表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/121

霞んだ桜色(14)

「ありがとうね」


「て、店長!」


 思っていたよりも目の前にある後輩の顔が、どんどん赤くなっていき、こっちまで恥ずかしくなった。


「い!いつから起きてました?わわ!」


 軽い羽毛布団ごと後輩を包み込んだ。


「ふふ、今起きたってことにしておいてあげる」


「ちょ!ちょっと!苦しいですってば!どうしたんですか急に」


「可愛い後輩がやきもちを妬いていたから、つい可愛くなってね」


「あー!やっぱり起きていたんじゃないですか!酷いですよ!」


「ごめんごめん。ちゃんとあんたの前でもはしゃぐようにするからさ」


「もう!恥ずかしいから忘れて下さいよ!本当に坊主にしちゃいますよ!」


 布団に埋れてバタバタと両手を動かしている彼女の頭を、そっと撫でた。ゆっくり噛み締めるように。


「いつもありがとうね。必ず幸せになるのよ、約束だからね」


「はい、必ず幸せになります。もう吹っ切れました、あいつらに後悔させてやりますよ」


「ふふ、その意気よ。何だか包丁で刺し殺しちゃいそうな勢いだけどね」


「そんなことしませんよ!もう、飛び切り可愛くなってやりますよ!そして店長や先生より凄い美容師になってやります!もう怒りました!」


「うんうん、あんたなら本当になれるかもね。怒らせると恐いし、ふふ」


「ええ、私はやりますよ!見てて下さいね!」


「うん、元気になって良かった。応援しているからね、何があっても私は味方だから、頑張るのよ」


「はい!」


 窓から差し込む光が、気付けば西日となって部屋をオレンジ色に染めていた。黄金色に輝く壁の桜が、酷く綺麗で目眩がしそうなくらいだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ