表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/121

霞んだ桜色(24)

「すごいでしょ!」


 少女は自慢げにドレスの横まで行って、微笑みながら首を傾げていた。


「うん、本当に綺麗ね」


「確かに綺麗だけど、あんたこれって……」


 後ろから覗きながら後輩が消えそうな声で呟いた。


「うん!お母さんのだよ!結婚式で着るの!」


「結婚式……」


 言葉が詰まってしまった。少女の言い方は、自分が大人になったら着るという意味を持っていなかった。きっと結婚式は行われなかったのだろう。


「そんな……、そんな大事な物、着るわけにはいかないよ」


 思わず後退り、後ろにいる後輩とぶつかって変な声を出してしまった。


「大丈夫ですか?」


「うん、大丈夫……」


 思ったより動揺してしまった私を、後輩はしっかりと肩を掴んで受け止めてくれた。


「あんたが着て欲しいのは分かるけど、その……」


 後輩も言葉を選んでしまっている中で、少女の目は逆光の中でも力強く光り続けていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ