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霞んだ桜色(29)

「ううん、あの子を守ってあげれるのは僕だけなのに……。はは、他人の悩みを解決している場合じゃないのにね……」


 彼の声が消えていく前に、横から後輩が胸を張って踏み出してくれた。その横顔は、もう落ち込んでいた時とは別人のように頼もしかった。


「お爺様がどんな気持ちで居たとしても、私が救われたのは事実です!だから……、そんなに自分を責めないで下さい。悩みは独りで解決出来ないって教えてくれたじゃないですか!私が協力しますから!」


 後輩が誰かを励ましているのを、初めて見た気がした。私も励まされてきた、どこか安心出来る楽器のように透き通る高音が、私の胸を叩いた。


「そうですよ!さっきは断っちゃったけれど、もしお爺さんもドレスを着て欲しい、着ても大丈夫と言うのなら、あの子のためにも着ますよ!あの子のお母さんも、あんな悲しい姿を見守るために、あの公園を作った訳じゃないですから!」


 彼は、公園のベンチで寂しそうに座る少女を一度見つめてから、私達を濡れた大きな瞳で真っ直ぐに見てくれた。


「君達は、本当に素敵な人だね……」


 夕陽を閉じ込めたような、綺麗な涙が落ちていった。

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