8話:明日が楽しみなお嬢様
前回の簡単なあらすじ:ルークは学年次席!
前回のあとがき通り、今回はヒロインのフェリシア視点でお送りします。
…短めです。女性視点は難しい…
11/23 行間を少し変更しました。
12/11 改稿しました。
お父様からのお話が終わり、ワタシはそのまま自室に戻った。そして、先ほどの話の内容を振り返っていく。
自分に婚約者がいたというのは驚いたが、相手も同じ日本人転生者で、年も2つしか変わらない。加えてあのお父様をして、『理想的な好青年』と言わせ占めたという事実に、とても興味が沸いた。つまるところ、ワタシは明日のことがーー
「ふふっ、とても楽しそうね。」
「!!?」
慌てて声のした方を見ると、扉の隙間から部屋をのぞきこむお母様の姿があった。ウェーブのかかった金色の髪を腰まで伸ばし、おっとりとした性格をしており、一緒にいるととても落ち着く人だ。ーースタイルもよく、時々男性はよそよそしくなることがあるのは仕方ない。
それにしても、お母様相手とは言え、接近に気づかないなんて。いつもは人の接近には、もっと注意を払っているのに…
「ちょっとお母様!」
「あらあら、淑女たる者、お部屋で大声を出してはいけませんよ?」
「~~~~!!」
「うふふ、そんなに明日が楽しみなの?ルークくんが来るのが。」
「い、いいじゃない別に!ちょっとくらい興味持ったって。」
「そうねえ。少なくともわたしが知る限りでは、転生者はわたしとアレク様、ルークくん、そしてあなたの四人だもの。多少気になるのも分かるわ。」
そう、実はお母様も転生者なのだ。記憶が不明瞭らしく、時々話が合わないこともあるが、先王陛下とお話をするようになるまでは、ワタシが言動に気を使わず話せる相手は、お母様だけだった。そのため、ワタシをいつも支えてくれたお母様には感謝している。
「とはいっても、そのルークって子がどんな奴か知らないと、少し心配でもあるわ…」
「その心配はないと思うわ。わたしは面と向かって会ったことはないけど、アレク様にお願いして、3人のお茶の様子を見たことがあるもの。陰からこっそり」
「何やってるの、お母様?」
時々、お母様はこうしたアグレッシブな行動を見せる。というかいつの間にそんなことを…
「まあいいじゃない。そのときの会話を何回か聞いたのだけど、少なくとも女性を大切にするタイプだし、浮気とか重婚もしないと思うわよ。」
「…なんでそう言い切れるの?」
「さあ?ただ、彼の話しているところを見て、なんとなく思っただけだもの。でもいいじゃない。あなたはそういうの気にするタイプだし、きっとあなただけを愛してくれるわよ。」
そう言われると、少しこそばゆい気持ちになる。日本人としての記憶があるワタシとしては、読んでいたラノベやマンガでハーレムの知識はあったし、騎士団の中にも妾の子だという子がいることも知ってはいても、相手に重婚はして欲しくない。そういう意味では、ルークという男はちょうど良いのかもしれない。でも…
「まあ、今そんなに悩んでも仕方ないんだから、明日会ってはっきりさせれば良いのよ。」
「…それもそうね。ありがとう、お母様。今日はもう寝るわ。」
「おやすみなさい、いい夢を。」
お母様が部屋を出ていかれて、ワタシは目を瞑る。とりあえず、明日会ってみたらいい。考えるのは、その後でも良いだろう。
読んでくださり、ありがとうございました。
当分、女性視点は書けそうにないですね。要修行です。
捕捉させていただくと、ルークはエミリーさんと会ったことがなく、エミリーさんが転生者であることを知りませんでした。
次回は、ルーク視点に戻ります。