113/121
霞んだ桜色(21)
「私も何かあったら相談させて頂きますので、これからもよろしくお願いしますね」
「……う、うん。その、ありがとう」
彼の手は冷たくて、微かに震えていた。
「やったー!みんな友達だね!」
「ちょっと、あんまり揺らさないでよ」
「ふふ、嬉しそう」
「ああ、こんなに嬉しそうな顔を見れたのは久しぶりだよ……」
安心するように微笑んでいる彼の顔と、心から楽しそうに笑う少女を見ていると、自然と私まで笑顔になっていた。
「あ!そうだ!お爺ちゃん!」
「うん。どうした?」
「あれ!先生に着てもらおうよ!」
「え、あれをかい?」
握っていた彼の手が更に震えて、私の手から離れて行った。
「うん!ねえ、良いでしょ?」
「ちょ、ちょっと待って。うーん……」
彼は両手で口を抑えて、目頭を強く押して考え込んでしまった。