「行動の制限」
あの色々混乱したりわかったりした1日から3日がたった。
俺はまだ赤子同然なのでやる事はない。いや出来ない。だがやりたいことが多すぎる。
今自分が置かれている状況、それから色々なことを判断しなくちゃいけないのだ。焦りもする。その焦りで一回立とうとして揺かごから落ちて痛かったが....。
そんな事は置いといて、まずは今俺がいる場所がどこで、誰の家なのか。まぁ俺がいるって事はその両親の家なんだろうが...。
喋る事もできないだろし意思疎通はできないなら。やる事は一つ。
泣き喚く。
断じてふざけているわけではない。
まず俺が喚けば誰かが来ることを確認しなければ、多分来ると思うが。
あやしてもらうついでに家の外に出られれば...いや部屋に外にさえ出れば...。
そんなことを考えていると、小走りで近づいてくる物音。その正体は俺の顔を覗き込むように顔を出したのですぐわかった。
メイドのレインだ。
レインは俺の専属メイドなのか、それともこの世界の俺の母親。シャリスの専属メイドなのかはわからないが、すぐに来てくれる。
ちなみにこの世界での父親を俺は見たことがない。
俺が泣き喚いていると、困った顔をしてレインは言う
「レナディ様。どうされたのですか?」
俺を抱え、左右に揺れるレインの胸の中で思った。
”レナディ“
この世界での俺の名前。嫌いなわけではない。どっちかと言うと俺は好きだ。
でもなんか女っぽくない?。まぁいいや。前よりは全然まし。下の名前がないのは不便だが。
ん?元々ないのか?それともあるほうが不便なのか、まぁいいか。
「あぁ....うぁ....うぅ...」
そんなことを声に出して意思疎通を図るが無理なようだ。
なのでやり方を変えた。ドアの方を俺は指さしながらさっきと同じ声をだした。するとレインは何かを察したのか
「レナディ様。お散歩にでも行きますか?」
そんなことを言われ、俺はキョトンとしていた。意思疎通できた。
レインお前まさか、心が....。
そんなことも思ったが、レインの腕の中ではしゃぐと、レインの少し筋肉質な腕にガッチリとホールドされ、
「はいはい、今行きますからはしゃがないでくださいね〜」
といなされた。ちょっと背中がむず痒い気持ちになった。
とはいえ、外を観れるというのはかなり貴重だ。目に焼き付けなければ。
レインは俺を抱えているにも関わらず平然と歩いていた。俺ってそんな軽いのか?。
少しするとレインの足が止まった。
「レナディ様。ここが中庭でございます。」
中庭?じゃあまだ家の中なのか....。
広すぎやしないか。
そう思っていると、信じられないものが目に飛び込んできた。
そこには、様々な植物、動物がいた。動物と言っても放し飼いではなく、檻に入っていたが。
中庭だよね。中庭って動物いるっけ...。
ま、まぁね異世界だからね、ね。
少し行くと薔薇なのか何かはわからなかったが、ロール常に道を囲っているところがあった、神秘的だ。
そこを通り過ぎるとレインが
「じゃあ次に行きましょう」
そう言ってまた動き出した。
意外と早いな。もうちょとじっくり見たいところだ。
その次に、家から出た。
出れるとは思ってなかったが....。
するとそこには豪華な馬車があった。移動できるかとも思ったが、そんな事はなく中から人が出てきた。
出てきたのは小学生くらいの少女だった。びっくりだ。あんなあんな少女でも偉いとは。
俺も今では言葉も喋れない赤子だが
すると少女はこっちにきているのが見える。
だがそれはレインの頭と胸で見えなくなった。レインは礼をしているのだ。
「キーラ様、お帰りなさいませ。」
この小学生っぽい少女はキーラと言うらしい。
するとレインは再び歩き出した。今のは敬意かそれとも世辞か。まぁ建前だろう。
それからレインは色々なところに連れて行ってくれた。家の敷地内ならどこでもだ。
だが、字はまだ読めないので何がなんなのかは容姿だけで判別したが。
倉庫みたいなところとか、馬小屋とか、宿舎?なのか...。色々多かった。
そんなものを見終わった後、最初のでかい屋敷に戻ってきた。見ただけなのに凄い疲れた。
何故なんだ、この年じゃあ家でゴロゴロするのが普通なんだったけか。
その後、俺を部屋のゆりかごに戻された。その時、意外と俺は笑っていたのか、レインは笑いながら言ってきた。
「レナディ様、、また行きますか?笑」
そんなことを言われ、俺は身震いしてしまった。やはりレイン....心が....。
だが、情報を集めるために外に出るのが手っ取り早いので、一応頷いておく。
するとレインは笑っていた。そんな顔を見た後俺は眠りについた。
その日の翌日から散歩は日課になった。
一定の時間になるとレインが来るようになった。俺は情報収集だけではなく、レインに抱かれながら散歩に行くと言う謎の母性を感じていた。かなり怖い。
そんな日が1年半くらい経った頃、俺は歩けるようになった。これはかなり良好。
やったね!
でも.....10メートルくらい歩くとばてて倒れる。なんでだ。その度、レインに助けてもらっている。
面目ない。
だが色々な変化があった。どんな世界になっても、この性格だけは変わらないらしい。
でも決めたとりあえず今後の第一目標は
「文字を覚える」
だ!
文字がわからなければ生きるに生きれない。だから頑張ろう。
俺の、この世界での未来のために。
自由のために。