元勇者
「で、今回はどの様な罠とモンスターを使ったのじゃ?」
赤の君がワインを傾けながら聞いてくる
『アンナ?書類どこに置いてる?』
依頼主への提出用に清書してある書類の事だ
「私持ってきます!」
ガタッと椅子を鳴らし席を立つ
「こちらを」
そこにはブルガさんが書類を持って立っていた
仕事速過ぎませんかね?
『こちらになります』
ブルガさんより手渡された書類を赤の君に渡す
「うむ」
そう一言だけ言って数枚をブルガさんに手渡し同時に読んでいる
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「これは痛快じゃなぁ」
「しかもスライムだけでほぼ足止めが完了しておりますな」
赤の君とブルガさんが書類を交換している
「このスライムの配置は面白いのう・・・」
「パープルスライムは確かに知能は高いですがここまでとは・・・」
スライムを使った足止めに対してかなりの好感触だ
「後、罠も中級をほぼ使っておらん、予算も超えておらぬ、これで5階層か・・・」
「いかがなさいますか?」
ブルガさんは書類を見終わったのだろう
「うむ、暫く任してもよさそうじゃ、書類をもってまいれ」
「ハッ」
あれ?なんか違う方向に進んでいるような気がする
ワインを飲みながらアンナを見るが同じような顔をしている
任す?まさか?
ブルガさんが書類を持ってきた
「すまぬがちと困ったことになっての、今回ワレが此処を離れた理由じゃ」
『ドラゴン族の会議と伺っておりましたが?』
会議と聞いていたはずだが・・・
「それがのう・・・嘘だったのじゃ・・・東の国に【白竜】がおるのは知っておろう?」
有名なドラゴン
東の国の守り神とも言われている
『聞いたことくらいしかありませんが・・・そのホワイトドラゴンが何か?』
「結婚したのじゃ」
『え!?』
「おめでたいですね!」
ワインを吹き出しそうになった
ドラゴンが結婚ねえ・・・
「その相手なんじゃが60年前に召喚された勇者とじゃ」
『ちょっと!ちょっと待ってください!!超機密事項じゃないですか!60年前の勇者といば魔王国で行方を眩ませてもう死んでると噂されてましたが』
「でもリーダー噂ではまだ加護の返還が無いから生きてるだろうと言われてますよ?」
どちらも噂だ
だが国をも揺るがしかねない情報をサラっと言い放つ
そしてワインを一口飲んだ赤の君から真実が語られる
「そして白竜と婚姻を結び今は【竜人】となっておる、そして加護の返還も行った」
『竜人ですか・・・』
「ほえ~・・・」
加護の返還
異世界より召喚された際の加護や与えられた武具の消滅を意味する
鍛えた肉体や覚えた魔法なんかは消えない
『しかしあの魔剣は少し勿体ないですなぁ・・・』
やはり魔剣は憧れる
しかも勇者が持っていたのは【魔力を糧に切断力を上げる魔剣】
魔力さえあれば防御も何も関係なくなる
「してその白竜と竜人が此処に遊びに来たいと言ってのぅ・・・」
『と、いう事は・・・まさかのダンジョンにですか?』
「困った事にな・・・そこでワレの知識だけでは心配での、ヌシに頼もうかと思ってな、任せる階層は1~5階層じゃ、書類はコレじゃ」
『拝見いたします』
ペラペラと羊皮紙を捲る
期間は3か月後
報酬は・・・これ魔眼アイテム30個買えるぞ・・・
書類をアンナにも見せる、金額を見て目が見開いてる
「今回の依頼にも色を足しておこう、返事はまだよい、じゃが1週間以内には欲しい所じゃ」
『これでは人員が足りませんなぁ・・・うちのクランは5人ですし・・・』
「私とユーリーだけでは手が回らないですねぇ・・・」
罠の設置回収が出来るのはあと1人居るが基本的に罠の開発と整備、作成が主
完全に裏方なのだ
『一応返事は1週間後にさせてもらいます、こちらで仕事となると拠点の移動、人員の補充などありますので・・・』
「うむ良い返事を期待するぞ」
赤の君はブルガさんからワインを注いでもらいながら笑っている
とは言え破格の報酬だ・・・
「リーダー誰かスカウト候補って居ました?」
無言で首を振る
これは一段と困った依頼になりそうだ
ワインを飲みながら少しだけ遠い目をした




