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神に見捨てられた俺たち  作者: 八神獅童
エルフの里
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ウルズヘジン 

唯斗達は里の入り口で他の兵士と共に陣取っていた。

「奴ら、前にも攻めて来たんですよね。この里が見えたのでしょうか」

「恐らく奴らの技術によるものだろう…前はかなり大勢で攻めて来たが」

「大勢で攻めて来たって…私は隠れてた方が…」

「今回は沢山の気配ではなく少ないが強い気配…絶対に油断するで無いぞ」

「大丈夫です。分かっています」

唯斗とウェイランは警戒を怠らずに里の入り口で守りを固めていた。守りを固めて1分後、前方から獣の仮面をつけた一人の男がやって来た。唯斗とラオファルにとっても見覚えのある男だった。

「この里まで来ていたか…異世界人よ!」

「…大丈夫ですウェイランさん。俺も身を守る事ぐらいは…」

「気をつけろユイト!もう一人来るぞ!」

キルケの後方からもう一人の男が現れて大鎌で唯斗に斬り掛かったが、ウェイランが防壁で弾き返した。

「うわっ!」

「くそっ!エルフの長め…!」

「お前達は下がっていろ!私がこの男…ミカヅキの相手をする…!」

そのままウェイランとミカヅキの斬り合いが始まった。

「今度は負けん!今の俺ならお前など…!」

「私を忘れないで!ユイトは下がって!」

唯斗に襲い掛かろうとしたキルケはラオファルの不意打ちを回避してそのまま里の兵士達も交えた戦いになった。

「くっ…今回も俺は逃げるだけなのか…?」

唯斗は自分自身に秘められた力による攻撃を試みた。「敵に攻撃したい」と念じて青い光の弾丸を作り出してキルケに向けて放ったがあっさり弾かれてしまった。

「ふん!まだまだ甘いな!」

キルケは唯斗に向かおうとしたが、背後からラオファルの火球を放たれて、それを何とか避けて更に兵士達の槍による突きも捌ききったが、流石に多数を相手にして疲労が溜まっているようだ。

「クソッ避けんじゃえねぇっ!…ぐぅっ!」

「…遅い!」

ウェイランとミカヅキの戦いは既に、ウェイランが優勢になっていた。しかしミカヅキは、「このまま負けるかよっ!くらえっ!」と叫んで目を閉じながら球をウェイランに向かって投げつけた。ウェイランは球を弾いたが、その瞬間球が強い閃光を放った。

「何っ⁈」

「眩しくて…目が…」

「ミカヅキ!合図も出さずに使ったのか!」

「隙ありぃっ!」

ミカヅキは眩しい光で一時的に目が見えなくなったウェイランを大鎌で斬り裂こうとした。

(何だこれは…⁈)

一方唯斗は眩しくて目を閉じている筈なのに外の景色がぼんやりとではあるが見えていた。そしてミカヅキがウェイランを攻撃しようとしている様子を見てミカヅキを止めたいと念じた。その瞬間、ミカヅキの立っている位置に強い重力場が発生した。突然重力が強くなったせいでミカヅキは立っている事すらできなくなった。

「何だこりゃっ⁈」

「…はぁっ!」

視力を取り戻したウェイランの魔法の砲撃が、ミカヅキに直撃した。ミカヅキは何とか致命傷は避けたがかなりのダメージを負った。

「ぐはっ…ちくしょう…」

「ミカヅキが…ここで負ける訳には…」

キルケはミカヅキを救出してそのまま里の外へと逃げて行った。

「…待てっ!」

「お待ち下さい!」

「奴等は深傷を負っている…今追撃すれば…!」

「待って下さい…奴らがあなたの娘の行方を知っているとは限らないと思います」

「…ああ、そうだな」

ウェイランは落ち着きを取り戻して、戦闘態勢を解いた。そのままウェイランと共に唯斗達も宮殿に戻った。


「娘の行方は判らないままだ…」

ウェイランは数週間もの間、娘の手掛かりを得る事が出来なくて意気消沈していた。唯斗はウルズヘジンについて更に聞いてみる事にした。

「…ウルズへジンによる誘拐はどれ程発生しているのですか?」

「既に数百人以上誘拐されている筈だ…殆どが洗脳されて兵士にされている」

「俺が力を使いこなせる様になれば、本当に奴らと戦う時に有利になるのですか?」

「ああ…私はあの言い伝えが正しいと信じている」

唯斗はウルズヘジンの事からこの世界についての話に話題を変えた。

「この世界にはどの様な国があるのですか?」

「まず今我々がいる国はガルドラル王国だ。ただエルフの森は私の意思で自在に移動できる。すまないが我々は比較的平和な国であるという事しか分からない」

唯斗が他にはどんな国があるのか聞こうとしたところで、兵士とラオファルが慌てた様子で部屋に入って来た。

「大変です!ガルドラル王国の王家が召喚の儀を行った様です!」

「何?!この国の王家もウルズヘジンに行為を重く見たという訳か…」

「召喚の儀…俺と同じ様な世界から呼ばれたのか…?」

「うん…ユイトがいた世界から呼ばれた人かもしれない」

唯斗は召喚の儀で呼ばれた異世界の人間に会いたくなっていた。

「あの!新しく召喚された人に会いたいです!」

「確かに…同じ世界から呼ばれた人が一緒の方が色々と良いかも知れない…」

「ユイトがその者に会いに行くならガルドラルの王家に伝えよう。…私はこの里を守る為にも離れる訳にはいかない…」

ウェイランはガルドラル王家が呼び出した異世界人については唯斗達に任せる事を決めていた。

「明日には出発しようと思っています」

「同じ世界の人間だからと油断はするな。そなたに友好的かどうかは分からない」

「もし攻撃して来たら…異世界の人の術は私じゃ防げないかも」

「その時は俺が…何とかする」

「おぬしは私が召喚した…離れていても私の力の一部が使える筈だ」

「…色々教えてくれてありがとうございました」


その翌日唯斗達はガルドラル王国の王都に向けて出発した。ラオファルは挨拶はしたが見送りはせずに部屋で瞑想していた。

「あの王家が召喚した人間がどの様な人物か…私も知る必要がある…」

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