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6話:「愛しのマイエンジェル!!」

前回の簡単なあらすじ:日本人の転生者は、日本あるあるで分かる。


今回は、宰相視点です。

時間帯は、お茶の後(ルークが家族と話している時間帯と同時刻)です。


9/27 エミリーの紹介文の一部を変更しました。

9/30 エミリーの年齢を変更しました。

11/23 行間を少し変更しました。


 お茶が終わり、ルークくんが帰ってから、私は残りの仕事を済ませ、普段より早く屋敷に戻った。あまりに早く帰ったものだから、妻のエミリーは不思議そうにしていたが、「ルークくんとフェリシアのことだよ。」と伝えると、満面の笑みで抱きついてきた。


 エミリーはエルフ一族の族長の娘で、私が高等部に進学したときに婚約し、18歳のときに結婚した。エルフは私たち普通の人間より3倍近く寿命が永く、見た目が若々しい期間が永い者が多い。エミリーは今年で100歳と、私よりもはるかに上だが、見た目は20代中頃に見える。

 はじめの頃は上手くやっていけるか心配だったが、一緒に過ごして、彼女の優しさと利発さに触れるうちに、相思相愛の夫婦仲になっていた。彼女を残してこの世を去ることになろうことは申し訳ないが、彼女には、ぜひ幸せに、その後の人生を歩んで欲しいものだ。

 今ではエミリーと過ごすひとときが、私にとっての癒しである。ーーその光景を見て、娘のフェリシアがゲンナリとした表情をするのは、少し悲しいけどね。



「あら、お父様もう帰ってたの?」

 しばらくして、私の目の前に天使が現れた。母親譲りの綺麗な金色の髪は背のなかほどあたりまであり、普段は頭の上の方でひとつ結びにしている。エミリーいわく『ポニーテール』というらしく、とても似合っていて可愛い。顔立ちは全体的に整っており、やはり可愛い。身長は女性にしては高く、170近くあり、騎士として人々を守る姿は健気で、とても可愛い。それにプロポーションも…

「それ以上言うな!!!!!!」

「おっと」

 突然目の前の天使が大声を出したので、そちらを見れば、顔を真っ赤にさせて、プルプルと震えていた。どうやら今の言葉全部が声になっていたらしい。それにしても、いつも言っているのにいまだに恥ずかしがるなんて、なんて可愛いんだろう。

「やっぱり可愛いよ!フェリシアちゃん!!!!!」

「やめてって言ってるでしょ!!!!!!」

 そう言って、ますます顔を赤くさせるフェリシアちゃん。うん、めちゃくちゃ可愛い。

 そう、この天使こそ、我が愛しの愛娘、フェリシアちゃんである!



 婚約の話を始めたのは、3人とも入浴を済ませ、夕食を食べて、しばらく経ってからである。

「そんな話、聞いてないんだけど。」

「ごめんね、相手の父親との約束だったんだ。」

 そう言って、ルークくんに見せたものと同じ手紙を見せた。しばらく読んで、フェリシアちゃんは目線を上げて、私に尋ねてきた。

「相手がこの条件を指定してきたってことは、お父様からこの話を持ちかけたのよね?だったらなんで、今まであんなに見合いがあったのよ?」

 フェリシアちゃんは、少し怒ったような顔をしている。真面目なフェリシアちゃんのことだから、こっちから縁談を持ちかけたのにたくさん見合いをしてきたことを非難したいのだろう。本当に見合いにうんざりしていたという理由もあるだろうけど。

「それもズァークとの約束でね。『子どもたちには出来る限り自由恋愛を』ってことだったから、持ち込まれた縁談は、なるべく受けるように、とのことだったんだ。その結果、君を傷つけてしまったことは、本当に申し訳ないんだけどね。」

 私の言葉に、フェリシアちゃんは少し苦い顔をした。


 ウチは国内に5つある公爵家の一つで、そのうえ宰相を代々引き継いでいる、王家の側近中の側近である。娘1人しかいない私の息子になれば、宰相になれる可能性はきわめて高い。そのため、フェリシアちゃんがまだ幼いころから、ぜひ婚約をという声はたくさんあった。

 加えてフェリシアちゃんは美しく、女近衛騎士団団長の立場もあり、とてもモテた。年々増加していった結婚の申し込みに、フェリシアちゃんだけではなく、私やエミリー、家臣の者、さらには女近衛騎士団の子たちも、うんざりしていた。



「それにしても、ルーク・ゼネルって確か、あれよね、あの《器用貧乏》って言われてる。」

「うん、そのルークくんであっているよ。」

「確かにこの男の悪い噂は聞かないわ。でも特段良いって話も聞かない。彼が私と同じ“日本人の転生者”で、話が合うと思った、って理由も分かる。でもなんでそんな男を指名したの?それも8年も前に。」


 フェリシアちゃんの言うことはもっともだ。本来私は、懐に入れた相手にしか素を見せないし、仲良くしようともしない。

 しかし、ルークくんと接してみて、私は彼が気に入った。そして彼が年々成長するごとに、その思いは強くなっていった。


()()()()()、確かにはじめは、君と気が合いそうだと思って、ルークくんと接してみた。実際その程度のことで、彼の父であるズァークに、婚約を持ちかけてみた。

 でも、ルークくんと話しているうちに、本当に気に入ってしまったんだ。そして彼はそのまま、いやそれ以上に強く、そして理想の好青年に成長していた。

 ーーもし君が本気で気に入ったなら、君をルークくんにあげて、二人で好きなところへ行かせてもいいーー。そう思えるくらいに、彼は良い青年だよ。」


 そう言ったときのフェリシアちゃんは、それはもう凄く驚いていた。

読んでくださり、ありがとうございました。

ご覧の通り、ライセンさんは親バカです。


12/16 キャラの身長設定を消去しました。


次回も宰相視点でお送りします。

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