする凪徒の名に、モモの声は少しうわずってしまう。


「ま、『さん』付けでもいいか。……好きだよ、桃瀬……くくっ」

「先輩?」


 再び現れる凪徒の隠しきれない笑い。


「モモに『セ』が付くだけで随分雰囲気変わんのな……ぷっ」

「先輩~!」

「だから~『凪徒』だって!」

「な、凪徒、さん……」

「桃、瀬……くっくっく──」


 ──先輩って、もしかして……ツンデレの『デレ』が出ると、笑い上戸(じょうご)になる?


 モモは目の前で腹を抱えて苦しむ凪徒に呆然とした。


「せっ、先輩ってば!」

「だからぁ『ナ・ギ・ト』!」

「な、ぎと、さん……」

「ももせ……ぷぷぷっ」

「先輩~~~!!」



挿絵(By みてみん)



 さて……この二人にれっきとした『愛の(いとな)み』が訪れますかは──皆様のご想像にお任せ致します♡




[結]


「男性は家庭を持つと、それを養う為にまた精を出す──力が出る。でも女性は……それを守る為に、闘争心は母性に変わり、自分が傷つく危険を恐れるようになる──それを感じたんだそうだ」




 たとえ、そうであったとしても。


 あたしは飛び続けたい。舞い続けたい。


 愛されて、結ばれて、守るべき者に恵まれた、その先でも──。


 ずっとずっと、いつまでも、何処(どこ)までも。


 先輩と一緒に! いつまでも、何処までも!!




 飛んだ先に貴方の手が待っている限り、ずっとずっと──。


 だから絶対掴まえて! 先輩の、大きな……温かなその手で──!!



挿絵(By みてみん)



挿絵(By みてみん)




     【完】




★以降は2014~15年に連載していた際の後書きです。


 最後までお読みくださいまして、誠に有難うございました!


 作品はこちらでおしまいとなりますが、メンバーの未来を語る[後書き]を準備しています。


 お手数ですが次の更新まで、是非お付き合いをお願い致します!!




 桜の下の二人のイラストは、私が下書きを描き、希都様が彩色してくださいましたコラボレーション作品でございます♪


 想像を遙かに超える美しい夜桜を描いていただき、もう二百パーセントの満足状態でございます♡


 希都様には本当に沢山のイラストを頂いた上に、ほぼ更新毎に感想やご意見を頂きまして(←私が催促していたのですが(苦笑))、この一年以上の連載期間、精神的にも支えてくださった心の友でございます(涙)。。。希都様! 最後まで大変お世話様になりました!!


 精神面弱々でどうしようもない作者でございますが、どうぞこれからも末永く宜しくお願い申し上げます~(汗)。




 また他にもキャラ達を深くご理解くださり、素敵なイラストを下さいました皆様・有難きレビューを下さいました皆様・心のこもった感想を下さいました皆様・高評価下さいました皆様、そして最後までお読みくださいました皆々様! 本当に本当に有難うございました!!



 沢山の愛を込めて・・・朧 月夜 拝




挿絵(By みてみん)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ