表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/121

霞んだ桜色(14)

「……店長」


 後ろから誰かに呼ばれている。薄っすらと白い光に包まれて、少女と母親が霧のように見えなくなっていく。


「……まだ寝てますか?可愛い寝顔、酔うとあんなに荒れるのに。もう、本当にキスしちゃいますよー」


 ああ、やっぱり夢だったのかという脱力感を、一気に上書きするくらい恥ずかしくなる後輩の呟きに、動けずに固まってしまった。


「もう、人様の家で眠り姫になっちゃって。目覚めのキスをする王子様は、今頃二日酔いでしょうけれど。はあ、店長取られちゃうの嫌だなー」


 顔が赤くなりそうになるのを必死に我慢して、後輩の息が鼻にかかるくすぐったさと距離感に、何故かドキドキしてしまっていた。


「まあ良い人だから良いんですけれど、もっとモデルみたいなイケメンを捕まえてくれても良かったんですよ。店長美人なんだから、むー、でもそれも何か腹立つから嫌だな。まあブサイクでも無いですし、あの笑顔は確かにずるいですけど」


 いつから寝ちゃっていたんだっけ、あの子にオムライスを食べさせてもらって、ぼんやり窓を見ていたのは覚えているんだけれど……


「あれ、店長起きてます?」


 不意に体が動きそうになるのを我慢してしまった。どうして寝たふりを続けているのか、自分でも不思議だったけれど、彼女の本音が聞けるようで少しドキドキしながら、暖かい布団の中で気付かれないように静かに深呼吸をした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ