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15話:天使が現れた

前回の簡単なあらすじ:ライセンさんがお出迎え


まあ、タイトル通りです、はい。


 屋敷内に入り、ライセン様についていく。調度品はどれも高級感がありつつも派手さはなく、主張の激しさは感じない。それらが整然と並び、ここでも屋敷の落ち着いた雰囲気をかもし出している。フェリシア様と婚約し、結婚したらここに住むと考えると、うん、急に緊張してきた…

「ん?ルーク、お前今更緊張してどうする。」

「いや~、ここまで落ち着きがあると、むしろボクが場違いな気がしてきて」

「はっはっは。安心したまえ、私や陛下とのお茶も、結局すぐに慣れたキミのことだ。すぐに慣れるさ。」

「ルークちゃん、昔から適応力は高かったもんねぇ。慣れるまでが早いもん。」

 ライセン様の発言に、母さんが賛同する。まあ、そう言われるとその通りなので、実際すぐに慣れそうである。



 屋敷内の案内は後でするということで(“誰がする”とは聞いていない)、まずは応接室に通された。

 そこには使用人とともに、美しいエルフの女性がいた。金色の髪を頭上で一まとめにし、清潔感がある。顔立ちも美しく、ややたれ目で柔和な印象を受ける。背筋の伸びたその立ち姿は、淑女の(かがみ)と言えるだろう。おそらくこの方は、


「ようこそおいでくださいました、ルーク・ゼネル。ライセンの妻、エミリー・シルエイティです。ズァークさんとフェルトちゃんも、お久しぶりですね。」

「ご無沙汰しております、エミリー様。」

「ヤッホー、エミリーちゃん♪久しぶり!」


 やはり、ライセン様の奥様だった。父さんと母さんの返事の差が気になるところだが、それにしてもお若く見える。エルフは我々人の寿命の約3倍生き、若い姿の期間が長い者が多い。いったいおいくつなんだ。

「ふふ、私は今年で100歳になります。」

「…!申し訳ありません。顔に出ていましたか?」

「いいえ。ただ、やはり気になる方は多くいらっしゃるので、前もって言うようにしているのです。」

「そうでしたか。とはいえ、女性に自身の年齢を言わせてしまい、申し訳ありません。」

「いいですよ、いつものことです。」

 そう言ってもらい、少しほっとした。


「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。フェリシアなんて、何回も何回も今日着る服を試着して、それでもこうして出てこられないでいるんですから。」

 そう言って、エミリー様は苦笑いを浮かべる。なるほど、だから先ほどからフェリシア様の姿が見えなかったのか。フェリシア様も緊張しているのかな。


「もうそろそろ来ると思うのですが…、あ、来たみたいですよ。」

 そう言われて、ボクは何とはなしに入り口に目を向けた。するとそこには、










































「お待たせして、申し訳ございません。ライセン・シルエイティの娘、フェリシア・シルエイティでございます。」












































 天使が現れた。

 整った顔立ちは、美しさと意思の強さを感じさせ、けれども威圧感を与えない、柔らかい笑みを浮かべている。

 金色の髪をポニーテールにしており、乳白色の肌によく似合う。

 背は少し高めでスタイルがよく、起伏の大きな様は、女性の憧れだろう。オフネックラインの(みどり)のドレスに身を包んでおり、清涼感を与えつつ、スリットの入ったところから、足の付け根付近まで見える右足が、ほんの少し色気をかもし出している。


 今まで、ライセン様の娘自慢は、お茶のたびに聞いてきた。そのときは、遠目でしかお見受けしたことがなかったので、美人だとは思っていたけど、「娘にちゃんつけたり、天使とかどうなの」と思ってきた。しかし、それはあまりに過小評価が過ぎていた。今ボクの目の前には、まさしく天使が現れーー



「ーーい、お~い、ルーク。返事をしなさい、失礼だぞ。」

 父の声にはっとして、すぐさま返答をした。

「ゼネル子爵家長男、ルーク・ゼネルと申します。返答が遅れて申し訳ございません。」

「かまいませんよ、それだけ(わたくし)の美しさに見惚れていたのでしょう?」

 そう言って、フェリシア様が不敵な笑みを浮かべる。あ、ヤバい。ホントウツクシイ。

「はい、まさにその通りです。」

「ええ、そうでしょうそうでしょう、って、え?」

 ここで、今まで少し余裕を感じられた顔が、赤く染まり出した。可愛い。

「実は、今まで何度かお見かけしたり、ライセン様からお話を伺っていたりしたのですが、想像以上の美しさに、しばらく天使と見間違えておりました。」

「~~!?って、お父様、ワタシの知らないところで変なこと言ってないでしょうね!?」

「まさか。フェリシアちゃんがいかに可愛いかしか語ってないよ?」

「それが変なことなのよ!!」

「もう、駄目ですよ、フェリシア。素が出ちゃってるわよ?」

「ね、ルークくん、フェリシアちゃんは可愛いだろう。言われたら恥ずかしいのに、余裕を見せるために少し強気な態度を作るところとか。」

「はい、ライセン様。今までの私が浅はかでした。」

「こら~!!!!!!」

 フェリシア様が、お顔を真っ赤にされて、大声を出す。その姿も大変可愛らしかった。

「ちょっ、そ、そんな目で見るな~!!!!!!」



「兄さん、もう馴染んでるね。」

「さすが…」

「ま、ルークとライセンは同類だからな、性格的に。」

「さすがルークちゃん♪」

読んでくださり、ありがとうございました。


やっと第一関門にたどり着きました。

書きたいシーンは山ほどありますが、難所はここから。

楽しみに待っていていただけると幸いです。


なお、途中にある長い空白は、

そのままルークが受けた衝撃を表しています。

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