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自由と世界と転生と  作者: 絳月 蓮
第一章 幼少の記憶
8/8

「魔術」

翌日、俺の朝は遅かった。レインに起こされるまで熟睡していた。


 昨日の夜が遅かったのもあるだろう。俺ポカーンと天井を見つめているとレインがくすくすと笑い出した


 「どうして笑ってるんですか?」


 少し不貞腐れた感じに聞くとレインはなおも笑いながら答えた


 「い、いえレナディ様もまだ幼いのだなと」


 と言われた。


 日々の生活だと俺はレインが起こしに来る前に起き服装を整えているからな。


 なら仕方ないな。いや仕方なくない。


 眠い目を擦りながらそう思いつつ、服を着替え自室を出てレインと食堂に行った。


 食堂にはすでにシャリスがいた。とても眠そうだが頑張って朝食を取っていた。


 俺も朝食を取った後、食堂を出ようとするとレインに


 「魔術の授業をもうなさいますか?」


 と聞かれたので俺は


 「いえ、昼食の後にでもお願いします」


 といい自室に戻った。


 なぜ断ったのか。それはラースの手紙を読まなければいけないからだ。授業の後でもいいのだが、なぜか読まなければいけない気がした。


 自室にある大きな木箱の中にある短剣と木剣の間にある手紙を取り椅子に腰をかけ手紙を開く


 “レナディへ

 私はラース・ドラゴンハート。お前の父だ。私はお前とシャリスに会えないのがとても寂しい限りだ。

 

 急に父だと言われても戸惑うかもしれんが、本当にすまない。


 本国を守るためそちらに出向くのはとても出来ない。が父親としての務めを果たすため些細ながら贈り物を送る。


 その箱に入っているのは木剣だ。

 

 レナディ、私はお前もドラゴンハート家の一員として騎士の道に進んで欲しいと考えている。なので剣術を磨け。師範はレインに頼んでおいた。


 もう一つは短剣だ。もちろん真剣だ。いざという時のために持っておいたほうがいいと思いそれも送った。


 シャリスとレナディ、お前たちは俺の宝物だ。別婦たちは嫌悪しているようだが。お前たちが蔑ろにされたり嫌がらせなどの行為は俺がさせないつもりでいる。


 お前たちもいつか王都で暮らせるよう全力を尽くす。


 それまでシャリスを頼むぞレナディ。シャリスはああ見えて脆いからな...。


 お前たちを愛している。


      ラース・ドラゴンハートより“

   

 そんな内容だった。俺は呆気に取られていた。


 内心俺はラースのことを良く思っていなかったからだ。


 シャリスををほったらかしにしたまま悠々自適に暮らしているのだと。


 だが違った。ラースはラースなりにできることをしていたのだ。


 シャリスがこっちに戻ってきて1年半ほど経って何も音沙汰がないのはラースのおかげだったのだ。

 

 ラースは父親としての務めを果たしていたのだ。妻と子を守ると言うことを。


 俺はシャリスに貰った「詠唱の極意」の本と木剣を持ち自室を出た。


 まだ昼ではないがレインを探した。レインは廊下をはたきで掃除していた。俺は近づき


 「レインさん、さっきのは撤回です。今から魔術の授業をお願いします。それに剣術も」


 そう俺は木剣を見つめながら言った。するとレインは


 「わかりました」


 と一言言った後


 「ついてきてください、レナディ様」


 と誘われ俺とレインは中庭に移動した。


 中庭に着くとレインが向き直り


 「ではどちらからいたしましょうか?」


 と言ってきたので、俺は迷わず


 「魔術をお願いします!」


 と言った。それは未来のためにに早く使えるように、なんて建前だ。早く使いたいから魔術だ。


 「では魔術を。簡単なものからいたしましょう」


 10属性もあるが俺に使えるだろうか?もしかしてどれも使えないとかになったらどうしよう。


 それにしても


 「使えているかどうやって見分けるんですか?」


 と聞いてみる。当たり前だ、出来ると使えるでは根本的から違う。それがわからなければ意味がないのだ。


 「下級のものが使えれば中級、上級と使えるようになりますよ。それにほとんどが詠唱によるものなので魔力さえあればできると思いますので」


 なるほどなるほど、


 「長々と魔術の理解を深める講義をしてもいいんですが、それはもうレナディ様には必要ないですね。早速実践しましょう」


 「わかりました。じゃあどれからやればいいですかね?」


 「そうですね....。では火属性魔術からやりましょう。水も用意できてますし大丈夫ですよ」


 火魔術か。火傷しそうだけどレインが大丈夫って言うんだ、大丈夫なのだろう。


 「わかりました。ではいきます。」


 俺は火魔術の初級のページを開き本を片手に手を差し出し詠唱した

 

 「爆炎の僕である火の精霊よ、我が敵を討ち滅ぼす力となりて飛翔せよ」


 「”ファイヤーボール“」


 そう唱えた瞬間、俺の体の全身から俺の腕に何かが集まる感じが襲い、次の瞬間俺の手の平にはボーボーと燃える火の玉が出ていた。


 「おめでとうございます。レナディ様」


 「ありがとうございます。で、これどうすれば.....?」


 俺の目線に先には燃え続ける火の玉がある。するとレインは


 「打ってください」


 そう言われた。打つだって...?これって打つものなのか。


 「どう打つんですか....?」


 そんな情けない声が出た。だがレインは落ち着いていた。


 「そうですね。こうバァッ、て感じで」


 と言われたはいいものの、バァッって。レインは感覚で魔術を習得したのか?


 だが俺は言われた通り手を少し胸に寄せ、勢いよく突き出すと“バシュン”という音と共に火の玉は飛んでいった。


 「で、出来た...」


 レインはそれをみるや否や、勢いよく飛んでいる火の玉に水をぶっかけ消火していた。シュールだ。


 「できましたね」


 とドヤ顔で俺に言ってきた。どうやら俺も感覚派なのかもしれない。


 俺はその後も魔術を一通り使った。そして使い続けた、何度も何度も。


 そんな俺を見てレインは


 「そろそろ剣術に....」


 といわれたが

 

 「まだいけます」


 と言い張り、魔術を続けた。

 

 今のうちに使い方のコツを掴みたかったからだ。


 だがそんなことも束の間、10分もしないうちに俺の体全身に謎の倦怠感が襲い、視界が狭まっていくのを感じた。


 なんだ急に体に力が入らなくなって....。


 そして俺は後頭部から地面に倒れ気絶した。



 「ハッ!!ハァハァ....」

 

 ふと俺は目を覚め勢いよく起き上がると、そこは自分の部屋のベットの上だった。


 外はもう暗く、夜だった。


 あれ?俺って確か中庭で魔術の練習してたんじゃ?

 

 とりあえず小腹が空いたので自室を出て食堂に向かった。


 食堂に着くとそこにはもう誰もいなく暗く静かだった。


 だが厨房の方にまだあかりが灯っていたので普段は行かない厨房に俺は足を運んだ。


 厨房を覗くとそこには小さな火の灯りとレインがいた。


 何をしているのかは体で隠れて見えなかったが明日の朝食の仕込みとかだろう。


 俺は邪魔をしまいときた道を回れる右して歩き始めた。だが暗くてよく見えなかったのもあり俺は棚に足をぶつけて


 「イッタ!」


 と声を上げてしまった。すると


 「誰です!!」


 とレインから聞いたこともないような怒号の声がした。だがすぐに俺と気づいたのか


 「レナディ様でしたか、起きていたのですね。」


 と優しいいつものレインの声に戻った。


 「すみません、邪魔をしてしまって。」


 「いえ、終わりかけでしたので。」


 「そうですか...それなら良かったです...」


 そういい俺は立ち上がると俺のお腹が凄まじい叫び声をあげていた。


 「す、すみません。何かありますか?」


 「はい、お作りいたします。少々お待ちを」


 そういいレインは厨房に戻っていった。


 10分程経つと、レインは湯気の立った皿とパンを2切れを盆にのせ持ってきてくれた


 「牛とブロス豆のスープとロムパンです」


 「ありがとうございます」


 俺は勢いよく食べ始めた。そんな俺を微笑みながらレインは見ていた。


 俺はすぐに食べ終え一息つきスープの余韻に浸っていると、レインが


 「昼のことなのですが、レナディ様が魔術を連射し魔力切れで気を失ってしまったので、僭越ながら私が部屋に運ばせていただきました。」


 と言われた。俺もあのままだと風邪とか引いてたかもだしな


 「それはありがとうございます。昼はすみません忠告もしていただいていたのに。」


 「いえ、大丈夫です。私も最初はしょっちゅう魔力切れを起こして倒れたものですから。剣術は明日から致しましょう」


 そう話をして俺は自室に戻った。


 魔力切れか。気おつけよう。


 魔術も程々のした方がいいな。


 そんな不安もあったが、剣術への期待を膨らませながら眠った。

投稿頻度?なにそれ美味しいのと言わんばかりの遅さで申し訳ありません。


 これからもよろしくお願いします

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