2 ホウカゴノ月
なんか物の書き方がわかりません…
書きたい事は浮かんでるのに……
「…っていきなり倒れてさ、まったくびっくりしたっての!」
「あはは……ごめんごめん」
「でもいいじゃーん!今や付き合ってんだからさぁ、あんたたちぃ!」
あの日告白して本当によかった。
あのあとわたしは倒れたらしく、津田は先生を呼んで付きっきりで傍に居てくれ、
しかも目覚めた私に津田から好きだと言ってくれた。
「芽衣が言おうとしてたこと、外れてたらごめん」
って、なんてかわいんだ、なんて思ってしまった。
津田は決して女子に人気が無い方じゃないので、付き合ってるってことは
親友の美優にしか言わないでおくことにした。津田もそれをOKしてくれた。
たったそれだけのことなのに、自分の彼氏になったんだって実感したからかもしれないけど
なんて優しいんだろう、なんてバカなことを考える。他人からしたらまったくいいのろけだろう。
「で?芽衣は平気なの?」
「うんっ 全然大丈夫!」
放課後の教室。左に大好きな美優がいて、右にはおなじく大好きな津田がいてくれる。
それだけで今の私はどんなに幸せなことか。告白してよかったと目覚めてから
保健室のベッドで何度も実感した。奇跡が起きた、この私に。
「恥ずかしくって倒れちゃったんじゃないのぉ?愛のコ・ク・ハ・クが」
「わっ私はまだしてなかったし!」
「津田に押し付け?告白しようとしてたことは変わりないじゃーん♪」
美優はいつも私をいじっておもしろがる。
たまに本気でいやなときもあるけど、そんなの100回に1回くらいで、いつもの美優は大好きだ。
とはいってもさすがに当の津田の前でこんな話をされるのはちょっと恥ずかしい。
いや結構恥ずかしい。
「もーいいじゃんほっといてよ!」
「ふーん?じゃ、あたしそろそろ帰るけど」
「俺もそろそろ帰んないと。芽衣は?」
「帰る帰る!おいてかないで!」
「今日ぶっ倒れた奴をおいてかねーよ」
ドア付近で美優がふっふーと楽しそうにこっちを眺めてる。
美優め、次くらいに100回に1回が来るかもしれない。
「じゃっあね〜」
「え、白屋急ぎ?」
「え、ああ、いやぁ…」
「一緒に帰ろうよ。芽衣とずっと一緒に帰ってたんでしょ?」
「えー…それはさすがに……ねえ…?」
美優がちらっと困ったような目でこっちを見る。
私も内心、津田の言葉にがっくりきた。
だけど同時に喜んでる自分もいることにも気がついた。
美優があれをこれをと逃れようとしてるのに気付かないのか、津田は「なんで?」と言う顔をしている。
そうだ、美優がいてくれた方が助かる。
2人っきりなんてとてもじゃないけど恥ずかしいし…。
「もー!気づけよ津田!」
「はぁ?意味わかんないんだけど」
「いいじゃん美優、一緒に帰ろ!」
美優はびっくりしたような表情を浮かべてから、すぐに嫌そうな気だるそうな表情になった。
今日くらいは美優がいてくれたほうがいい。津田もいいよって言ってるし。てゆうか津田から誘ってるし。
そこが少し"彼女"としてはひっかかったものの、私自身美優が好きだし、
津田の美優に対する思いも私が美優に対する種類と同じ"好き"だと思ったから気にしないことにした。
美優を嫌っている津田を想像してみたら、好きでいてくれる方が全然いい。
美優は大きくた溜息をつくと、私たちに向って言った。
「今日だけだからね!津田も、芽衣はあんたの彼女なんだから!しっかり自覚しろ!」