表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/31

5話:ボクたちは転生者

本日二本目の投稿になります。


前回の簡単なあらすじ:選ばれた理由が『転生者だから』だった。


9/27 いくつか追記しました。

11/23 行間を少し変更しました。

12/11 アレクサンダーさんを先王に変更しました。

 ーー時は、アレク様とライセン様とのお茶をしている場面に遡る。


『実はね、フェリシアは“前世の記憶”を持っているんだよ。それもキミや陛下と同じ“日本”のね。』

『え、それは本当ですか?』

『うん。アレク様が確認したら、そうみたいだったよ。』

『ワシも最初は何も感じとらんかったんじゃが、よく考えると、ワシの言葉に違和感を持たんかったのは、あの子だけじゃったんじゃ。』

 そう言って先王陛下は、ひとつ間を開けて、ボクに尋ねた。


『おぬしは、教官から真っ先に逃げたものと、10番目に逃げたもの、どちらがより臆病者だと思う?』

『何ですか、その“五十歩百歩”の例えのような話は』

『そう、まさにそれじゃ。ワシもその話を聞いたとき、同じようなことを言ったのじゃが、その時フェリシア嬢だけ反応していての。この国にそんな言い回しはないからの。まあそれだけならたまたまの可能性もあったのじゃが…』


 その時以外にも、アレク様が“日本で使われる”言い回しを使うたびに、フェリシア嬢は反応していたらしい。極めつけは、

『フェリシアがまだ中等部に上がったばかりの頃の話なんだけど、同じクラスでなかなか剣の腕が上がらなくて、悩んでいた騎士志望の女の子がいたらしいんだけど、そのときその子に、“桃栗三年柿八年と言いますし、少しずつ頑張って行けば良いのです。”って言ったらしいんだ。それを聞いても誰も意味がわからなくて、その場の全員がきょとんとしてしまったらしいけどね。』

『それは確定ですね、少なくとも“日本を知ってる人物”です。』


 この国はエルフとの交流が深く、広大な果樹園を所有しているのだが、桃や栗、柿など、日本で馴染みのある食べ物のいくつかが存在しない。他国全ての情報を網羅したわけではないが、知っている限りでは、存在を聞いたことがない。

『で、それで少し慌てたフェリシアを、たまたま視察に来ていたアレク様が見つけて、話を聞いた結果、フェリシアが“元日本人の転生者”だとわかったんだ。』

『ワシとしては、驚き半分、喜び半分じゃったぞ。なにしろ当時はおぬしが転生者じゃと知らんくて、日本の会話ができる相手がおらんかったからのぉ。お米が食べたくなる、とか』

『わかります。』


 そう、実はお米も見つかっていないのだ。

 そしてここまでで気づくとは思うが、アレク様も日本からの転生者なのだ。そのためこの国には、それとなく日本で馴染みのあるものがあったりする。郵便システムの確立や上下水道の整備など、アレク様が国王であらせられたときの功績は数多くある。


 閑話休題(それはさておき)


 確かに現状、この国で日本からの転生者と確認できる人は、ボクを含め3人。1人は陛下だから、話が分かるボクが婚約者の候補になることは、まあ理解できる。しかし、しかしである。

『ライセン様、私はあくまでもただの子爵家の長男です。確かに父はライセン様と懇意にさせていただいているとはいえ、さすがに不釣り合いではありませんか?』

『そこは大丈夫だよ。誰が相手でも、取り込んじゃえば一緒だし。それに、今のキミなら、安心して任せられるし、そもそも今のこの国では、キミが一番ふさわしいからね。』

『え?』

 前半の言葉にはぞっとしたが、後半の意味はわからなかった。ボクが適任とはどういうことだろうか。気になったが、それ以降ライセン様はニコニコとしているだけで、何もわからないまま、お茶の時間は終わったーー



「ーーと、いうわけなんだ。」

 今日のお茶の内容を、四人に話し終わったのだが、トールとフィーアは複雑そうに、父さんは疲れたように、そして母さんはあらあらと言いながら。みんな程度はあれど、呆れたような顔をしていた。

「相変わらずだね、兄さんのそういう無自覚なところは。」

「兄さん、鈍すぎ。」

「まあ、調子に乗っていないと分かるだけ、幾分かマシか。」

「ルークちゃん、あなたはそのままでいてね。」

「???」

 ーーますます意味がわからない。


読んでくださり、ありがとうございました。


次回は、宰相視点でお送りします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ