第13話
11月1日ぶん
プロローグの祐作を眺める柚葉。
もう少し盛りたかったが、何事も無ければ多分次回で完結。
夢を叶えるために何かに没頭し続ける幼馴染のそんな姿が好きだ。
考え続ける姿。手を動かして工作する姿。失敗にめげず立ち上がる姿。小さな頃からずっと、彼の色々な姿を見てきた。その中でも一番多いのが、丘の上に上がって腕には自作の翼をくっつけて羽ばたこうとする姿だった。
ふとした時に、本当にどこかへ飛んで行ってしまうんじゃないかと思って、飛べない事実にホッと息を吐いていた。
夢を追い続ける人の背中は遠い。
自分にはそこまでして叶えたいという夢が無かったから。一緒に飛ぶための熱量も無くて、一緒に考えるための知識も無くて、邪魔になってしまうからと思い悩んで、連れて行ってと手を伸ばすことが出来なかった。
私は眺めるだけ。だけど、それでも構わないと思えたのは、やっぱり彼のそんな後姿を眺めていることが好きだったからだ。
それなのに、彼は落ちてきた。
翼に怪我を負った鳥のように、私のすぐ傍まで落ちてきてしまった。飛ぼうと藻掻くけど、藻掻けば藻掻く程傷口が広がっていって夢から遠くなる。そのままぽっきりと折れて、本当に夢を諦めてしまうんじゃないか。そう思った。
その時になって初めて、彼も同じ人間だったのだと認識したんだと思う。
落ちてきたことにホッとして。これで隣を歩けるなんて考えてしまって。一緒に楽しめるものを探したいなんて考えてしまって。
だからきっと、今私の身に起こっている出来事は自業自得のようなものだと考えた。
羽を休めるために降りてきたんだったらそれで構わない。だけど、傷ついて落ちてきてしまったんだとしたら、まだ夢を叶えたいと藻掻いているんだとしたら、私は手を刺し伸ばさなきゃいけなかったのだから。
傷を負った生き物は傷を癒すと同時に成長していく。
一度折れたところ補習して、同じ傷を負わないように強くなっていく。きっと、今まで手が届くか届かないかの所で遊んでいた彼は、傷を癒してもっと高く羽ばたくんだろう。
もしかしたら、一つ目のゴールにたどり着いてしまうかもしれない。そうしたら、もっと遠くなってしまう。
でも、それでいい。
私が好きな姿は、そんな姿だから。翼を広げて、どこまでも高く高く飛ぼうと試行錯誤するそんな祐作の背中だったから。
置いていったって構わない。後ろを振り返らなくたって構わない。
ただ一つ、夢を叶えるその瞬間を近くじゃなくていいからミせて欲しいと思う。私はきっとその姿だけで満足してしまうことだろう。
「祐作」
「ん?」
「なんで飛びたいのか、分かった?」
「昔の自分に怒られたような気分だよ」
自室で軌跡をたどる少年に戻った彼の背中に問いかけると、そんな答えが返ってきた。
今日の筋トレ日記
筋肉痛なんじゃよ。
穴掘りって意外と体力使うんですね。




