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14話:到着「よくぞ来てくれた!」

前回の簡単なあらすじ:ルークはクインテットのお友達


ルーク視点に戻ります。

 ルアーノからの報告から数分後、ボクたちはついに、ライセン様のお屋敷である、シルエイティ公爵家に着いた。シルエイティ公爵家は王都に程近く、馬車で2,30分すれば着く距離だ。そのため出発するときになって、父が「乗馬して行きたい」と言い出したときには、同乗メンバー全員で説得した。さすがに冗談であったらしいが、今までが今までだっただけに、少し焦った。



「「……」」

 門の前に着くと、トールとフィーアが呆然としている。結構間抜け面をさらしているが、仕方ないだろう。なにしろ、

「やあやあ、よくぞ来てくれた、ルークくん!

 ズァークとフェルトくんも、久しぶりだな。」

「相変わらずだな、()()()()

「お久しぶりです、()()()()()。」

 そう言って、父が出迎えてくれた人物と握手をし、母が(うやうや)しく一礼する。


 ーーそう、なんと出迎えてくれたのが、当主であるライセン様ご本人なのだ。陛下や他国の要人を迎えるなら分かる。だが一子爵家の出迎えに、わざわざ宰相閣下本人が来るのはどうなのか。ボクはお茶に何度も誘われて慣れたが、トールとフィーアはあまりの驚きで、挨拶が遅れてしまう。


「ふむ、キミたちが、ルークくんの弟くんと妹さんだね。」

「は、はい!弟のトールです、と、申します。本日は、私たち弟妹もお招きくださり、ありがとうございます。」

「妹のフィーアです。」

 おお、トールがこんなに慌てているところ、久しぶりに見た。フィーアはいつも以上に声の抑揚がない。二人とも、相当緊張しているなあ。


「おい、ライセン。お前がいつも通りに自分で出迎えるから、二人がガッチガチになったじゃないか。どうしてくれる。」

「「!!?」」

「ズァークさん、いくらお友達だからといって、宰相様にその発言は失礼よ。

 ごめんなさい、ライセン様。二人の緊張をほぐすためのダシにしちゃって。」

「「!!!?」」

 両親の発言に、二人がこの世の終わりのような顔をしている。当然だ。相手は公爵、それも宰相閣下だ。いくら父がライセン様と仲が良いと聞いていても、生きた心地はしないだろう。


「おお、それはしまった。すまない二人とも。いつもはズァークかフェルトくんしか来ないからね、そのテンションで出迎えてしまったよ。」

 もっとも、ライセン様は温厚な人だ。加えて、父であるズァークにはむしろ、私的な場では昔のままで接して欲しいと言っているらしい。二人はほっと息をつき、それから一礼した。それを見て、ライセン様は嬉しそうに頷く。

「ルークも初めて来たのに、落ち着いているな。」

「はい、以前お聞きしたことがあったので。」


 ライセン様は、威圧的な態度を滅多に取らず、温厚な宰相として知られているが、他人に素を見せることもないそうだ。先王陛下いわく、ある程度心を許している相手にのみ素を見せているらしく、父がその一人だ。そして、その相手のことはとても大切にするらしく、家に招く際には自分から出迎えるほどなのだそうだ。つまり、「ライセン様に出迎えられる=ライセン様のお気に入り」と解釈できる。ライセン様のような方からの覚えが良いというのは、やはり嬉しいものだ。

 もっともそれが知れ渡れば、羨望と嫉妬の両方の視線を集めてしまうため、そのことを知るのは、先王陛下と現国王陛下、父、そして他の公爵家の方々の、ごく一部のみになっている。


 閑話休題(それはさておき)


「それにしても、素敵なお屋敷ですね。」

「ありがとう、ルークくん。ところで、どのあたりでそう感じたかい?」

「華美過ぎず、それでいて品の良さを感じられるところですかね。設計士の方のセンスの良さに脱帽です。」

 見える限りでは、広大な庭は綺麗に整備されており、門から屋敷の入り口までの道の横は、季節の花で彩られている。華美過ぎず、それでいて優雅さも感じられる、この国の側近中の側近と呼ばれる方にふさわしいと言える。屋敷本体も、大きさや装飾などで家の格の高さを表しつつ、綺麗にまとまっており、趣味が良い。ライセン様の代になって、改修工事を行ったそうだが、そのときの職人たちは、良い仕事をしている。


「いや~、こうして分かりあえるというのは、嬉しいものだねぇ。やはり、キミをフェリシアちゃんの婚約者にして正解だったよ。あの子と同じところを気にいるとは。」

「そうなのですか?」

「フェリシアちゃんいわく、あんまり派手だと疲れるから、好きじゃないんだって。部屋の方も、ベッドと机と本棚くらいしかないし」

「ほお、ルークの部屋とそっくりだな。」

 ここまで共通点が多いと、さすがに驚くなあ。



「おっと、話が長くなってしまった。続きは中で話そう、ついてきておくれ。」

 ついに屋敷のなかに入る。フィーアが少しそわそわしだした。フィーアはフェリシア様に憧れがあるから、いつになく興奮している。かくいうボクも、少し緊張している。気が合うと良いなあ。

読んでくださり、ありがとうございました。


ごめんなさい、まだ会えませんでした。

前話で期待してくれていた方、申し訳ありません。

屋敷の前で終わってしまいました。


次回こそ会います!


12/13 改稿しました。

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