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神に見捨てられた俺たち  作者: 八神獅童
エルフの里
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隠された里

唯斗とラオファルは指定された日の朝、ユーダリルの北の森に向けて出発した。

「ユーダリルの北の森…どんな場所なんだ?」

「えっと…危険な動物や魔物がいなくて…あと景色が綺麗な森だね」

「これといった特徴は無さそうだな」

「うん…特に名前もついてないし…」

正午まで後数分になった時にようやく北の森に辿り着いた。

「普段よりも霧が濃いけど…やっぱり何も無いよ…」

「…正午になるまで待とう」

唯斗達は正午になるまで森の入り口で待つ事にした。そして正午になると霧の中に門の様なものが現れた。

「これが…里の入り口…?」

「…行こう!」

「え?もうちょっと慎重になった方が…」

ラオファルは唯斗を止めようとしたが彼が門の先に進んで行ったので、彼女も仕方なく後を追いかけた。


「ユイト待って…え?ここは?」

「凄く綺麗な場所だな…やはりここが里で間違い無さそうだな」

そこは明るい日差しが差し込むだけではなく、幻想的な光に包まれた森で、多くの家が樹木の上に存在していて住人達はいずれも耳が尖っていた。

「すごい…こんなに大きなエルフの集落は初めて見た…」

「エルフ…?ここはエルフの里か…」

景観を眺めていたら、エルフの兵士と思われる男性に声をかけられた。

「あなたが別の世界の人間ですね…そちらは…」

「ラオファルです。ミズガルズ大学の学生の…」

「その異世界人を保護してくれた方ですね。ありがとうございます」

「いえ…ただ助けたかっただけで…」

「さて、ここで立ち話を続けても私から話せる事は少ないので長の元に案内しましょう…そちらの学生もよろしければ長の話を聞いて下さい」

「お願いします」

「あ、はい!よろしくお願いします…」

唯斗達は里の奥の一番大きな木の上にある宮殿に案内された。


「私はこの里の長ウェイラン…まずはよく来てくれた。そして突然呼び出してしまって申し訳ない…異世界の人間よ」

「いえ別に…」

(あのままだったら死ぬまで同じ様な日常が続くだけだ…)

唯斗はこの世界に呼び出された事には全くと言っていいほど怒りを抱いていなかった。

「でも聞かせてくれるんですよね。この世界に俺を呼び出した理由を…」

「ああ、我々ユグドラシルの住人には無い力が必要となったからだ…神に見捨てられた者にしか無い力が…」

「俺にしか無い…力?」

「そこの学生…ラオファルは見たであろう。彼の力の一端を」

「はい…ウルズヘジンとの戦いの時に」

「俺をそのウルズヘジンという奴らと戦う為に呼び出したのですか?」

唯斗はウルズヘジンが何者なのかが気になっていた。ユング教授は知らなくても、エルフの里の長であるウェイランなら知っているかも知れないと思っていた。

「ウルズヘジンは危険な武装集団だ…この世界の多くの国で未知の技術を使って破壊行為を繰り返している。…殆どの国家は奴らの攻撃に対処できずにいる。」

「この里も攻撃を受けたのですか?」

「ああ…我等も全力で対抗した故被害は少なく済んだが…っ…娘を…拐われてしまったっ…」

今まで平静だったウェイランの声が震え始めた。

「だからウルズヘジンと戦う為に…俺を…」

「そうだ…ウルズヘジンの技術…奴らの技術は見捨てられた世界のものかもしれないのだ」

「見捨てられた世界の…じゃあウルズヘジンも俺と同じ様な連中なんですか…?」

「そこまでは判らないが…とにかくここに来てくれた事に感謝する…頼み事も聞ける範囲なら叶えよう」

それを聞いた唯斗は前にいた世界で一番好きだったものを思い浮かべて、それに関する願いを頼んだ。

「自分がいた世界で聴いていた音楽をこっちでも聴きたいんだけど…」

「それなら大丈夫だ。すぐに聴ける環境を用意する」

「ありがとうございます」

(家に帰れるかも分からないのに音楽が聴けるというだけでここまで安心するとは)

唯斗は自分自身の元の世界への執着の薄さには戸惑っていた。

「おぬしの為の部屋も用意した。来たばかりだしゆっくりするといい…」

そうウェイランが言った所で先日の学園と同じ様な地響きが聞こえた。

「…!この地響きは…また奴らが!」

「その様だ…私が迎撃に向かう」

「俺も行きます!」

「…分かった。無理をするでないぞ」

唯斗とウェイラン、そしてラオファルはウルズヘジンを迎撃する為に里の入り口に向かった。

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