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黒鉄の魔人  作者: 百鬼幽
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CHAPTER1 異世界生活のススメ

更新は不定期。仕事の合間にできるだけ。それでもよければ末永くよろしく

 「只今をもって第84回コミックシティを終了します。皆さん、また冬にお会いしましょう!」


8月15日午後5時。夏の祭典が幕を閉じ帰路に着く人々。連日更新された酷暑と祭典により人間の限界まで身体を酷使した人間達は、歴戦であろうと新兵であろうと等しく疲れきっている。ある者は戦利品の山を抱え、ある者は今期の人気アニメがプリントされた紙袋を何枚も引っ提げている。


キャリーバッグを引きながら大階段を下る一人のコスプレイヤー。大型のそれには彼が1ヶ月かけて創作した人気ゲームのキャラクターの鎧と装備1式がパズルのように押し込まれていた。暑さと人混みで細かい塗装や装飾が壊れているものの、彼のコスプレイヤーとしての造形スキルはテーマパークのセットや舞台の小道具などにも引けを取らない。細かいパーツならばともかく、本体はちょっとやそっとでは壊れない自信がある。振り返ると特徴的な逆三角形の展示場が夕日に照らされていた。夕方とはいえ夏の日はまだまだ沈む気配はない。


「また冬にな!」


1年に2回の祭典が終わると季節の変わり目を実感する。


「さて、()()どうするよ」


展示場の大階段の先、最寄り駅には帰路に着く同士諸君であふれていた。あれでは改札は入場制限がかかっているだろう。毎度の事ながら帰るまでが遠足である。が、帰る道程も試練に満ちているのがオタクの祭典なのだ。色々と鍛えられるものである。が、ふと気を抜くと目の前が一瞬暗くなり、立ちくらみをおこした。


(あ、まずい。熱中症か。無理したつもりはなかったんだけど)


段々と立ちくらみが酷くなってきたので階段途中で端に寄り、カバンからスポーツドリンクを取り出し口に含む。真夏の酷暑は歴戦の参加者でも油断をすれば熱中症になる。そうならないようにしていたのにこのザマだ。


【やあ、教授。今年の夏も有意義に過ごせたようでなによりだ。フラフラだが、なあにじきに済むだろうよ】


誰かの声が聞こえる。階段の上からだろうか。他にも沢山の人がいるがそれが自分に向けての言葉だと何故か理解ができた。


【急な話で申し訳ないがね。君がいればいい塩梅になるだろうと考えたのだよ。流行りのチートはないが、君ならばなんとでもできるようにはなるだろうさ。なんといっても我らは君の大ファンなのだからね。期待しているよ教授】


何が。と言う前には視界が暗転し意識は彼方へ。


紹介が遅れた。俺はカナメ。コスプレイヤー仲間には教授と呼ばれている。ただのコスプレイヤー兼役者志望。それが俺だった。

まだまだ続くよ

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