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9話:フェリシア・シルエイティという女性と、双子の付き人

前回の簡単なあらすじ:フェリシアはルークのことが気になる。


ルーク視点に戻ります。家族と話した後の話です。


11/23 行間の変更と、少し改稿を行いました。

 家族との話が終わった後は、みんなで久しぶりに会食し、入浴を済ませて、今は自室に戻っている。そしてベッドに横になり、ボクはフェリシア様について考えた。



 フェリシア・シルエイティ。

 五大公爵家の一つであり、宰相を代々受け継いでいるシルエイティ公爵家の一人娘にして、2,3年ほど前に新設された、女性騎士だけで構成された近衛騎士団『翠の風』の団長でもある。剣術と風魔法を同時に操る攻防一体の戦法は、国内においては無敗を誇り、『風の戦姫』の名で我が国最強の1人と呼ばれている。

 容姿も整っており、綺麗な金色の髪をポニーテールにし、風に靡かせ颯爽と歩く姿は、大変絵になる。学生時代はそれはもうモテていた。身長も女性にしては高く、凛としたその佇まいも人気の一つで、男子生徒だけでなく、女子生徒からの熱い視線も集めていた。かくいうボクも、フェリシア様がいるとなると、ついつい目で追ってしまっていた。


 その一方で、あまり人の輪の中に入らず、特に男子生徒に対しての当たりが厳しいこともあり、「男嫌い」「人嫌い」という噂もある。とはいえこれは、男子生徒が向ける視線の多くが邪なものであり、フェリシア様の容姿や家柄に寄ってくる者が多いなかでの、一種の防衛措置だったと思われる。現に女子供や街の者と会話をする際には、柔らかい笑みを浮かべて接する様子が見られるそうだ(『翠の風』に所属する顔馴染みから聞いた)。



 そんなフェリシア様が、まさかボクの婚約する(予定の)相手だと、誰が予想できるものか。しかもボクと同じ日本人転生者。あ、そういえば『学年次席』ってところも一緒か、まあ今は関係ないな。ライセン様も思いきったことをしてくれる…。

 いや、婚約が嫌なわけではない、むしろ嬉しい。なんせ美女とお近づきになるどころか、結婚できるのである。喜ばない男はまずいないだろう。しかもボクは、前世からずっと彼女がいないのだ。心のなかでは狂喜乱舞真っ最中である。

 しかし、それは相手も同様か、似たような心境であればである。相手がいやがっていたら、素直に喜べない。ううむ…



「…そんなに気になるなら、ご本人様に直接お聞きしたらよいでのはないでしょうか。」

 ボクがベッドの上で悶々と考えていると、ずっと近くに控えていたルアーノが、ホットミルクを差し出しながらそう言ってくる。隣ではアニーが、普段はクールな目元を緩ませて微笑んでいる。


 二人は双子の執事とメイドで、今年で24歳。ボクの専属として、二年前から仕えてくれている。灰色の長髪を、かたや後ろで一くくりに、かたやお団子にしてメイドキャップを装着している。落ち着いたデザインの燕尾服と、ロングスカートなメイド服をそれぞれ着ており、まさに『ザ・執事、ザ・メイド』といった服装である。

 ルアーノは若干背が低いものの、二人とも容姿は整っており、ボクに仕えてなかったら、今頃良いとこにもらわれてたと思うと、いつも申し訳なく思ってしまう。二人とも、公爵家までついてくるということなので、そこでの出会いがあることを祈る。


「でもそれって、相手に失礼になる場合もないかな?」

「お二人は面と向かって会うのは明日が初めて。気になっていることは、早めに聞いたほうが良いと、(わたくし)たちは考えています。」

「それに、夫婦になるかもしれない相手に遠慮していては、円満な関係は築けないと思いますよ?」

 アニーとルアーノが、交互に意見を言ってくれる。確かに、二人のような考えもあるな。よし、

「二人とも、ありがとう。そうだね、気になることは、直接本人に聞いてみることにするよ。」

「お悩みが解決されて、良かったです。

 ーーところで、ルーク様。」

「ん?」

 アニーが真剣な顔になる。


「フェリシア様は(よこしま)な感情に敏感です。くれぐれも、フェリシア様の体でよからぬ妄想をしたり、間違ってもスリーサイズを尋ねられてはなりませんよ?」

「いやそんなことしないからね!?ボクがどれだけ母さんに鍛えられたと思っているの!?ポーカーフェイスくらいできるから!」

「…そこは、心を無心にするとか」

「あのナイスバディを見て、無心でいられるわけないでしょ!?」


読んでくださり、ありがとうございました。

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